としおんのぺえじ

愛犬パズーとの戯れや日々の出来事などをつらつら綴ります

椿三十郎

2007年10月02日 | 映画
末端も末端、はしっこギリギリなんですが、映画に携わる仕事をしているわりには映画を見ていないことを反省し、最近は暇を見つけては試写はもちろん、劇場に足を運んだり、DVDを見たりする今日、この頃。つまんないのから面白いのまで、とりあえず見てみる、っていう習慣をつけようと、日々、格闘する毎日です。

そんな中、最近のマイブームは“温故知新”。今更ながらなんですが、黒澤明の作品にハマったりしてます。正月に森田芳光監督、織田裕二主演で『椿三十郎』がリメイクされるので、まだ末見だったオリジナルをチェックしておこう、と思ったのがきっかけなんですが、三船敏郎演じる三十郎の迫力に圧倒され、休む間もなく『七人の侍』『生きる』『用心棒』などを立て続けに見ちゃいました。

実は、恥ずかしながら『椿三十郎』を筆頭に、すべて今回が初鑑賞。端っことはいえ、映画業界に身をおく者として『七人の侍』を見てないってどうなのよ? って感じですが、なかなか見る機会がなかったんです。で、いざ見てみて、「なんでもっと早く見なかったんだ…」と落ち込み、もっと見なきゃと、あらためて闘志を燃やしたりしておりますです。

と、前置きがえらく長くなってしまいましたが、先日、期待のリメイク版『椿三十郎』を試写で鑑賞してきました。その感想は、う~ん…。なんて言うんでしょうか、期待しすぎたかなぁ。森田監督が、あの傑作をどう料理するのかって思ってたんですけど、ほぼオリジナルを忠実に、って感じだったんです。物語はもちろん、じっくり見比べた訳じゃないので違ってるかもしれないけど、セリフや屋敷のセット、役者の立ち位置に至るまで、ほぼ同じだったような気がするし…。その中でも如実だったのが、織田さんの演技でした。

森田監督がどう演出するかってことと同様に、織田さんがどんな椿三十郎像を見せてくれるのか、ってことにも期待していたんですが、いざ見てみると、三船敏郎の大きな影に包まれているような感じがしたんです。セリフ回しや立ち回りなどなど、織田さんが意識して似せたのかどうかは分からないんですが、少なくとも僕の目には、三船“椿三十郎”敏郎をトレースしているように見えてしまったんですよね…。

もちろん、全体的にあの偉大なオリジナルに忠実なせいか、面白さが損なわれているっていうことはありません。モノクロの椿の花も鮮やかな紅白で映し出されているし、パワーアップしているって言えばしていると思います。ただ、僕の期待は視覚的なそこではなく、森田&織田がオリジナルをどう咀嚼し、新しい“椿三十郎”を見せてくれるのか、っていうところにあったので、腑に落ちない部分があった、という訳なのです。

まぁ、オリジナルを知らなければこんな不満はなかっただろうし、椿初体験っていう人には、織田さんもこれまでにない感じの演技を見せてるから、新鮮さを感じられて良いかもしれないっすね。で、是非、オリジナルも見て、クロサワの世界にハマってみてみてはどうでしょうか?

椿三十郎』12月1日(土)より全国東宝系で公開
C 2007「椿三十郎」製作委員会


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