映画『バウンド』

2012年11月16日 | 映画の感想



監督 アンディ・ウォシャウスキー 、ラリー・ウォシャウスキー
ジェニファー・ティリー (Violet)
ジーナ・ガーション (Corky)
ジョー・パントリアーノ (Joe Pantliano)
ジョン・P・ライアン (Mickey Malnato)
クリストファー・メローニ (Johnnie Marzzone)
リチャード・C・サラフィアン (Gino Marzzone)
ピーター・スペロス (Lou)

マフィアの金を奪って逃走せんとする2人の女の姿を描いたクライム・サスペンス。「暗殺者」「アンフォゲタブル」の脚本を手掛けたラリー(65年生まれ)とアンディ(68年生まれ)のウォシャウスキー兄弟が初監督と脚本、製作総指揮を兼ねた第1回作品で、ひねりの効いた脚本とユニークな人物設定、斬新な映像・音響設計など才気あふれるところを見せる。製作はアンドリュー・ラザーとスチュアート・ボロス、撮影は「クルーレス」のビル・ポープ、音楽はドン・デイヴィス、プロダクション・デザインはイヴ・コーリー、美術監督はロバート・ゴールドスタインとアンドレア・ドパソ、編集はザック・スタンバーグ、黒を基調にした衣裳は「プリシラ」のリジー・ガーディナーが担当。主演は「ライアーライアー」のジェニファー・ティリー、「ショーガール」のジーナ・ガーション、「悪魔たち、天使たち」のジョー・パントリアーノ。共演は「ホワイト・サンズ」のジョン・P・ライアン、「12モンキーズ」のクリストファー・メローニ、「クロッシング・ガード」などで俳優としても活躍する映画監督のリチャード・C・サラフィアンほか。97年ポルト国際映画祭グランプリ、主演女優賞(ジェニファー・ティリー)受賞。

★★★☆☆
ウォシャウスキー兄弟が『マトリックス』を作る前に撮ったクライム・サスペンス映画。レズビアンの女泥棒コーキーが服役を終えて、改装修理のしがない仕事をやっているんだが、隣の部屋に暮らす、ヴァイオレットという女性と会ったことから、共謀してマフィアの金200万ドルを盗む計画を立てる、といった話。映画は、コーキーが暴行を受けて縛り上げられた絶体絶命の状況からここまでの顛末を回想する形で語られていく。つまりコーキー目線でことの次第が明らかになっていくわけで、相方のヴァイオレットが果たしてコーキーを本気で愛しているか?コーキーをはめて金をせしめようとしているんではないか?という興味が映画の核になる。さらに、マフィアの凶暴な男ども相手に、丁々発止の裏のかきあいを繰り広げるあたりがスリリング。腕力だけではとても勝ち目のない華奢な女性たちだけに、ハラハラドキドキ度は倍増する。しかし、エンドタイトルが流れ始めると、実はこの映画、コーキーじゃなくてヴァイオレット中心だったということがわかる。向こう気の強いコーキー以上に、か弱いイメージの彼女が窮地に陥った状況に感情移入してしまっていたことに気づくのだ。この目線は、まさにラナ・ウォシャウスキー目線なんじゃないだろうか?兄のラリー・ウォシャウスキーは2008年に性同一障害によりラナ・ウォシャウスキーとなったことを考えると、ヴァイオレットの女性目線はきわめてラナ・ウォシャウスキーに近いんじゃないか?なんて思えてくる。
コミック大好きなウォシャウスキー兄弟(姉弟?)らしく、スタイリッシュな絵づくりやキレのある展開は『マトリックス』を彷彿とさせる。独自の世界観にのめり込んで、スゴイけど退いちゃう曼陀羅図絵みたいなもんになってしまった『マトリックス』の続編よりも、こっちの映画のほうがエッジが効いてて好きだな。


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