答弁拒否
私は橋本市長に西九州ルートの全線フル規格化について一般質問前に予め質問趣旨直接説明をしたうえで本会議で答弁を求めました。しかし、部下に指示を出した上で自ら答弁することを拒否されました。
切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべき
私の一般質問の結びの言葉は次のようなものです。
私が橋本市長に答弁するよう求めているのは、政治家としてこの街の未来についてどのように考えているのかお聞きしたかったからに他なりません。私も政治家の端くれではありますので、この街をどうすべきかという意見、政策というレベルではなくても抱負ぐらいは持っておりますし、それらを訴えてこうした公職を得ているのであります。橋本市長とて同じことでしょう。政治家はそうした意見をぶつけ合い、また切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべきだと私は常々考えおります。今回特にこの項目は様々な機会を私は用意して質問の趣旨を橋本市長にも説明してきたつもりですが、頑なに自らの言葉としてお話にならなくて大変残念に思います。
少し休養されてみては
執行部とは予め「聞き取り」という事前の作業を行うのですが、その際担当課は大変柔軟に私の趣旨を理解していただいていただけに、その後後ろ向きの答弁内容となったことには正直残念に思います。本議会で橋本市長に対して様々な観点から辞任を求める質問が他の議員からありましたが、市長は辞任はされないということです。私が日頃市役所を見ておりますと執行部のそれぞれの部署はまじめに政策として練り上げる作業をしているように感じています。しかし、問題となる大きな節目節目で非合理的な意思決定が下されているようでなりません。何かに付け厳しい意見をぶつけている私でも、善良な市民の代表のような橋本市長に対しては是是非非で望んでいるつもりでありますし、特に最近いい面に対して積極的に評価しているつもりだけに残念です。
少し休養されてみて鳥栖市政及び市長というものを客観的に眺めて見られることをお勧めします。
一般質問の全文は以下の通りです。
江副 天桜会の江副です。通告一覧表には最初の項目として西九州ルートの全線フル規格化についてとありますが、都合により先にサガハイマットの今後について質問させていただきたいと思いますので宜しくお願いいたします。
それではサガハイマットを核とした街づくりについて現時点でどのような絵を描いているのかについて質問してまいりたいと思います。今新鳥栖駅前の区画整理された大きな区画、6街区、7街区で新たな街づくりの足音が聞こえてまいりました。地権者の皆様の事業経営判断でレンタカー事業所、アパートそして大手ドラッグストアが建設されようとしております。そして期待としてではありますが、8街区には諫早市に本社を持つ大手冠婚葬祭会社が著名な建築家の設計によるシティホテルになるのでしょうか、新聞発表は平成26年3月オープンとなっておりましたがその建設が待たれるところであります。
ところで、本年6月1日サガハイマットはオープンされました。地元の議員としても皆様から感謝される施設として是非羽ばたいていただきたいと願わずにはおられません。そのサガハイマットを核とする街づくりの構想とはいかなるものなのかまずお聞かせさせていただきたいと思います。以後の質問は質問席からさせていただきます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
江副議員のご質問にお答えいたします。
サガハイマットを核とした街づくりのイメージにつきましては、基本的なことについては、交流人口の増加、新幹線利用者の増加、土地区画整理事業の早期進展、関連産業の集積や関連学会の開催の期待、久留米市との連携による医療技術の向上や医療ツーリズムの可能性などが挙げられるものと考えているところでございますが、現時点で、より具体的な構想といったものはございません。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 まず、核とすべきサガハイマットが思考されている方向性を確認させていただきたいと思います。私は5月29日にホテルニューオータニ佐賀で行われた開設記念式典に参加させていただきましたが、そういう観点からも大変いいお話を聞かせていただけたと思います。
先ず、一つ目としてセンター長のお話しでしたでしょうか、自らに求められる職責についてのお話です。それは1年間で800人の患者さんを治療することが求められている。一人の患者さんに治療として平均12回照射すると仮定すればセンターとして年間9600回照射をしなければならないことになる。年間の休日及び定期点検を考慮に入れれば240日程度の稼働日となる。となれば一回当たり20分程度で対応しなければならない。いかにスムーズに安定して稼働させるかそれが我々の使命だというような緊張感が伝わってくるお話しでありました。当然のように求められることが現場サイドとしてはいかに大変なことかという責任感からのお言葉のようで頑張っていただきたいなと心から思ったところです。サガハイマットは放医研の傘下と申しますか、その事業戦略構想の一翼を担うものとも聞いております。その位置づけつまり、そこで重粒子線治療施設設計の研究開発や重粒子線治療スタッフの研究者を育成するようなところではない、効率よく安定的に治療をこなすことに第一義的な任務があることはよく理解しておかなければならないのかと考えます。そうした理解で間違いないかご答弁を求めます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
議員ご指摘のとおりで間違いないと考えております。
以上、答弁とさせていただきます。
江副 最先端の装置を使ったそうした基幹となる任務をしっかり果たしていただけるよう、しっかり協力していかなければならないと私は考えるところです。ところで話は変わり夢のある今後チャレンジすべき事業展開の話題提供として、中川原晃先生の「希少がんと国際戦略」というお話が開設記念講演会としてありました。中川原先生は鳥栖市のご出身で国際的に著名ながん研究者です。以前千葉の放医研を地元から視察に行った際先生とお話しさせていただいたことがありますが、今回は大変夢のある話となりました。それはコンピューターの飛躍的な発展、それに支えられたヒトゲノムプロジェクト、その結果遺伝子レベルでがんの特定因子が次第に明らかととっている現状。先生の恩師のお話から自然治癒するがんと治らないがん。
今まで治療できたと思っても再発するがん、今まで確立された治療方法がないがんに重粒子線治療が貢献できるのではないかという期待。これまで症例が少ないのでなかなか実現しなかった希少がんというフロンティア領域に、先生が既に取り組まれている国際的なネットワークとその治療施設としてサガハイマットを組み合わせることによりがん撲滅というミッションに貢献できるのではないかというグローバルなお話でありました。
これから地方都市もグローバルな対応を求められる中で、サガハイマットが鳥栖市のグローバル化政策の一翼を担っていけるのかというかすかな光を見たような気がいたしました。鳥栖市の街づくりの方向性としても大変いい話ではなかったのかと思いますがご答弁を求めます。
野下部長 国際的な集患につきましては、がん治療財団でも既に、台湾放射腫瘤(しゅりゅう)学会との学術交流の協議やハワイ大学がんセンターとの医療機能連携に関する協定を締結されており、国際的な集患に繋がっていくものと考えられます。また、街づくりの点でも、国際的な広がりがあることは魅力があると考えられます。こうした動きには今後も注視してまいりたいと考えております。
江副 すでにサガハイマットがそうした国際的なネットワーク作りで実績をあげつつあるとの事でした。素晴らしいことだと思います。中川原先生が講演の中でお話しされた国際的な希少がんのネットワークそうしたものがサガハイマットでリンクされればよりサガハイマットの発信力も増すのではないかと期待いたします。ところで、サガハイマットは6月1日よりセカンドオピニオン外来・紹介外来が開設されました。先程施設の位置づけの中でお話ししましたように、センターに治療に訪れる患者数は限りがあるという厳然たる事実があります。そういうことからセカンドオピニオンにご対応いただける機能を付加されないのかという希望を随分前になりますが私は一般質問でさせていただいたことがあります。検査して癌だといわれて治療方針を示されても果たしてその方法がベストなのか命に係わることですし、納得いくまで聞いてみたくあります。本人に限らず身近な家族にとってもそうした心情になるでしょう。そうした状況において新鳥栖駅前という交通の便がとってもいいところで専門家のセカンドオピニオンが聞けるとなれば大変多くの人にとって福音であり有難いことです。その名声が高まれば高まるほど遠くより鳥栖に来られるお客様は増えるでしょうし、その足としての新幹線利用者の増加にも繋がるかと思います。サガハイマットにおけるセカンドオピニオンとは如何なるものか、また鳥栖市として如何に捉えるべきかご答弁をもとめます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
