Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ソースカツ丼

2006-02-20 08:19:26 | ひとから学ぶ
 「ごぼとん丼」に触れたが、こうした町の名物として売り出そうとする動きは、全国的にさまざまなものがある。松川町でも近在の成功例として、今ではずいぶん知られるようになった駒ヶ根市の「ソースカツ丼」に追いつき追い越そうという意気ごみである。
 
 何度も書いてきたが、わたしはあまり外食はしない。それは最近のことで、一時はけっこう外食をしていた時期もある。外食の定義にもからむが、わたしにとっては、会社で弁当をとっても、あるいは会社の食堂で定食を食べても外食に変わりはない。外食産業の材料を使っていても、少し外食っぽいと思ったりする。一時的にそうした外食に頼ったことはあっても、さらにさかのぼれば、金のなかった若いころも外食をすることは少なかったし、さらに昔は外食をするなんていうことはめったになかった。かつての農家の子どもなんていうものは、外で食事をするのは、何かの行事があるときくらいだったから、年に一、二回のものである。そんなこともあって、そもそもカツ丼というものをわたしが初めて食べたのは社会人となってからのことである。それも地元を離れて暮らしていたときに食べたのが最初だったということもあり、カツ丼とは、玉子とじののったカツ丼が当たり前だと思っていた。ところが地元に帰ってきてカツ丼を頼んだところ、ソースカツ丼が出てきて、「なんだこのカツ丼は」 と驚いたものであった。それから地元であちこちで食べてみると、どうも上伊那郡一帯にはこのカツ丼が多いということを知った。駒ヶ根で売り出す以前からこうしたカツ丼が、この地域の特徴だったのである。

 さて、駒ヶ根市でこのカツ丼を名物として売り出したのは、平成4年のことである。商工会議所が中小企業庁の補助金をもらって地域おこしをしようとした時、たまたま外部の人が言った「駒ヶ根市のカツ丼は珍しい」という言葉を思い出し、栃木の佐野ラーメンのように同じ地域おこしをしている所を視察したり、研究を重ねて始めたという。ソースカツ丼はほかの地域でもあるといわれており、例えば桐生市あたりもソースカツ丼だという。ただし作り方が違っており、桐生市の場合は、キャベツがのらないという。駒ヶ根市では、松川町でも考えているように、地元産の肉やキャベツを使って作ろうと始めた。このソースカツ丼であるが、東京などでは大正時代ごろから始まったといわれ、駒ヶ根市でも昭和初期には始まっており、老舗の店も二店ほどあるという。現在多くの店が 「駒ヶ根ソースカツ丼会」 に加盟しており、特にソースのたれについて工夫している。揚げたカツをたれに浸して、よく味付けしてからキャベツの上にのせるのがこのカツ丼の特徴である。この地域ではソースカツ丼のたれをスーパーで売っており、このたれを買ってきてそれぞれの家庭で、それぞれの形でカツ丼を作る人が多〈、むしろ自分の家で作った方がおいしいという人もいる。

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