得たものと失ったもの

握った手の中を見てみた。


かつて、「どっちにあるかな？」って飴を隠した手の中に、


沢山のものが握られていて、


だけどこぼれたものもあったかな。


指の隙間から、落ちていったものを数えてもキリはない。


写真の中の笑顔は、そのままかな。


あの月はまだ僕たちを見てるかな。


あの夜歌った歌は、今も聴こえてるかな。


人は皆ひとりで生きていくものって


諭された夜のことを、まだ覚えているかな。


夏の風が別れを告げた。


寂しさを紛らわすように手を振った。