サガハイマットでは、6月1日にセカンドオピニオンが開始されました。すでに、九州各県から、50名以上の予約が来ているということで、まずは順調な滑り出しとなったのではないかと考えております。このように、新鳥栖駅前という立地と鳥栖市自体の地の利という面では、既にその効果が出ていると考えております。この予約には、セカンドオピニオン目的の方も多いということで、議員のご意見のとおり、この世界最先端の治療施設で行われているセカンドオピニオンのPRは、鳥栖への来訪者を増やしていくうえで、大変有効であると考えます。先の臨時会でも、安倍総理の来訪を好機と捉えるべきだと議員からご指摘いただいております。こうしたこととも合わせながら、がん治療財団との協力を重ねていきたいと考えております。
以上、答弁とさせていただきます。
江副 鳥栖市としても強力にがん治療財団をサポートしながら鳥栖市本来の行政目的サガハイマットを核とした街づくりの実現に向けて着実にかじ取りをしていってもらいたいと思います。それでは次の質問にまいります。既にサガハイマットは開業されているのですが、サガハイマットに来られる患者さんお客さん、サガハイマット関係者の食事はどうされるのか、どうされているのか、近くに居て心配になります。弁当や立ち食いうどんばかりとはいかないのではないでしょうか。交流人口を増やしたい、お客さんに来てもらいたいというところはおもてなしの心というスローガンをかかげておられます。新鳥栖駅前は甚だ心寒い思いがします。テーブルに着き落ち着いて食事をするスペースの確保つまり飲食店街を早急に整備すべきと考えますがいかがでしょうか。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
新鳥栖駅前にはホテル建設予定地も確保されており、いずれ飲食も可能になるのではないかと考えておりますが、現時点では確かに、区画整理地内には飲食店等がないため、そういった施設の進出が望ましいと考えております。
しかしながら、新鳥栖駅前区画整理地内の今後の進捗につきましては、地権者の皆様のご意向が中心になってくるものと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 本件に関する質問冒頭でも現況をお話ししましたが、新鳥栖駅からサガハイマットにかけてを一つの動線と考えると飲食店が進出するスペースがもうあまりないのであります。街づくりにおいて食の問題は大変重要です。実は駅付近において特に食べ物の包がらなどごみの散乱に地元住民は悩まされています。毎日ごみ袋を以ってパトロールされている見守り隊の方もいらっしゃいます。一つには飲食店で食事を済ませるところがないというのは一つの原因ではないかと私は考えます。今一度チェックの程宜しくお願いいたします。サガハイマットを核とした街づくりのイメージとして土地区画整理事業の早期進展につきましては地権者の英断によって私としては順調に進んでいるのではないかと思います。また同じく関連産業の集積や関連学会の開催の期待というコンセプトまで考えますと、既に新鳥栖駅西区画整理事業としては用地不足の状況が目前に迫っているのかなとも私は思います。
私のこの認識について鳥栖市としてどのようにお考えになるかお答えください。
また、関連産業の集積とは如何なるものを指すのかお答えください。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
江副議員のご質問にお答えいたします。
関連産業の集積や関連学会の開催については、何も区画整理地内だけを範疇とはとらえておりませんので、不足する・しないということは特にないと考えております。
関連産業の集積につきましては、狭義で言えば、重粒子線がん治療施設に関連した医療産業の進出がございます。また、そういう医療産業の技術が、市内の既存企業に浸透することも関連産業の集積に寄与するものと考えております。広義で言えば、先に議員がご指摘されたような飲食店を始め、ホテルなど来訪者向けの施設も含めたところで考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 土地区画整理事業の早期進展ということをサガハイマットを核とした街づくりのイメージの一つとしてお話いただいたので、であればサガハイマットの近くの土地はもうあまりありませんよという事をご指摘させていただきました。
医療産業の技術が、市内の既存企業に浸透することというご答弁は大変重要なご認識かと敬意を表したいと思います。国際リニアコライダー誘致に関する質問は今回しておりませんが、誘致のポイントとして国際リニアコライダーに関する技術の地場企業への移転ということがあります。宜しくお願いいたします。
さて、6月2日の西日本新聞1面6回シリーズ最終版「地域は変われるか 九電九州考」には「寄付は癒着の象徴か ハイマット」というショッキングな見出しの記事が目につきましたが読まれた方も多くいらっしゃることと思います。私が問題に思うのは次の部分であります。『九電の寄付の納付は遅れているが、ハイマットの資金繰りに問題が生じているわけではない。ハイマットは当初、総事業費150億円の大半を民間からの寄付・出資で賄おうと野心的な目標を掲げた。医療機器の大口支払などが迫り、運営財団は九電寄附分などを銀行融資に切り替えてのりきった。佐賀県の補助金増額なども含めた7月までの資金調達総額は113億円超。今後は治療費が入るため、運営に大きな支障はない。計画通り年間800人の患者を治療できるようになれば、20年後には、約100億円の内部留保がたまると佐賀県は試算している。九電の寄付を単純に差し引いても60億円―。ある関係者は「患者が計画通りに集まると、九電の寄付はなしでも何とか経営はやっていける」と明かす。』
3月議会からそそくさとどうしても4、5億円の追加支援を開業前にしなければならないとした理由は一体なんだったのかという批判の声が私のもとにもその日のうちに来ました。あの臨時議会、あれは何だったのでしょうか。
橋本市長は県と25億円の約束をしたとかしなかったとかということで代表者会、全員協議会で弁明の機会を求められました。本件の西日本新聞の記事に対して如何思われますか。ご答弁ください。
橋本市長 江副議員のご質問にお答えいたします。
市の補助金につきましては、まずは、がん患者やその家族にもたらす福利の大きさを考慮したということがございます。また、治療財団の借入金に伴う利子負担を軽減し、スムーズな開設と安定的な運営に繋げるために、誘致自治体としての役割・責務として一定の支援を行うものでございます。
新聞記事にある九州電力と佐賀県の関係や、九州電力の寄附の遅滞とは関係はございませんので、この件につきましては、特段、感想はございません。また、財団の運営についても、集患計画が達成されればという前提でございますし、この件につきましては、やはり誘致自治体の責務・役割として受け止め、今後、治療財団と連携し、協力していかなければならないと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 市民に新たな負担を求めたのだから市民に分かるように説明してほしいと臨時議会の議案審議で私はお願いしましたがそうした答弁はありませんでした。議会の議決は議決として尊重いたしますが、市民感情からするとそれほどクールに割り切れないところがあることだけはご助言しておきます。オープニングセレモニーに無理やり合わせた資金支援は当時の佐賀新聞を初めとする新聞の論調、資金難のサガハイマットを救うためではなく別の意図があったのでしょうか。
今回も治療財団の借入金に伴う利子負担を軽減し、スムーズな開設と安定的な運営に繋げるために、誘致自治体としての役割・責務として一定の支援を行うものというご説明です。
では次の「神奈川県は15年度から、県の関連病院で重粒子線治療を始める予定だが、初期投資120億円の8割を借金で賄言う」とある部分についてお聞きしたいと思います。そもそも借入金をベースとした神奈川県立ガンセンターの件についてご説明ください。また、佐賀県は総事業費150億円の大半を民間からの寄付・出資で賄おうと野心的な目標を掲げたと新聞には書かれていますが、神奈川県のように直轄事業として行うようなことは検討されたのでしょうか。合わせてご答弁ください。
