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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「お金がないから夏休み廃止して」から

2024-06-28 23:00:42 | つぶやき

 SmartFLASHが発信した「「もうオシマイだよ、この国」お金がないから夏休み廃止して!悲しき調査結果に広がる首相批判」がウェブ上のあちこちのサイトで引用されている。「貧困問題に取り組む認定NPO法人「キッズドア」(東京)が記者会見し、困窮世帯へのアンケート結果を公表した。」というもので、“小中学生のいる世帯の計60%が、子どもの夏休みを負担に感じ、「なくてよい」「今より短い方がよい」と考えていることを明らかにした。理由は「子どもが家にいると生活費がかかる」が最多だった。”という。調査は、5月の終わりから6月の初旬にかけて行ったアンケートで、1821人から回答を得たという。回答されたのは半数以上が40歳代、30歳代が3割弱、50歳代が2割という構成。その居住地は南関東が4割弱を占め、あとは全国に広がるという。そして母子家庭が9割というから、困窮家庭の母子家庭の答えと捉えて良いのだろう。母子家庭に困窮家庭が多いということを如実に表していることになるのだろうが、こうした背景を踏まえた上でのアンケートと捉えなくてはならない。

 記事はそのあたりの詳細はそれほど触れておらず、引用の中には「困窮家庭へのアンケート」という部分があっさり紹介されていて、タイトルだけ捉えると「お金がないから夏休み廃止して」が独り歩きしそうなイメージを与えている。とはいっても、困窮家庭においては物価が上がれば当然困窮度が高まる。その上で片親世帯となると、当然こどもの世話で仕事はもちろん、さまざまな制約が生まれる。「夏休みが無い方が良い」という思いもわからないではない。そもそも昔に比べたら休みが多い。世帯所得についても触れられていて、200万円以下が5割強で、300万円未満まで含めると8割に及ぶという。そして夏休みの長さへの質問について、「今より短くて良い」という回答が47パーセント、「今のままで良い」が37パーセント、さらに「なくて良い」という回答が13パーセントあったといい、その理由の最も多いものが、「生活費がかかる」(78パーセント)というものだった。さらに給食がないためにその手間を要するという理由も76パーセントと高かった。

 おそらく困窮者でなくても同じような意見を持っている世帯がいるとは思うが、情報が飛び交う世の中であるからこそ、こうした話題が賑わう。困窮世帯にとっては今に始まったことではなかっただろうが、最近の物価上昇は確かに影響は大きい。そしてこの流れは止まっていた歩みが進みだしたように、「値上げ」が肯定される印象を与えて、さらに困窮家庭は厳しくなるのだろう。政治が批判されて当然なのだろう。「ふつうの暮らし」とはどのような暮らしなのか、この世の「ふつう」が見えづらくなるとともに、いっぽうで余裕のある人々が楽しんでいる姿が見え、いっそもっと苦しい世の中になれば「本気になるのではないか」などと思うが、それでは日本が立ち行かなくなるのだろう。自分のことは自分で護るしかない、誰かが助けてくれるはずもない、しかし、最低限の暮らしが保障される環境は整えてほしい。

 参照 キッズドア記者会見

 キッズドアではオンラインセミナー「困窮家庭の子どもたちの夏休み ―調査結果より―」を7月10日に予定している。

 


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