野菊
2007-10-29 | 花
Nikon D200 TAMRON SP90 soft□□
秋は、菊の季節でもあります。
菊は桜と並び日本の国花、皇室の紋章にもなっていますが、その種類は実に多く、日本をはじめ世界各国で品種が作られ、現在では世界三大花の一つになっているのだそうです。
日本ではこの時期、伝統的な大輪菊の鑑評会が催されたり、花屋の店頭にはスプレー菊やポットマムなど色とりどりの愛らしい小菊たちが咲き並びます。
見事な造形美を誇るものや、かわいらしさ満点の園芸菊も素晴らしいと思うのですが、
私は野菊が好きです。
作られた華やかな世界とは無縁に、道端の雑草の中にその花の色をそっと溶け込ませ、静かに群れ咲く野菊。注意して見ないと見過ごしてしまいそうな地味な花ですが、誰にも迷惑はかけまいという風に慎ましく、だけれども朝夕の冷え込みが厳しくなるこの時期にしっかりと健気に咲いている姿、それはまるで、ささやかな願い事や小さな祈りの様にも見えて、何か愛おしく感じるのです。
季節の終わり、野の花の一番最後に咲く花、野菊。
漢名の「菊」とは、“究極、最終”を意味し、一年の一番終わりに咲くことから名づけられたそうです。
『真(まこと)に民子は野菊の様な児であった。民子は全くの田舎風ではあったが、決して粗野ではなかった。可憐(かれん)で優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とかいう所は爪の垢(あか)ほどもなかった。どう見ても野菊の風だった。』 ~「 野菊の墓 」(伊藤左千夫)より~
野菊のように 小内 清子 文芸社 このアイテムの詳細を見る |