野下部長 神奈川県の重粒子線がん治療施設に関してのご質問でございますが、通称ではi-ROCK(アイロック)というそうですが、この施設は、地方独立行政法人神奈川県立病院機構が事業主体として事業が進められております。全体事業費は約118億円、治療開始予定は平成27年12月とのことです。
財源等につきましては、新聞報道のとおり、事業費の約8割は借入金ということでありました。この借入金は、地方独立行政法人は起債が許されていないため、神奈川県が起債し神奈川県立病院機構に貸し付けているとのことでございます。残りにつきましては、約1割を法人の留保金、残る約1割につきましては、神奈川県の負担金により賄っているとのことでございます
サガハイマットも県立で整備できたのではないかとのご指摘につきましては、市が事業主体ではないので、お答えしづらい部分もございますが、佐賀県は当初より県内に誘致というスタンスで事業推進をされてきたということでございます。いずれにせよ、神奈川県の事例と佐賀県の事例は全く違うモデルケースとなっておりますが、各自治体の事情により判断されるものではないかと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 神奈川県立がんセンターはサガハイマットより一年遅れでスタートするのかなと私はもう数年前になりますが、認識しておりました。現在の予定は平成27年12月ということで2年半伸びたという状況かと思います。と申しますのは神奈川県立がんセンターのケースは地下に加速器を設置する施設構造であり、私は鳥栖も同じように地下室がある構造にすべきだと私のブログにも書いているし執行部にお願いしていた経緯があるからです。しかし、工事費が嵩むので無理だというお話でした。ところが蓋を開けてみると工事費がかかると思われていた神奈川県立ガンセンターの全事業費が118億円ということです。一方サガハイマットの初期投資額は150億円であり全く変わりません。逆ならわかりますが。
この違いは何なのかということです。神奈川県は県事業でありますので、入札が行われています。入札結果は公開されており、高い装置代もサガハイマットの作られた三菱電機、そして日立、東芝の3社による総合評価方式の競争入札が行われ、最高評価であった東芝が落札されています。サガハイマットが中々内情が外から見えないのに対して、神奈川県の方が公的な性格の分、厳しい予算チェックが行われているのではないかという素朴な疑問も湧いてきます。
また、神奈川県立ガンセンターは地方債を上手に使っておられるなと思います。将来重粒子線治療が標準治療になれば国の普通地方交付金としての戻りもいくらか期待できるのでしょうか。一方サガハイマットは民間財団として設立した関係上、そうした国のお金を上手に取り込む道も閉ざされているかのようです。
そうした中、同じく新聞記事には「計画通り年間800人の患者を治療できるようになれば、20年後には、約100億円の内部留保がたまると佐賀県は試算している。」とあります。そういう試算を本当にしていたとすればなぜ県の担当者は我々に事前に説明してくれなかったのかと腹立たしく思います。新聞報道の真偽はこれ以上追及しませんが、そのような認識があれば少なくとも約100億円から金利を割り引いた金額分は神奈川県と同じように借入金で調達するというのが将来にわたる負担の公平という観点からも当然ではありませんか。ご答弁をもとめます。
橋本市長 江副議員のご質問にお答えいたします。
神奈川県のように、事業費の大半を公費で賄うことがいいのか、また、佐賀県のように事業費の調達を民間主体として推進され、公費の支出を抑制するのがいいのか、負担の公平ということを考慮しても、その是非についての判断は難しいと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 民間の剰余資金が十分にありその運用を企画する場合であれば、財団を設立し民間としてスタートするメリットは多分にあります。しかし資金問題がクローズされた昨今、事業主体としてのみならず、資金調達のスキームつまり事業費の調達を民間主体として推進するというスキームを主導してきた佐賀県が、実は資金計画に対して責任を負わない状態になっているという問題も見えてきました。即答していただく必要もありませんが、今後はよくよく比較検討される、あるいはそうした問題点も助言をされることを希望します。もちろん財団の趣旨に賛同される寄付者の意思を大事にするのは非常に結構なことだと思います。しかし、無理してまで強要すれば弊害も出てくることもありましょう。また公費、税金を使えれば、そして使うとなればそのチェックは言わずと厳しくなり、結果として少ない負担で済むといういい面もあることは神奈川県の例を見れば明らかでしょう。ざっくりとした比較ですがその32億円という差額は重く感じます。
最後に民間での重粒子線がん治療施設の開設は日本国内初となりますとよく自慢げに言われますが、それっていいことばかりなのでしょうか。民間は儲かると思えば、つまり消費者がお金を出しても商品・サービスを求めていると考えれば提供するのが民間です。重粒子線施設がいたるところにできたら鳥栖市にとってはたまったものではありません。サガハイマットは九州唯一の重粒子線施設となるよう九州全域から支持されることが今後もっとも重要です。そのため広く開かれたそしてオンリーワンの施設運営を目指していただくことを強く願っています。
癒着と絆、言葉のもつ響きは正反対ですが、共に人と人、人と団体との繋がりの力を表す言葉です。そうした事からするとサガハイマットは既に金銭に換算できない無形の財産を絆として多方面に築きつつあるものだと未来志向で考えていきたいと思います。是非、サガハイマットが鳥栖市の街づくりの核となることを願って次の質問に移りたいと思います。
西九州ルートの全線フル規格化についての質問です。
江副 昭和48年当時の長崎新幹線は佐世保付近を経由して終着駅を長崎とするルートで整備計画が策定されたが、石油危機を転機に政府は方針を転換し凍結されました。ところが、49年9月に日本初の原子力船「むつ」が放射能漏れ事故を起こし、政府は厳しい批判にさらされる。むつの受け入れ先がどこも見つからない中、昭和53年に佐世保市は佐世保港での受け入れと修理を表明。その見返りとして自民党は、九州新幹線鹿児島ルートや東北新幹線延伸などとともに長崎新幹線の優先着工を約束したのだった。その証が同年5月26日付けの念書。それには「新幹線の工事着工について 長崎新幹線の工事着工は他の4路線に遅れないこととする」とあり、当時久保長崎県知事に宛て、大平正芳自民党幹事長、中曽根康弘総務会長、江崎真澄政務調査会長が連名で署名されたものであった。
昭和60年には当時の国鉄は佐世保市早岐を通る長崎新幹線のルートを公表したが、その後国鉄の分割民営化により事態は一変する。昭和62年12月16日国鉄から新たに誕生したJR九州は収支に疑問を呈する報告書を運輸省に提出。そして、長崎新幹線の着工そのものが雲行き怪しくなる中、平成3年9月17日、井本勇知事が佐世保を経由しない短絡ルートを「独自案」として発表。10日後には高田勇長崎県知事が佐世保市を訪れ、市長や市議会に長崎県としても短絡ルートを国やJR九州に要望していく考えを説明した。
佐世保市は激しく抵抗したが平成4年11月25日長崎県は短絡ルートを地元案として決めることになる。同時に佐世保市への“配慮”として「佐世保市にも在来線を利用したスーパー特急を直通させる」という一文が添えられた。その現在的表現がJR佐世保駅前に建てられた看板「めざせ 新幹線の佐世保乗り入れ 佐世保にフリーゲージトレインを!」となっています。
以上平成25年3月17日産経新聞の記事を抜粋引用させていただきましたが、九州新幹線西九州ルートは佐世保市の少なくとも2度にわたる苦渋に満ちた政治判断により日の目を見るようになったわけであります。
新鳥栖駅は九州新幹線上の駅として平成23年3月12日に開業することが出来ました。しかし、なぜ新鳥栖駅の設置が認められたかというとそれは長崎新幹線の分岐駅という位置づけがあったればこそであります。鳥栖市政の一翼を担うものとしてこうした歴史の重みを感じないわけにはいきません。
佐世保市としては新幹線が来ないなら少なくとも現在走っているみどり・ハウステンボス号同等の路線を確保したい、そして高規格の新幹線にも対応したいというというメッセージだと受け取れます。
