募金

　私はほとんど募金をしたことがありません。街角でやっている共同募金や交通遺児の募金も、24時間テレビも。募金っていうのが好きじゃないからです。理屈じゃなく、好みの問題で。……私が小学生の頃には、やたらありました。赤い羽根に白い羽根、緑の羽根などなど、教室で先生が「明日はおカネを持ってくるように」って言うんですね。だから募金じゃなくて強制徴収です。それが子ども心になんかやだなって思ったせいかもしれません。

　こんな話を書いているのは、難病の子どもを海外で移植手術を受けさせるのに１億円以上の募金を集めようとしている活動に対し、２ちゃんねるとかで相当な数の疑問・批判が集まっているからです。その要点は次のようなものでしょう。

①　両親がかなりの年収と資産を持っているのに費用の全額を募金に頼るのはおかしい、少なくとも本末転倒ではないか？
②　募金活動を支援又はプロデュースしている団体がこれまでも同様の方法で巨額のおカネを集めていて、しかもその使途が不透明ではないか？
③　そもそも海外で臓器移植を受けることに問題があるのではないか？

　こういう疑問・批判がこの女の子への募金に賛同する人のブログにも向けられていて、いわゆる「炎上」に近い状態になっているところもあるようです。少なくともかなり精神的にまいっている方が多いように見受けました。それを見ていて思ったのは賛同する人って、むずかしい理屈や上のような疑問への回答を考えてそうしているわけじゃないんだろうなってことです。雑に言えば、私と反対に募金が「好き」なんでしょう。私は募金してる人を見つけるとすぐに①～③のようなことを考えて、募金しない自分を正当化しちゃいますからね。

　だから、あんまり話が噛み合わないんだろうと思います。募金が好きな人は、募金しない人間なんて血も涙もないやつで、自分の子どもがそうなったときのことも想像できないやつで、募金を好き・嫌いで考えてるけしからんやつで、何よりかけがえのない命の大切さがわからない人間だと思っているのかもしれません。……もしそう言われたら？　失礼な人だなとしか思いませんね。

　そういう意味では私が募金の好きな人のことをどう思っているかも失礼になるから書きません。って、もう失礼かなｗ。……まあ、それはそうとして問題は「かわいそうな女の子がいますよ。こんなにかわいいのに募金がないと死んじゃうんですよ」という報道をするしか能のないテレビや新聞です。上の問題、特に②については気づきませんでしたじゃあ、すまない感じがします。マスコミ＝建て前の世界がこういう条件反射と思考停止に陥っていることと、ネット＝本音の世界では全く逆の意見（しかも過激で下品なもの）が多数派になっていることとは無関係じゃないような気がします。