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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

続『長野県民俗の会会報』所蔵図書館

2015-04-11 23:37:37 | 民俗学

 長野県民俗の会の事務局を引き継いで4ヶ月。通信、会報、そして『長野県中・南部の石造物』と毎月のように発送事務に追われた。会員が減って発送数はかつてより100通近く減ったのに、そのいっぽうで交換団体や図書館への発送数が増えて発送数はさほど変わりない。そんななか思うのは、果たして発送している会報や通信が生かされているかということ。桜井弘人氏は『伊那民俗』100号に次のような言葉を載せている。「この地域の祭りはこんなにすごいんだとう思いで論文形式にまとめたことがあったが、それは地域の伝承者にとっては無縁の存在でしかなかった。まして、学者が中央の研究雑誌に書いた論文が地元で読まれることは少ない」と。学者が中央の雑誌に書く論文はともかくとして、わたしたち長野県内を活動範囲としている者にとっても、広い長野県というエリアを対象にした雑誌となると論文の対象である地域に還元されることは少ない。できれば地元の人たちに読んで欲しいと思えば、より地域限定の雑誌に投稿したくなるもの。上伊那エリアの事例を扱ったものを意図的に雑誌『伊那路』に投稿したことも何度かあった。同じ思いを抱いて民俗の会への投稿に足踏みされる方もすくなからずいるのではないだろうか。

 会員が130人ほど、確かに発行部数は500部ほどあるが、半数は在庫となって事務局の手元に。その後松本市立博物館に保存されるという形を今はとっているが、事務局を引き継いで思ったことは、バックナンバーが欲しいという依頼があってもすぐに対応できないという歯がゆさだ。忙しいと1週間や2週間は経過してしまう。収入のことが頭から離れて、容易いPDF化で送信してしまうこともある。せっかく印刷されても多くの人々の目に触れることはないといってもよいだろう。交換団体にしてもこちらから印刷物を送付しても、相手側から送付されるものはかつてより少なくなったのではないだろうか。会費で運営しているわけだから会員にとってメリットがなければ従来通り同じことを繰り返していることを見直すべきなのだろう。

 そういう意味では多くの人々の目に触れられるようにと、県内の図書館に会報を寄贈するようにしたのは良い案だった。2012年2月にそれまで発行されていた会報全号を寄贈し、その後は発行される度に送付してきた。決定当時人口1万人以上の自治体という条件で線引きし、県内の34館が選択された。ところが、寄贈された本が人々の目に触れられるところに開架されているとは限らない。飯田に転勤した2年前、すぐ隣にある飯田市立中央図書館に足を頻繁に運ぶようになった。それまでも開架されていないことは認識していたが、新しく送付された会報すら雑誌コーナーにないため、それでもと思って館の方に声をかけてみた。すると閲覧可能な状態になっていなかったことについて館長名でお詫びの手紙が送られてきて、すぐに開架していただいた上に、通信の合本の申し込みをしていただいた。近在には寄贈している図書館がほかにもあるのだが、一般の人々に閲覧できるところに開架されている例をみない。県立図書館が作成している長野県内公共図書館横断検索サービスというものがある。ここで「長野県民俗の会会報」と検索した結果をまとめたものが別表である。このことは以前“『長野県民俗の会会報』所蔵図書館”でも触れたが、最新の状態である。正確に反映されているかは、実際に図書館に行って確認してみないとわからないが、ここにあげた図書館に近い方々は、ぜひ実見して、開架されていない場合は開架の要望をしてほしいものである。閲覧できないような状況であるならば、寄贈図書館から除外し、人口1万人という条件で線引きされて、寄贈していない図書館へ寄贈先を変更していきたい。

 

 


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