私は先人の苦労のもと新幹線新駅という新たなレベルでの街づくりをするツールを得たものとして、その恩に報いることは当然であろうかと思います。
それでは鳥栖市として何をなすべきか、それは新鳥栖駅から武雄温泉駅まで51㌔の在来線とは別にフル規格で整備することであります。フリーゲージは武雄温泉駅から以西の佐世保線に使われるべきだと考えます。
古川知事に対する質問箱にはフリーゲージトレインそのものに対して疑問の声も数多く上がっています。しかし方や佐世保市のようにフリーゲージトレインを待ち望む声もあります。フリーゲージトレインは在来線区間は130㌔制限の特急電車、新幹線区間は260㌔制限の新幹線として走行します。ただし、新幹線と在来線の接続部で低速で走行により軌間変換するため5分程度のロスが発生します。現在博多・佐世保、ハウステンボス間は1時間50分程度の時間を要します。もし、武雄温泉から新幹線となれば佐世保線在来線区間は現在の単線のままとして変わらず45分程度、そして新幹線区間は各駅に止まったとして30分程度、フリーゲージのロスタイムを5分と見れば80分、つまり1時間20分となり現在より30分の時間短縮となります。ところで現在予定されている新鳥栖から武雄温泉まで在来線を使うとなれば、佐世保から新鳥栖までは現在の一部単線のままでは1時間23分、フリーゲージロスタイム5分、新幹線で博多まで13分、合計1時間41分となりほとんど時間短縮とはなりません。現在はJR西日本区間については車両が重く、スピードが出ないフリーゲージトレインでの乗り入れにJR西日本が難色を示している状況ではフリーゲージトレインと言えども関連整備にそれ相応の多額の資金を必要とするのに対してあまりにもメリットがありません。
その上今、フリーゲージトレインが在来線を通ることに対して沿線自治体から疑問の声が上がっていることは先の3月議会でお話ししました。こうした中、全線フル規格を目指すグループからの要望に対して鳥栖市の現状にのみ満足したかのような橋本市長のご対応に対し私は懸念を表明させていただきました。
これまでご説明させていただいた新鳥栖駅開業に至った経緯を踏まえれば、佐世保線に佐世保市が希望されるフリーゲージトレインが走ることを視野に入れて西九州ルートは全線フル規格で整備すべきと私は思います。西九州ルートの起点となる新鳥栖駅を要する鳥栖市長として私の訴えに対して橋本市長如何思われますか。ご答弁宜しく願いたします。
松田部長 江副議員のご質問にお答えします。九州新幹線西九州ルートのフル規格での整備についてお答えいたします。
先の3月議会でも答弁しておりますが、九州新幹線西九州ルートの整備についましては、平成23年の政府・与党確認事項の「整備新幹線の取扱いについて」において、九州新幹線西九州ルートの武雄温泉―長崎間については、諫早―長崎間の着工から概ね10年後を開業時期とし、軌間可変電車方式により整備することとされています。
現状といたしましては、昨年6月29日に既着工区間の武雄温泉―諫早間に加え、未着工区間であった諫早―長崎間を含めた武雄温泉―長崎間のフル規格、新鳥栖駅―武雄温泉間は在来線を活用し、軌間可変電車の導入を前提として事業認可がなされました。
仮に新鳥栖―武雄温泉間に新しく線路をつくってフル規格で整備することになると、事業費は大幅に増加し、新幹線事業の負担割合で佐賀県の実質負担額は、約750億円追加となるそうです。現在の負担額が225億円ですので、大きな負担増となります。
現在の軌間可変電車方式での整備計画は、新鳥栖―武雄温泉間は在来線を利用できますので、費用を抑えながら新幹線路線としても効果が出せるものと考えております。
工事につきましては、平成24年8月18日に長崎市内で諫早―長崎間約21キロメートルの起工式が行われ、平成34年度頃の開業を目指し、整備が推進されているところでございます。
江副 松田部長有難うございました。私は橋本市長に対してお聞きしました。私の新幹線政策に関する質問に対してトップとして正面からその考えを聞くことが出来なく大変残念に思います。私が整備新幹線の導入期についてその歴史を掻い摘んでお話ししたのに対して、最近の出来事をもってのご答弁でした。
平成23年の政府・与党確認事項「整備新幹線の取扱いについて」をベースとされていますが、それは言わずもながら民主党政権時代の政府・与党確認事項であります。今は自民党が政府与党の時代となりました。私は自民党としてその歴史的な約束事原子力船むつの受け入れ時の経緯、政治という世界の信義の重みを慮れば、佐世保市がお持ちになっている念書は大変重く受け止めるべきであります。一方政治は国民の意思により絶えず調整されるものです。橋本市長におかれましてはよくよく世の中の流れ・動きを鳥栖市民のためにも注視していただきたく思います。
フル規格で整備する場合は、4300億円の総事業費に対して、国の負担2/3の残り1/3が地元負担ですが、交付税の戻りを考慮するとその半分約750億円が地元佐賀県の負担と言われています。フリーゲージで整備する場合は路盤の強固化などまだまだ見えない費用の問題があり現在の負担額が225億円ということでしょう。先ほどの計算式から総事業費を割り戻すと1350億円となります。またフル規格になれば在来線はそのままでいいわけであり225億円の大半は消えるので、約750億円追加という追加との表現は大変不適切なものかと思います。
1350億円相当の公共投資から4300億円の公共投資になりその大半が他の整備新幹線と同様国が負担する点も熟慮すべきであります。
今、失われた20年、長くつついたデフレ社会という日本国の衰退から抜け出すためにアベノミクスという成長戦略へ多く舵を切りなおしています。ホップ・ステップ・ジャンプ金融緩和、財政出動、成長戦略という3本の矢が放たれようとしています。最後のジャンプで自律的にどこまで経済成長できるかというのが最も重要でしょうが、その前に財政出動によりすぐに実体経済を活性化させなければなりません。4300億円という事業費は単年度の費用でもなく、国は国としてより大きな経済の成長の為より質のいい公共投資を求めているのであり西九州ルートの全線フル規格化は優良な案件であると私は考えます。
阪神大震災、東日本大震災を教訓に策定された国土強靭化法の趣旨にもまさにあてはまるものであります。私は九州新幹線新鳥栖駅設置にあたり長崎県の大きな応援があったことを思い出します。新鳥栖駅に停車するさくら・みずほの停車本数要望、新鳥栖駅の利活用にあたり横軸の観光ネットワークなど西の方からの連携など大きな力となったことは言うまでもありません。そうした事実を謙虚に受け止めたいと思います。私は長崎の見方ばかりしているわけでもありません。鹿児島本線を見ればわかるように新幹線全線開通に伴い特急電車が廃止された代わりにその空いたダイヤを埋めるかのように快速電車が増便となり、在来線が大変利用しやすくなりました。フル規格になっても在来線は存続するのであり沿線住民の利便性も向上するわけであります。そうなれば在来線駅を活用した街づくりもしやすくなるわけであります。そうした事を考えれば沿線自治体からフリーゲージという多額の地元負担つきの社会実験参加に疑問の声が上がるのも私には理解できるわけであります。
再度お聞きします、西九州ルートの起点となる新鳥栖駅を要する鳥栖市長として全線フル規格に賛同すべきだと思いますがいかがでしょうか。
松田部長 江副議員のご質問にお答えします。
西九州ルートは、現在、武雄温泉―長崎間の整備が行われていますが、新鳥栖―武雄温泉間は在来線を走行することになっており、国が在来線区間の走行も出来る軌間可変電車を開発しています。
新幹線の整備につきましては、仮に新鳥栖駅―武雄温泉間をフル規格で整備することになれば、先ほどお答えしましたように大幅な負担増となり、概ね9年後の開通を考えたときには、財源の問題があるものと考えられます。
以上、ご答弁とさせていただきます。
江副 いつから鳥栖市は国の出先機関になってしまったのだろうと思うようなご答弁であり残念に思います。そして体制が変わっても昔のままの思考停止状態かのようです。
私が橋本市長に答弁するよう求めているのは、政治家としてこの街の未来についてどのように考えているのかお聞きしたかったからに他なりません。私も政治家の端くれではありますので、この街をどうすべきかという意見、政策というレベルではなくても抱負ぐらいは持っておりますし、それらを訴えてこうした公職を得ているのであります。橋本市長とて同じことでしょう。政治家はそうした意見をぶつけ合い、また切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべきだと私は常々考えおります。今回特にこの項目は様々な機会を私は用意して質問の趣旨を橋本市長にも説明してきたつもりですが、頑なに自らの言葉としてお話にならなくて大変残念に思います。
