Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

一人で過ごす正月

2007-01-01 00:23:45 | ひとから学ぶ
 30日長野から自宅へ向って帰る。途中で用を済ませ、最近のパターンである国道19号を南下する。先ごろも触れたが、年末年始はどうなんだろう、と思っていたのが片側交互通行の規制である。夜中もずっと誘導員が立って交互通行の誘導をしていることに、いかがなものなのか、と思っていたから「これはお正月も続くのだろうか」と興味を持っていた。その際にも予想はできたのだが、ようは交互通行をしている箇所というのは、国道上の半分を土留工で塞いでいるケースなのである。ということは、この土留を抜かない限りは、交通規制は解除にならないわけだ。だから、予想通り交互通行は正月間際であっても続けられていたわけだ。旧大岡村の物産センターのすぐ西側、旧八坂村の東京電力平ダムの北側、生坂村の生坂トンネルの北側、以上の3箇所である。このうち大岡物産センターの西側の工事は、土留工が抜かれはじめていて、もう何本も残っていなかったが、もちろん30日だから工事は行なわれていない。実際交互通行を解除するまでには、まだ数日の工事期間が必要なんだろうが、もし本当にそれが可能なら、年末年始に合わせて、通行規制を解除するくらいの努力は必要ではなかったのだろうか。誘導員は夜中も働いているのに、作業は昼間しか行なわれていない。

 前にも述べたように、働くべきときに働く、という視点でゆけば、これでよいわけだが、いっぽうでは誘導員には無理を強いている。このちぐはぐな世界を誰が考えたかはしらないが、それを当たり前だとは思いたくない。

 コンビニの登場で、一人暮らしには都合がよい店が登場したことになる。それはかなりの山間にあっても一店くらいコンビニがあるからだ。もちろん人口の少ない村や、通行量の少ない道路沿いには見られないが、そこそこの地域にはかならずある。この日も信州新町のセブンイレブンに寄ってみた。このセブンイレブンは、ちょっとほかの店とは違う。まず客の顔ぶれである。いかに農村のおじいさんやお婆さん、といった人がやってくる。加えて店員も違う。どう考えてもお客とそれほど変わらない顔ぶれである。だいぶ前のことであるが、お客と店員が世間話をしていて、なかなか止まらなかったことがあった。ということで、年寄にも、一人身にも都合がよい店であることに違いはない。年の瀬に、いかにもコンビニで買い物をしてきたような雰囲気で歩いている、おじさんを見ていると、おそらく一人暮らしなのだろう、なんていうことを思ったりする。正月だからこそ、一人で正月を迎えるということを、あらためて考えたくもなる。むかしなら賑やかに正月を迎えることで、正月感を味わっていた。おじさんが来、おばさんが来、そして自らも母の生家へ行く。そんな人の行き来がなくなるとともに、正月感が遠ざかった。しかしながら、子どもも少なくなったし、行き来することをそれほど意識しなくもなった。元旦でも店が開いている時代なのだから、仕事をしている人も昔にくらべればずいぶん多い。夜働かずにみな働く昼間に働けばよいのに、というものと同様に、世の中が休んでいるのだから、みんな休めばよいのに、と思うのだ。しかし、都合のよい時代である。何でもいつでも間に合うことが当たり前だと、思うようになった。それが銭を出している側と、銭を受け取る側の明らかな違いなのだ。

 正月感をもてなくなったのは忙しさもある。しかし、そんな忙しさに迷い込んでいると、正月なんかなくても良い、なんて思ったりする。それは、これほどまてに個人主義になってしまい、いかにも「正月」をイメージする必要はないからだ。それはわたしが正月=家族、あるいは正月=親戚というイメージを持っているからかもしれない。一年を改めるという意識は、悪いことではないが、この世の中に、一人で暮らさざるを得ないとしたら、正月をどう意識すればよいのだろう。30日の県内版ニュースでは、下伊那郡松川町の社会福祉協議会が、一人暮らしのお年よりのお宅に、オセチ料理を配布してるというものが流れていた。一人暮らしとはいえ、身寄りが三が日にやってくるのか、それとも来ないのかは知らない。しかし、もしわたしがそんな境遇に将来なったとして、果たしてそんな施しが嬉しいかどうかは疑問もある。人によってそれぞれであることは確かで、必ずしもわたしの考えが正当ではないが、正月感を味わうことがお節介と思ってしまうこともないとはいえない。これほどの社会変化のなかで、人はどう従来の慣例を受け止めてゆくのか、そんなことをこのごろとくに意識するようになった。それほど予想以上の変化が起きている、そう思うのだ。

 さて、2007年が始まる。何度もいうように仕事上は新年ではない。だから、つい数日前の環境がそのまま引き継がれる。だから、今年はどうしようなどという気持ちをもてなくなってきている。週明けとなんら変わりないのである。

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