
明けの明星が、くっきり輝いていた。
そして中天高く下弦の月がかかり、一本の道を照らしていた。
その道を辿れば、そのまま宙(そら)の明星へ至る、
そんな空と地の境が曖昧な浮遊感を伴う時刻だった。
夜の底から、くねくねと細い道を辿り、宙の高みに至る。
綺羅星の宙は、黎明の曙光と共に、蒼穹の青に高く高く吸い込まれる。
成層圏の彼方まで透き通る青に満たされた、ここは宙(そら)の領域。
凍てついた霜月の朝、一の森(クラセノ頭)山頂の気温は氷点下4℃だった。
降雨後の霧氷風景を思い描いて山へ入った。
シトシト軒を打つ雨音を終日、聴きながら本を読んでいた。
アラン・フルニエの「グラン・モーヌ」再読。
11月の霜の朝から始まる彷徨の物語は、ある系譜を成していると云われる。
フィッツジェラルドの「グレート・ギャッビー」からチャンドラーの「ロング・グッドバイ」へ、
さらに村上春樹の「羊をめぐる冒険」へ繋がる失われたものを探し求める旅。
思春期の頃、フランスの国民的文学「グラン・モーヌ」を原作とした映画と出会い強く心惹かれた。
それから「ロング・グッドバイ」も「グレート・ギャッビー」も「羊をめぐる冒険」も
私の惹かれる物語は、不思議に同じ系譜を辿っていたようだ。
それを指摘してくれたのは内田樹だった。
改めて詩人、天沢退二郎訳の岩波文庫版、「グラン・モーヌ」を11月の時雨の山へ持って来た。
フランス田園地帯の晩秋の風景と見事に重なる山小屋で読み進める物語は、
あまりにも物語世界へ気持ちが同化してしまって怖いくらいだった。
映画でヒロイン、イヴォンヌを演じたのは「禁じられた遊び」のブリジット・フォッセーだった。
翌朝、雨上がりの二の森は、見事に霧氷に覆われていたが、
押し寄せる雲の波が高過ぎて、白いガスの底に沈んでいた。
もう少し辛抱すれば時折、ガスが切れていたのにね。
小屋へ帰る途中、一の森を振り返ると、
雲の切れ間に頂きを白く覆われた山稜が望まれた。
また出直しです。
帰路の面河紅葉街道は、鮮やかな彩の秋真っ盛りでした。
先日、いがり氏にジャンルを聞かれてついnatureと答えてしまい「辛抱の世界、一番難しい、ましてfilm時代は通ったでしょう」とも・・・
仰る通り私は随分と無茶を通してきましたからね
夫婦で話し合って還暦を迎えるにあたって少しずつ身辺整理を始めました
活字離れの現在、鈍った脳味噌活性化の意味でも就寝前の読書良いかもしれませんね
二の森までの笹原は、たっぷり露を帯び足元から下半身は、びっしょり濡れていました。
日の出前(5時半)から9時まで二の森山頂でガスが晴れるのを待ちました。
気温は氷点下1℃でしたが、風が強く凍える寒さでした。
石鎚山頂と違って、ここには風避けの避難場所がありません。
3時間半、吹き荒ぶ風の中で露に濡れた下半身を晒すのが限界でした。
まぁ、まだ霧氷の季節は始まったばかりです。
これからチャンスは幾らでもあります。
今回も面河道からの石鎚入山を当初は計画していました。
薪ストーブの側で本を読むか?
雄大な笹原の景観の霧氷風景を狙うか?
の選択で悩みました。
結局、最期の石鎚山岳風景として入れ込んでいる堂ヶ森を選びました。
なかなか思うような風景と出会えませんが、しばらく通ってみます。
残された時間を考えると、もう誰もが撮っている同じ風景を追いかけても意味がありませんから。
いがりまさしさんの牧野植物園企画の植物写真講座、充実していましたね。
いがりさんが、私のブログ記事を御存知だったとは、恥ずかしいやら嬉しいやら(笑)
私の花撮影で、最も影響を受けた写真家ですから尚更です。
あの雑草と顧みられない路傍の花に向けられる優しい視線が、この人の自然観を偲ばせます。
自分さえ良ければ、それでいいと云う傲慢な人間中心の自然観には正直うんざりしています。
雑草も害獣も等しく、この生態系に繋がる命の連鎖なのですから。
それぞれのニッチを尊重しなければ。
多様性や持続可能な世界の意味をそれぞれが問い直してほしい。
何処か、今の日本人は大事なものを見失っているように思えます。
保井野~堂が森は何度か歩きましたが、面河周辺はまだ訪れたことがありません。
いつか・・・と思いながらランスケさんの写真を見ながらその思いが加速していきます(^^)/
1枚目の遥かなる天と地の境界線、吸いこまれそうな感覚になりますね
いつかこの目で見てみたい・・・です。
先日の閉門祭ではF島さん、風雪さんとご一緒になり色々勉強させていただきました。
下山道では、愛大山岳会名誉会長さんの素敵なお話を伺うこともできとても充実した時間となりました。
愛媛の皆さんの熱い情熱に大いなる刺激を受けました(*'▽')
よ~~し、私も私なりにいい時間に出来るよう過ごしたい!!と思っています。
しずくさんも四国屈指の急登を登られているのですね。
堂ヶ森から二の森に至るルートは、夏山縦走のトレーニングとして皆さん利用しています。
笹尾根を辿る急登は息が上がりますが、縦走路として稜線を辿る充足感は格別です。
そして堂ヶ森からの展望は、日本有数の山岳風景だと自負しています。
(どうも日本人は有名なブランドイメージが優先し足元の無名の風景には感心を抱きませんが)
もう一つ面河から石鎚へ至る面河道は間違いなく日本屈指の山岳ルートです。
登山口から山頂へ森林垂直分布が体験出来る稀有な登山道です。
是非、登ってください。
こんな道は全国探しても滅多にありません。
私も随分、このルートは通いました。
石鎚修験道の古来から道を辿る唯一の自然林のルートです。
他のルートは全て人工の植林帯を歩きますからね。
そうですか。
石鎚へ通い続けると沢山の山を愛する人達と出会います。
先人たちの偉大な智恵を大事にしてください(笑)
間違いなく、これは役に立ちますから。
自然は待ってくれないし、チャンスも一瞬!
見事な切り取りで晩秋の石鎚山系を楽しませてもらいました。
寒暖の変化が今年は特にひどいような気がします。
そのため自然界も悲鳴を上げているような気がするのは私だけかもしれません。
次回は冬支度をした石鎚でしょうか?
楽しみです。
晩秋も季節の端境期なので三寒四温というのでしょうか?
なかなか思うような風景と出会えません。
雨上がりの週明けも気温が高過ぎて霧氷がつくか微妙な気温です。
(せめて平地の最低気温が8℃以下だと山では氷点下に気温が下がります)
早く、キリリと身が引き締まるような寒気の訪れを待ち望んでいます。
以下に貼り付けたような風景に出会いたいです(笑)
http://blog.goo.ne.jp/toshiaki1982/e/538435e715ac77b2a8e3461dd6d4c1d3
堂ヶ森からの風景も笹原に樅の三角帽子が林立しているので霧氷と初冠雪が楽しみです。
メゲないで頑張ってみます。
鬼城さんもバージョンアップしたカメラとレンズで撮影を楽しまれていますね。
宇和海に沈むダルマ夕陽期待しています。