これで終わります。
私は橋本市長に西九州ルートの全線フル規格化について一般質問前に予め質問趣旨直接説明をしたうえで本会議で答弁を求めました。しかし、部下に指示を出した上で自ら答弁することを拒否されました。
切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべき
私の一般質問の結びの言葉は次のようなものです。
私が橋本市長に答弁するよう求めているのは、政治家としてこの街の未来についてどのように考えているのかお聞きしたかったからに他なりません。私も政治家の端くれではありますので、この街をどうすべきかという意見、政策というレベルではなくても抱負ぐらいは持っておりますし、それらを訴えてこうした公職を得ているのであります。橋本市長とて同じことでしょう。政治家はそうした意見をぶつけ合い、また切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべきだと私は常々考えおります。今回特にこの項目は様々な機会を私は用意して質問の趣旨を橋本市長にも説明してきたつもりですが、頑なに自らの言葉としてお話にならなくて大変残念に思います。
少し休養されてみては
執行部とは予め「聞き取り」という事前の作業を行うのですが、その際担当課は大変柔軟に私の趣旨を理解していただいていただけに、その後後ろ向きの答弁内容となったことには正直残念に思います。本議会で橋本市長に対して様々な観点から辞任を求める質問が他の議員からありましたが、市長は辞任はされないということです。私が日頃市役所を見ておりますと執行部のそれぞれの部署はまじめに政策として練り上げる作業をしているように感じています。しかし、問題となる大きな節目節目で非合理的な意思決定が下されているようでなりません。何かに付け厳しい意見をぶつけている私でも、善良な市民の代表のような橋本市長に対しては是是非非で望んでいるつもりでありますし、特に最近いい面に対して積極的に評価しているつもりだけに残念です。
少し休養されてみて鳥栖市政及び市長というものを客観的に眺めて見られることをお勧めします。
一般質問の全文は以下の通りです。
江副 天桜会の江副です。通告一覧表には最初の項目として西九州ルートの全線フル規格化についてとありますが、都合により先にサガハイマットの今後について質問させていただきたいと思いますので宜しくお願いいたします。
それではサガハイマットを核とした街づくりについて現時点でどのような絵を描いているのかについて質問してまいりたいと思います。今新鳥栖駅前の区画整理された大きな区画、6街区、7街区で新たな街づくりの足音が聞こえてまいりました。地権者の皆様の事業経営判断でレンタカー事業所、アパートそして大手ドラッグストアが建設されようとしております。そして期待としてではありますが、8街区には諫早市に本社を持つ大手冠婚葬祭会社が著名な建築家の設計によるシティホテルになるのでしょうか、新聞発表は平成26年3月オープンとなっておりましたがその建設が待たれるところであります。
ところで、本年6月1日サガハイマットはオープンされました。地元の議員としても皆様から感謝される施設として是非羽ばたいていただきたいと願わずにはおられません。そのサガハイマットを核とする街づくりの構想とはいかなるものなのかまずお聞かせさせていただきたいと思います。以後の質問は質問席からさせていただきます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
江副議員のご質問にお答えいたします。
サガハイマットを核とした街づくりのイメージにつきましては、基本的なことについては、交流人口の増加、新幹線利用者の増加、土地区画整理事業の早期進展、関連産業の集積や関連学会の開催の期待、久留米市との連携による医療技術の向上や医療ツーリズムの可能性などが挙げられるものと考えているところでございますが、現時点で、より具体的な構想といったものはございません。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 まず、核とすべきサガハイマットが思考されている方向性を確認させていただきたいと思います。私は5月29日にホテルニューオータニ佐賀で行われた開設記念式典に参加させていただきましたが、そういう観点からも大変いいお話を聞かせていただけたと思います。
先ず、一つ目としてセンター長のお話しでしたでしょうか、自らに求められる職責についてのお話です。それは1年間で800人の患者さんを治療することが求められている。一人の患者さんに治療として平均12回照射すると仮定すればセンターとして年間9600回照射をしなければならないことになる。年間の休日及び定期点検を考慮に入れれば240日程度の稼働日となる。となれば一回当たり20分程度で対応しなければならない。いかにスムーズに安定して稼働させるかそれが我々の使命だというような緊張感が伝わってくるお話しでありました。当然のように求められることが現場サイドとしてはいかに大変なことかという責任感からのお言葉のようで頑張っていただきたいなと心から思ったところです。サガハイマットは放医研の傘下と申しますか、その事業戦略構想の一翼を担うものとも聞いております。その位置づけつまり、そこで重粒子線治療施設設計の研究開発や重粒子線治療スタッフの研究者を育成するようなところではない、効率よく安定的に治療をこなすことに第一義的な任務があることはよく理解しておかなければならないのかと考えます。そうした理解で間違いないかご答弁を求めます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
議員ご指摘のとおりで間違いないと考えております。
以上、答弁とさせていただきます。
江副 最先端の装置を使ったそうした基幹となる任務をしっかり果たしていただけるよう、しっかり協力していかなければならないと私は考えるところです。ところで話は変わり夢のある今後チャレンジすべき事業展開の話題提供として、中川原晃先生の「希少がんと国際戦略」というお話が開設記念講演会としてありました。中川原先生は鳥栖市のご出身で国際的に著名ながん研究者です。以前千葉の放医研を地元から視察に行った際先生とお話しさせていただいたことがありますが、今回は大変夢のある話となりました。それはコンピューターの飛躍的な発展、それに支えられたヒトゲノムプロジェクト、その結果遺伝子レベルでがんの特定因子が次第に明らかととっている現状。先生の恩師のお話から自然治癒するがんと治らないがん。
今まで治療できたと思っても再発するがん、今まで確立された治療方法がないがんに重粒子線治療が貢献できるのではないかという期待。これまで症例が少ないのでなかなか実現しなかった希少がんというフロンティア領域に、先生が既に取り組まれている国際的なネットワークとその治療施設としてサガハイマットを組み合わせることによりがん撲滅というミッションに貢献できるのではないかというグローバルなお話でありました。
これから地方都市もグローバルな対応を求められる中で、サガハイマットが鳥栖市のグローバル化政策の一翼を担っていけるのかというかすかな光を見たような気がいたしました。鳥栖市の街づくりの方向性としても大変いい話ではなかったのかと思いますがご答弁を求めます。
野下部長 国際的な集患につきましては、がん治療財団でも既に、台湾放射腫瘤(しゅりゅう)学会との学術交流の協議やハワイ大学がんセンターとの医療機能連携に関する協定を締結されており、国際的な集患に繋がっていくものと考えられます。また、街づくりの点でも、国際的な広がりがあることは魅力があると考えられます。こうした動きには今後も注視してまいりたいと考えております。
江副 すでにサガハイマットがそうした国際的なネットワーク作りで実績をあげつつあるとの事でした。素晴らしいことだと思います。中川原先生が講演の中でお話しされた国際的な希少がんのネットワークそうしたものがサガハイマットでリンクされればよりサガハイマットの発信力も増すのではないかと期待いたします。ところで、サガハイマットは6月1日よりセカンドオピニオン外来・紹介外来が開設されました。先程施設の位置づけの中でお話ししましたように、センターに治療に訪れる患者数は限りがあるという厳然たる事実があります。そういうことからセカンドオピニオンにご対応いただける機能を付加されないのかという希望を随分前になりますが私は一般質問でさせていただいたことがあります。検査して癌だといわれて治療方針を示されても果たしてその方法がベストなのか命に係わることですし、納得いくまで聞いてみたくあります。本人に限らず身近な家族にとってもそうした心情になるでしょう。そうした状況において新鳥栖駅前という交通の便がとってもいいところで専門家のセカンドオピニオンが聞けるとなれば大変多くの人にとって福音であり有難いことです。その名声が高まれば高まるほど遠くより鳥栖に来られるお客様は増えるでしょうし、その足としての新幹線利用者の増加にも繋がるかと思います。サガハイマットにおけるセカンドオピニオンとは如何なるものか、また鳥栖市として如何に捉えるべきかご答弁をもとめます。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
