
あけましておめでとうございます。
え~昔、江戸は神田に虎蟲というカラクリ師がおりまして、アンドロイドとなかよく暮らしておりました。
さて、元旦の夜のことです。
「これ、メカ吉」
メカ吉ってぇのはアンドロイドの名前でございます。
「ヘイ、旦那様、御用デスカ?」
「お前、夢を見たことがあるかい?」
「イエ、一度モゴザイマセン」
「そいつはおかしい、お前も夢を見るように作ったはずじゃ。今宵見る夢が初夢じゃ。もうよいから休みなさい」
「アリガトウゴザイマス」
「初夢を見たら教えておくれ。おやすみ」
「ハイ、オヤスミナサイマセ」
て~わけで、二日の朝になりました。
「夢は見たかな?」
「ソレガ、見マセンデシタ」
「そんなはずがない。さ話しなさい」
「見テマセン」
「この嘘つきめ!」
可愛さあまって憎さ百倍、虎蟲はメカ吉を追い出してしまったのでございます。
追い出されたメカ吉、行くあてとてございません。途方にくれたのち、ふと思いました。
「富士デモ見ニ行クカ」
ジェット噴射でひとっ飛び、たちまち富士山頂です。
「アー、イイ眺メダ」
と突然、地鳴りがワラワラ、足下には無数の亀裂。ドッカアアアアアンと富士山大噴火です。
危機一髪、何を逃れたメカ吉、ビックリです。
火口から巨大な鷹が出現!しかもその鉤爪には黒光りする大ナスをつかんでおります。
ザッパアアアアアン
今度は海中より、扇をパラパラ振り煙草をスパスパくわえた巨大座頭が出現、田子ノ浦の白浜に上陸します。
「ギョエエエ!」
「グワアアア!」
二大怪獣大決戦!いやもうすごいのなんの。
メカ吉、この空想科学特撮パノラマ図絵を見て、さすがに現実デハナイノデハ?と疑い始めました。
「ソウカ、朝起キタトコロカラ夢ダッタンダ!確カメヨウ」と頭を叩きます。
ガン、ガン、ガン・・・
イタタタタ!痛いなあ、やっぱり夢かあ。
と目覚めてみると、自分は虎蟲。そうそう、メカ吉が心配で跡をつけてきて、松林の陰からこっそり様子を見ていたところだった。
白浜では二大怪獣が大決戦の真っ最中。
「まさかコレ、現実じゃないよなあ」と、自分の頬をつねります。
いたたたた!痛イナア、ヤッパリ夢カア。
と目覚めてみると、自分はメカ吉。
「あんどろいどモ夢ヲ見ルノダナ。イヤ、心配ダ、確カメヨウ」
ガン、ガン、ガン・・・
イタタタタ!痛いなあ、やっぱり夢かあ。
と目覚めてみると、自分は虎蟲。白浜では二大怪獣が大決戦の真っ最中。
「まさかコレ、現実じゃないよなあ」と頬をつねります。
いたたたた!痛イナア、ヤッパリ夢カア。
と目覚めてみると、自分はメカ吉。
「心配ダ、確カメヨウ」
ガン、ガン、ガン・・・
ハテシナキ アワセカガミノ ユメノユメトキワカキワニ オメデタキカナ
今年もよろしくお願いします。

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