昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~ (九十三) 今、反省しているところだ

2014-07-31 09:11:03 | 小説
「帝王切開って。あの、お腹を切るってやつですか?」 「あぁ。母体が危ないと判断したら切りますから、ご了解くださいだとさ。書類に署名もさせられた」 「そうですか、それはそれは。ちと、大事にされすぎましたね。仇になったってわけですか」 「うん、考え違いをしたよ。小夜子にも赤子にも、悪いことをしてしまった。今、反省しているところだ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~ (九十三) 最悪、帝王切開しますって言われたよ

2014-07-30 09:17:19 | 小説
「社長、社長! どこです?」 息せき切って、五平が入ってきた。 「おう、ここだ。大きな声を出すなよ、病院だぞ。それに夜間だ、響くんだよ」 「いやいや、すみません。で、どうなんです? まだ、のようですね。 お産というのは、分かりませんからな」 「あぁ、まだだ。長丁場になるらしい。赤子がな、大きくなり過ぎてな。 最悪、帝王切開しますって言われたよ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~ (九十三) 「*+$%#&”>?<{:*+;」

2014-07-25 09:06:50 | 小説
意味不明の言葉が洩れ聞こえるが、日本語なのかも分からない。 しかしだからこそ、小夜子には霊験新たかなものに思えた。 そしてその効果は、小夜子のお腹に如実に現れた。 さすっている産婆の手が、次第々々に暖かさが増してきた。 そしてその暖かさが小夜子のお腹に届き始めると、あれ程に感じていた激痛が少し和らいだように思えた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(九十三) 白いご飯上にぶっかけてな

2014-07-23 08:56:26 | 小説
卵など、武蔵の世話をするまで千勢が食したことのないものだった。 珍しげに見る千勢に「こうやってな、白いご飯の上にぶっかけてな、こうやってかき混ぜて食べるんだ。千勢も食べてみろ」と武蔵に勧められて、初めて食した。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(九十三) 仕事とあたしと、どっちが大事なのよ!

2014-07-22 09:47:10 | 小説
「千勢、千勢。産婆さん、呼んでくれた? 病院に行った方がいいかしら。 ねえ、武蔵は? 武蔵はまだ帰らないの? えっ! まだ四時だから会社に居る?  あたしがこんなに苦しんでいるのに、会社で何してるのよ!  仕事? そんなのもの! 仕事とあたしと、どっちが大事なのよ!  . . . 本文を読む

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