サガハイマットでは、6月1日にセカンドオピニオンが開始されました。すでに、九州各県から、50名以上の予約が来ているということで、まずは順調な滑り出しとなったのではないかと考えております。このように、新鳥栖駅前という立地と鳥栖市自体の地の利という面では、既にその効果が出ていると考えております。この予約には、セカンドオピニオン目的の方も多いということで、議員のご意見のとおり、この世界最先端の治療施設で行われているセカンドオピニオンのPRは、鳥栖への来訪者を増やしていくうえで、大変有効であると考えます。先の臨時会でも、安倍総理の来訪を好機と捉えるべきだと議員からご指摘いただいております。こうしたこととも合わせながら、がん治療財団との協力を重ねていきたいと考えております。
以上、答弁とさせていただきます。
江副 鳥栖市としても強力にがん治療財団をサポートしながら鳥栖市本来の行政目的サガハイマットを核とした街づくりの実現に向けて着実にかじ取りをしていってもらいたいと思います。それでは次の質問にまいります。既にサガハイマットは開業されているのですが、サガハイマットに来られる患者さんお客さん、サガハイマット関係者の食事はどうされるのか、どうされているのか、近くに居て心配になります。弁当や立ち食いうどんばかりとはいかないのではないでしょうか。交流人口を増やしたい、お客さんに来てもらいたいというところはおもてなしの心というスローガンをかかげておられます。新鳥栖駅前は甚だ心寒い思いがします。テーブルに着き落ち着いて食事をするスペースの確保つまり飲食店街を早急に整備すべきと考えますがいかがでしょうか。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
新鳥栖駅前にはホテル建設予定地も確保されており、いずれ飲食も可能になるのではないかと考えておりますが、現時点では確かに、区画整理地内には飲食店等がないため、そういった施設の進出が望ましいと考えております。
しかしながら、新鳥栖駅前区画整理地内の今後の進捗につきましては、地権者の皆様のご意向が中心になってくるものと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 本件に関する質問冒頭でも現況をお話ししましたが、新鳥栖駅からサガハイマットにかけてを一つの動線と考えると飲食店が進出するスペースがもうあまりないのであります。街づくりにおいて食の問題は大変重要です。実は駅付近において特に食べ物の包がらなどごみの散乱に地元住民は悩まされています。毎日ごみ袋を以ってパトロールされている見守り隊の方もいらっしゃいます。一つには飲食店で食事を済ませるところがないというのは一つの原因ではないかと私は考えます。今一度チェックの程宜しくお願いいたします。サガハイマットを核とした街づくりのイメージとして土地区画整理事業の早期進展につきましては地権者の英断によって私としては順調に進んでいるのではないかと思います。また同じく関連産業の集積や関連学会の開催の期待というコンセプトまで考えますと、既に新鳥栖駅西区画整理事業としては用地不足の状況が目前に迫っているのかなとも私は思います。
私のこの認識について鳥栖市としてどのようにお考えになるかお答えください。
また、関連産業の集積とは如何なるものを指すのかお答えください。
野下部長 江副議員のご質問にお答えいたします。
江副議員のご質問にお答えいたします。
関連産業の集積や関連学会の開催については、何も区画整理地内だけを範疇とはとらえておりませんので、不足する・しないということは特にないと考えております。
関連産業の集積につきましては、狭義で言えば、重粒子線がん治療施設に関連した医療産業の進出がございます。また、そういう医療産業の技術が、市内の既存企業に浸透することも関連産業の集積に寄与するものと考えております。広義で言えば、先に議員がご指摘されたような飲食店を始め、ホテルなど来訪者向けの施設も含めたところで考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 土地区画整理事業の早期進展ということをサガハイマットを核とした街づくりのイメージの一つとしてお話いただいたので、であればサガハイマットの近くの土地はもうあまりありませんよという事をご指摘させていただきました。
医療産業の技術が、市内の既存企業に浸透することというご答弁は大変重要なご認識かと敬意を表したいと思います。国際リニアコライダー誘致に関する質問は今回しておりませんが、誘致のポイントとして国際リニアコライダーに関する技術の地場企業への移転ということがあります。宜しくお願いいたします。
さて、6月2日の西日本新聞1面6回シリーズ最終版「地域は変われるか 九電九州考」には「寄付は癒着の象徴か ハイマット」というショッキングな見出しの記事が目につきましたが読まれた方も多くいらっしゃることと思います。私が問題に思うのは次の部分であります。『九電の寄付の納付は遅れているが、ハイマットの資金繰りに問題が生じているわけではない。ハイマットは当初、総事業費150億円の大半を民間からの寄付・出資で賄おうと野心的な目標を掲げた。医療機器の大口支払などが迫り、運営財団は九電寄附分などを銀行融資に切り替えてのりきった。佐賀県の補助金増額なども含めた7月までの資金調達総額は113億円超。今後は治療費が入るため、運営に大きな支障はない。計画通り年間800人の患者を治療できるようになれば、20年後には、約100億円の内部留保がたまると佐賀県は試算している。九電の寄付を単純に差し引いても60億円―。ある関係者は「患者が計画通りに集まると、九電の寄付はなしでも何とか経営はやっていける」と明かす。』
3月議会からそそくさとどうしても4、5億円の追加支援を開業前にしなければならないとした理由は一体なんだったのかという批判の声が私のもとにもその日のうちに来ました。あの臨時議会、あれは何だったのでしょうか。
橋本市長は県と25億円の約束をしたとかしなかったとかということで代表者会、全員協議会で弁明の機会を求められました。本件の西日本新聞の記事に対して如何思われますか。ご答弁ください。
橋本市長 江副議員のご質問にお答えいたします。
市の補助金につきましては、まずは、がん患者やその家族にもたらす福利の大きさを考慮したということがございます。また、治療財団の借入金に伴う利子負担を軽減し、スムーズな開設と安定的な運営に繋げるために、誘致自治体としての役割・責務として一定の支援を行うものでございます。
新聞記事にある九州電力と佐賀県の関係や、九州電力の寄附の遅滞とは関係はございませんので、この件につきましては、特段、感想はございません。また、財団の運営についても、集患計画が達成されればという前提でございますし、この件につきましては、やはり誘致自治体の責務・役割として受け止め、今後、治療財団と連携し、協力していかなければならないと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 市民に新たな負担を求めたのだから市民に分かるように説明してほしいと臨時議会の議案審議で私はお願いしましたがそうした答弁はありませんでした。議会の議決は議決として尊重いたしますが、市民感情からするとそれほどクールに割り切れないところがあることだけはご助言しておきます。オープニングセレモニーに無理やり合わせた資金支援は当時の佐賀新聞を初めとする新聞の論調、資金難のサガハイマットを救うためではなく別の意図があったのでしょうか。
今回も治療財団の借入金に伴う利子負担を軽減し、スムーズな開設と安定的な運営に繋げるために、誘致自治体としての役割・責務として一定の支援を行うものというご説明です。
では次の「神奈川県は15年度から、県の関連病院で重粒子線治療を始める予定だが、初期投資120億円の8割を借金で賄言う」とある部分についてお聞きしたいと思います。そもそも借入金をベースとした神奈川県立ガンセンターの件についてご説明ください。また、佐賀県は総事業費150億円の大半を民間からの寄付・出資で賄おうと野心的な目標を掲げたと新聞には書かれていますが、神奈川県のように直轄事業として行うようなことは検討されたのでしょうか。合わせてご答弁ください。
