Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

田中康夫県政

2006-02-09 08:17:55 | ひとから学ぶ
 田中康夫長野県知事の任期満了を半年後に控え、信濃毎日新聞が世論調査を行なった。その結果に現れた支持率過去最低といわれる33.6%という数字以上に、気になる点がいくつかあった。
 ①県の政策について良い方向に向かっているか良くない方向に向かっているかという質問に対し、良い方向に向かっているという回答が多かったものに、「信州観光の振興」「環境保全」「防災対策」「子育て支援」「廃棄物対策」といったものが並んでいた。このうち「信州観光の振興」があげられているのはよい。しかし、それ以降の項目は、どれをとってみても時代が、人々が求めていたものであって、べつに田中知事、あるいは現県政が評価されるものでもない。当たり前とはいえば当たり前で、世論の流れである。いっぽう良くない方向に向かっているものとして、「ダムに代わる治水」「学校教育」「道路など交通網整備」「景気・雇用」「保険・医療」などと続く。やはり景気のように時代を映しているものもあるが、田中知事が独自に出している政策に対する不信のようなものが見受けられる。ということはどういうことかといえば、独自性を出して評価されているものはあまりなく、不信を買っているものが目立っているということである。だとすれば支持率が下がっていることは必然である。
 ②①において、「学校教育」が良くない方向に向いていると判断した人が多かった。具体的なことはわからないが、そうした評価を得るひとつの要因として、高校の統廃合問題があるのだろう。しかし、冷静に考えれば、わたしはむしろ評価するべきことだと思っている。田中康夫並の行動なくしては、短期間で方針を出すことはできないだろう。しかし、県民の多くは、現実的に再編しなくてはならない状況が迫っていることを棚にあげて、「時間がない」とだけいう。以前にも触れたが、現実は現実として受け止めて、ではどうすればよいかという前向きな声が聞こえない。それをもって「不信」だというのなら、この県民は、結局何も変わっていないのである。
 ③①や②以上にわたしがもっとも気になったのは、県民が田中県政でもっとも評価しているという比率が高かった「全国から長野への注目度を高めた」という意見である。注目度をあげるということは、何をもってあげたことをいっているのだろう。「信州観光の振興」という評価点に対しては、その要因とされるだろうが、必ずしも注目をあげたからといってどのような効果があるというのだ。いや、注目度が田中県政になってから高まったと本当にいえるのか。冬季オリンピックを行なったのは前県政である。この評価項目をどうとらえるかとにもかかわるが、あきらかに冬季オリンピックを開催したということの方が、注目度においては高いだろうし、それに比較して、では田中県政は何をしたのかということである。どうもこの曖昧な評価を取り上げることそのものが疑問である。
 議会との対立、市町村長と対話をしない構図、田舎にとって最も必要とされる、いや低下してしまった「人づき合い」を上手にできないというポイントは大きな欠点である。利権で動く議会議員と仲良くやるのもわたしは好きではないが、これほどまでに対立が見えるのはどうだろう。ここ何年もの県の失費は、明らかに県益ではない。だからこそ、長野県行政は「いらない」と思う。それをわからしてくれた「あなた」に感謝である。

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4 コメント

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やはり、そんなものですかね。 (BLs)
2006-02-11 00:25:18
>ではどうすればよいかという前向きな声が聞こえない。それをもって「不信」だというのなら、この県民は、結局何も変わっていないのである。

>それをわからしてくれた「あなた」に感謝である。



うむ…。難しい所でしょうね。私が思うに、県行政は県民の鏡のようなもの。いや、国だって国民、町だって町民…。要するに構成員である住民がどのようにもって行きたいのか、そこのところがはっきりしていないからこそ必要の無い行政になってしまうのではないでしょうか?他県の私から見ると田中県政は、県民にとってまたとないチャンスのように見えましたが…。しかしながら、いわゆる利権で動く能無し議会議員や地域のことを考えない県民たちでは、本当の行政との連携など、所詮無理なもの、だから地方自治体の行政は、国のお達しで動き、地域に合ったソフトをうまく使うこともできないのではないでしょうか?

簡単に言えば、品質管理のできない行政は、いらない…ということですよね。なんか会社のリストラみたいですね。道州制や市町村合併も同じです。
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こんな話もある (trx_45)
2006-02-11 11:08:51
 ある補助事業の予算申請は、県を通して国にあげられる。村は5千万円を要求したのに、県からは4千万円の割り当てしかこない。国の補助金の上乗せで微々たる県の補助があるが、その補助金がないためなのかよくわからないが、村の要求額がこない。そしたら、国から直接村に電話がかかってきて、「なんで満額要らないのか」と聞かれる。

 予算措置上、中間に人を介しているから本当の村の気持ちが国に通じていない。いや、予算上県が無理だというのなら、明確な説明が必要なのにそれがされていない。だから中間の人間なんか省けばいい、ということになる。
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(笑)原因は必ずある! (BLs)
2006-02-11 13:48:44
それは、行政の言い訳じゃないんですか?必ず原因があるはずです。田中県政の問題じゃなくて、行政職員や教員の怠慢、やはり県民の問題でしょう(行政職員も県民です。)

だから国、県、市町村が品質管理をしていないって言うことになりますよね!QC活動(品質管理作業)していれば、どこに問題点があって、解決策まで出し、改善作業までするんですから。まぁ、行政なんて(計画)(実行)まではするんですが、(検証)(改善)まではしませんからね!そこの所は、議員や住民が、はっきりと指摘して改善してもらわないと……。。行政は悪賢いからなぁーーー。。。
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どうでしょう (Trx_Factory)
2006-02-11 20:54:25
いずれにしても、田中県政になる前には、そんな自信のない回答を県はしなかった。現実的には町村が自分たちでやろうとしている事業ですら口を出すこともある。もう町村のなかには県に期待していないころも多い。明らかにこのごろのことです。
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