(四)
「君の心理は分かんない。
反則金に免停だよ、そんな大きな代償を払うようなものかね。」
「フン、あんたのような安全運転の模範生じゃダメだ。
この気持ちが分かる筈がない。
第一、後ろの車の迷惑だ。
ノロノロすぎる。
追い越しなんかで、意地悪されないかい?」
「そんなことはないさ。
ちゃんと、交通法規通りに走っているんだ、大丈夫だよ。」
「あぁもう、ホントに分かってない。
法規なんて、破る為にあるんだぜ。
誰も破らないんだったら、作る必要がないじゃないか。
それにポリスという職業がある以上、誰かが違反しなきゃ。
そうでなかったら、ポリスさん達おまんまの食い上げだ。」
「そんなこと、君が心配することはないサ。」
「我々青年はだ、…、やめた。
あんたにこんなこと言っても始まらない。」
俺は諦めた、この無気力な男には何を言っても無駄だと。
人生観が違いすぎる、と。
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