野下部長 神奈川県の重粒子線がん治療施設に関してのご質問でございますが、通称ではi-ROCK(アイロック)というそうですが、この施設は、地方独立行政法人神奈川県立病院機構が事業主体として事業が進められております。全体事業費は約118億円、治療開始予定は平成27年12月とのことです。
財源等につきましては、新聞報道のとおり、事業費の約8割は借入金ということでありました。この借入金は、地方独立行政法人は起債が許されていないため、神奈川県が起債し神奈川県立病院機構に貸し付けているとのことでございます。残りにつきましては、約1割を法人の留保金、残る約1割につきましては、神奈川県の負担金により賄っているとのことでございます
サガハイマットも県立で整備できたのではないかとのご指摘につきましては、市が事業主体ではないので、お答えしづらい部分もございますが、佐賀県は当初より県内に誘致というスタンスで事業推進をされてきたということでございます。いずれにせよ、神奈川県の事例と佐賀県の事例は全く違うモデルケースとなっておりますが、各自治体の事情により判断されるものではないかと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 神奈川県立がんセンターはサガハイマットより一年遅れでスタートするのかなと私はもう数年前になりますが、認識しておりました。現在の予定は平成27年12月ということで2年半伸びたという状況かと思います。と申しますのは神奈川県立がんセンターのケースは地下に加速器を設置する施設構造であり、私は鳥栖も同じように地下室がある構造にすべきだと私のブログにも書いているし執行部にお願いしていた経緯があるからです。しかし、工事費が嵩むので無理だというお話でした。ところが蓋を開けてみると工事費がかかると思われていた神奈川県立ガンセンターの全事業費が118億円ということです。一方サガハイマットの初期投資額は150億円であり全く変わりません。逆ならわかりますが。
この違いは何なのかということです。神奈川県は県事業でありますので、入札が行われています。入札結果は公開されており、高い装置代もサガハイマットの作られた三菱電機、そして日立、東芝の3社による総合評価方式の競争入札が行われ、最高評価であった東芝が落札されています。サガハイマットが中々内情が外から見えないのに対して、神奈川県の方が公的な性格の分、厳しい予算チェックが行われているのではないかという素朴な疑問も湧いてきます。
また、神奈川県立ガンセンターは地方債を上手に使っておられるなと思います。将来重粒子線治療が標準治療になれば国の普通地方交付金としての戻りもいくらか期待できるのでしょうか。一方サガハイマットは民間財団として設立した関係上、そうした国のお金を上手に取り込む道も閉ざされているかのようです。
そうした中、同じく新聞記事には「計画通り年間800人の患者を治療できるようになれば、20年後には、約100億円の内部留保がたまると佐賀県は試算している。」とあります。そういう試算を本当にしていたとすればなぜ県の担当者は我々に事前に説明してくれなかったのかと腹立たしく思います。新聞報道の真偽はこれ以上追及しませんが、そのような認識があれば少なくとも約100億円から金利を割り引いた金額分は神奈川県と同じように借入金で調達するというのが将来にわたる負担の公平という観点からも当然ではありませんか。ご答弁をもとめます。
橋本市長 江副議員のご質問にお答えいたします。
神奈川県のように、事業費の大半を公費で賄うことがいいのか、また、佐賀県のように事業費の調達を民間主体として推進され、公費の支出を抑制するのがいいのか、負担の公平ということを考慮しても、その是非についての判断は難しいと考えております。
以上、ご理解をお願いし、答弁とさせていただきます。
江副 民間の剰余資金が十分にありその運用を企画する場合であれば、財団を設立し民間としてスタートするメリットは多分にあります。しかし資金問題がクローズされた昨今、事業主体としてのみならず、資金調達のスキームつまり事業費の調達を民間主体として推進するというスキームを主導してきた佐賀県が、実は資金計画に対して責任を負わない状態になっているという問題も見えてきました。即答していただく必要もありませんが、今後はよくよく比較検討される、あるいはそうした問題点も助言をされることを希望します。もちろん財団の趣旨に賛同される寄付者の意思を大事にするのは非常に結構なことだと思います。しかし、無理してまで強要すれば弊害も出てくることもありましょう。また公費、税金を使えれば、そして使うとなればそのチェックは言わずと厳しくなり、結果として少ない負担で済むといういい面もあることは神奈川県の例を見れば明らかでしょう。ざっくりとした比較ですがその32億円という差額は重く感じます。
最後に民間での重粒子線がん治療施設の開設は日本国内初となりますとよく自慢げに言われますが、それっていいことばかりなのでしょうか。民間は儲かると思えば、つまり消費者がお金を出しても商品・サービスを求めていると考えれば提供するのが民間です。重粒子線施設がいたるところにできたら鳥栖市にとってはたまったものではありません。サガハイマットは九州唯一の重粒子線施設となるよう九州全域から支持されることが今後もっとも重要です。そのため広く開かれたそしてオンリーワンの施設運営を目指していただくことを強く願っています。
癒着と絆、言葉のもつ響きは正反対ですが、共に人と人、人と団体との繋がりの力を表す言葉です。そうした事からするとサガハイマットは既に金銭に換算できない無形の財産を絆として多方面に築きつつあるものだと未来志向で考えていきたいと思います。是非、サガハイマットが鳥栖市の街づくりの核となることを願って次の質問に移りたいと思います。
西九州ルートの全線フル規格化についての質問です。
江副 昭和48年当時の長崎新幹線は佐世保付近を経由して終着駅を長崎とするルートで整備計画が策定されたが、石油危機を転機に政府は方針を転換し凍結されました。ところが、49年9月に日本初の原子力船「むつ」が放射能漏れ事故を起こし、政府は厳しい批判にさらされる。むつの受け入れ先がどこも見つからない中、昭和53年に佐世保市は佐世保港での受け入れと修理を表明。その見返りとして自民党は、九州新幹線鹿児島ルートや東北新幹線延伸などとともに長崎新幹線の優先着工を約束したのだった。その証が同年5月26日付けの念書。それには「新幹線の工事着工について 長崎新幹線の工事着工は他の4路線に遅れないこととする」とあり、当時久保長崎県知事に宛て、大平正芳自民党幹事長、中曽根康弘総務会長、江崎真澄政務調査会長が連名で署名されたものであった。
昭和60年には当時の国鉄は佐世保市早岐を通る長崎新幹線のルートを公表したが、その後国鉄の分割民営化により事態は一変する。昭和62年12月16日国鉄から新たに誕生したJR九州は収支に疑問を呈する報告書を運輸省に提出。そして、長崎新幹線の着工そのものが雲行き怪しくなる中、平成3年9月17日、井本勇知事が佐世保を経由しない短絡ルートを「独自案」として発表。10日後には高田勇長崎県知事が佐世保市を訪れ、市長や市議会に長崎県としても短絡ルートを国やJR九州に要望していく考えを説明した。
佐世保市は激しく抵抗したが平成4年11月25日長崎県は短絡ルートを地元案として決めることになる。同時に佐世保市への“配慮”として「佐世保市にも在来線を利用したスーパー特急を直通させる」という一文が添えられた。その現在的表現がJR佐世保駅前に建てられた看板「めざせ 新幹線の佐世保乗り入れ 佐世保にフリーゲージトレインを!」となっています。
以上平成25年3月17日産経新聞の記事を抜粋引用させていただきましたが、九州新幹線西九州ルートは佐世保市の少なくとも2度にわたる苦渋に満ちた政治判断により日の目を見るようになったわけであります。
新鳥栖駅は九州新幹線上の駅として平成23年3月12日に開業することが出来ました。しかし、なぜ新鳥栖駅の設置が認められたかというとそれは長崎新幹線の分岐駅という位置づけがあったればこそであります。鳥栖市政の一翼を担うものとしてこうした歴史の重みを感じないわけにはいきません。
佐世保市としては新幹線が来ないなら少なくとも現在走っているみどり・ハウステンボス号同等の路線を確保したい、そして高規格の新幹線にも対応したいというというメッセージだと受け取れます。
私は先人の苦労のもと新幹線新駅という新たなレベルでの街づくりをするツールを得たものとして、その恩に報いることは当然であろうかと思います。
それでは鳥栖市として何をなすべきか、それは新鳥栖駅から武雄温泉駅まで51㌔の在来線とは別にフル規格で整備することであります。フリーゲージは武雄温泉駅から以西の佐世保線に使われるべきだと考えます。
古川知事に対する質問箱にはフリーゲージトレインそのものに対して疑問の声も数多く上がっています。しかし方や佐世保市のようにフリーゲージトレインを待ち望む声もあります。フリーゲージトレインは在来線区間は130㌔制限の特急電車、新幹線区間は260㌔制限の新幹線として走行します。ただし、新幹線と在来線の接続部で低速で走行により軌間変換するため5分程度のロスが発生します。現在博多・佐世保、ハウステンボス間は1時間50分程度の時間を要します。もし、武雄温泉から新幹線となれば佐世保線在来線区間は現在の単線のままとして変わらず45分程度、そして新幹線区間は各駅に止まったとして30分程度、フリーゲージのロスタイムを5分と見れば80分、つまり1時間20分となり現在より30分の時間短縮となります。ところで現在予定されている新鳥栖から武雄温泉まで在来線を使うとなれば、佐世保から新鳥栖までは現在の一部単線のままでは1時間23分、フリーゲージロスタイム5分、新幹線で博多まで13分、合計1時間41分となりほとんど時間短縮とはなりません。現在はJR西日本区間については車両が重く、スピードが出ないフリーゲージトレインでの乗り入れにJR西日本が難色を示している状況ではフリーゲージトレインと言えども関連整備にそれ相応の多額の資金を必要とするのに対してあまりにもメリットがありません。
その上今、フリーゲージトレインが在来線を通ることに対して沿線自治体から疑問の声が上がっていることは先の3月議会でお話ししました。こうした中、全線フル規格を目指すグループからの要望に対して鳥栖市の現状にのみ満足したかのような橋本市長のご対応に対し私は懸念を表明させていただきました。
これまでご説明させていただいた新鳥栖駅開業に至った経緯を踏まえれば、佐世保線に佐世保市が希望されるフリーゲージトレインが走ることを視野に入れて西九州ルートは全線フル規格で整備すべきと私は思います。西九州ルートの起点となる新鳥栖駅を要する鳥栖市長として私の訴えに対して橋本市長如何思われますか。ご答弁宜しく願いたします。
松田部長 江副議員のご質問にお答えします。九州新幹線西九州ルートのフル規格での整備についてお答えいたします。
先の3月議会でも答弁しておりますが、九州新幹線西九州ルートの整備についましては、平成23年の政府・与党確認事項の「整備新幹線の取扱いについて」において、九州新幹線西九州ルートの武雄温泉―長崎間については、諫早―長崎間の着工から概ね10年後を開業時期とし、軌間可変電車方式により整備することとされています。
現状といたしましては、昨年6月29日に既着工区間の武雄温泉―諫早間に加え、未着工区間であった諫早―長崎間を含めた武雄温泉―長崎間のフル規格、新鳥栖駅―武雄温泉間は在来線を活用し、軌間可変電車の導入を前提として事業認可がなされました。
仮に新鳥栖―武雄温泉間に新しく線路をつくってフル規格で整備することになると、事業費は大幅に増加し、新幹線事業の負担割合で佐賀県の実質負担額は、約750億円追加となるそうです。現在の負担額が225億円ですので、大きな負担増となります。
現在の軌間可変電車方式での整備計画は、新鳥栖―武雄温泉間は在来線を利用できますので、費用を抑えながら新幹線路線としても効果が出せるものと考えております。
工事につきましては、平成24年8月18日に長崎市内で諫早―長崎間約21キロメートルの起工式が行われ、平成34年度頃の開業を目指し、整備が推進されているところでございます。
江副 松田部長有難うございました。私は橋本市長に対してお聞きしました。私の新幹線政策に関する質問に対してトップとして正面からその考えを聞くことが出来なく大変残念に思います。私が整備新幹線の導入期についてその歴史を掻い摘んでお話ししたのに対して、最近の出来事をもってのご答弁でした。
平成23年の政府・与党確認事項「整備新幹線の取扱いについて」をベースとされていますが、それは言わずもながら民主党政権時代の政府・与党確認事項であります。今は自民党が政府与党の時代となりました。私は自民党としてその歴史的な約束事原子力船むつの受け入れ時の経緯、政治という世界の信義の重みを慮れば、佐世保市がお持ちになっている念書は大変重く受け止めるべきであります。一方政治は国民の意思により絶えず調整されるものです。橋本市長におかれましてはよくよく世の中の流れ・動きを鳥栖市民のためにも注視していただきたく思います。
フル規格で整備する場合は、4300億円の総事業費に対して、国の負担2/3の残り1/3が地元負担ですが、交付税の戻りを考慮するとその半分約750億円が地元佐賀県の負担と言われています。フリーゲージで整備する場合は路盤の強固化などまだまだ見えない費用の問題があり現在の負担額が225億円ということでしょう。先ほどの計算式から総事業費を割り戻すと1350億円となります。またフル規格になれば在来線はそのままでいいわけであり225億円の大半は消えるので、約750億円追加という追加との表現は大変不適切なものかと思います。
1350億円相当の公共投資から4300億円の公共投資になりその大半が他の整備新幹線と同様国が負担する点も熟慮すべきであります。
今、失われた20年、長くつついたデフレ社会という日本国の衰退から抜け出すためにアベノミクスという成長戦略へ多く舵を切りなおしています。ホップ・ステップ・ジャンプ金融緩和、財政出動、成長戦略という3本の矢が放たれようとしています。最後のジャンプで自律的にどこまで経済成長できるかというのが最も重要でしょうが、その前に財政出動によりすぐに実体経済を活性化させなければなりません。4300億円という事業費は単年度の費用でもなく、国は国としてより大きな経済の成長の為より質のいい公共投資を求めているのであり西九州ルートの全線フル規格化は優良な案件であると私は考えます。
阪神大震災、東日本大震災を教訓に策定された国土強靭化法の趣旨にもまさにあてはまるものであります。私は九州新幹線新鳥栖駅設置にあたり長崎県の大きな応援があったことを思い出します。新鳥栖駅に停車するさくら・みずほの停車本数要望、新鳥栖駅の利活用にあたり横軸の観光ネットワークなど西の方からの連携など大きな力となったことは言うまでもありません。そうした事実を謙虚に受け止めたいと思います。私は長崎の見方ばかりしているわけでもありません。鹿児島本線を見ればわかるように新幹線全線開通に伴い特急電車が廃止された代わりにその空いたダイヤを埋めるかのように快速電車が増便となり、在来線が大変利用しやすくなりました。フル規格になっても在来線は存続するのであり沿線住民の利便性も向上するわけであります。そうなれば在来線駅を活用した街づくりもしやすくなるわけであります。そうした事を考えれば沿線自治体からフリーゲージという多額の地元負担つきの社会実験参加に疑問の声が上がるのも私には理解できるわけであります。
再度お聞きします、西九州ルートの起点となる新鳥栖駅を要する鳥栖市長として全線フル規格に賛同すべきだと思いますがいかがでしょうか。
松田部長 江副議員のご質問にお答えします。
西九州ルートは、現在、武雄温泉―長崎間の整備が行われていますが、新鳥栖―武雄温泉間は在来線を走行することになっており、国が在来線区間の走行も出来る軌間可変電車を開発しています。
新幹線の整備につきましては、仮に新鳥栖駅―武雄温泉間をフル規格で整備することになれば、先ほどお答えしましたように大幅な負担増となり、概ね9年後の開通を考えたときには、財源の問題があるものと考えられます。
以上、ご答弁とさせていただきます。
江副 いつから鳥栖市は国の出先機関になってしまったのだろうと思うようなご答弁であり残念に思います。そして体制が変わっても昔のままの思考停止状態かのようです。
私が橋本市長に答弁するよう求めているのは、政治家としてこの街の未来についてどのように考えているのかお聞きしたかったからに他なりません。私も政治家の端くれではありますので、この街をどうすべきかという意見、政策というレベルではなくても抱負ぐらいは持っておりますし、それらを訴えてこうした公職を得ているのであります。橋本市長とて同じことでしょう。政治家はそうした意見をぶつけ合い、また切磋琢磨の議論を通して政策として練り上げていくべきだと私は常々考えおります。今回特にこの項目は様々な機会を私は用意して質問の趣旨を橋本市長にも説明してきたつもりですが、頑なに自らの言葉としてお話にならなくて大変残念に思います。
これで終わります。