昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~(十三) どうして、ここに居るんだ!

2015-05-30 12:00:30 | 小説
「何だ! どうして、ここに居るんだ!」 「馬鹿っ!」 ひと言叫んだ早苗は、彼を力任せに突き飛ばした。 人違いされたことに気付いた早苗は、みるみる目に涙を浮かべた。 「やっぱり、真理子さんと。一緒に、暮らしてるんだ!」 早苗は、彼の胸を激しく叩いた。 「違う! ホントに、真理子さんは居ない! 勝手な想像をするな」 早苗の腕を掴んだ彼は、何とか冷静さを取り戻させようと、早苗を抱きしめた。 早苗は、彼 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~(十三) お爺さまの虚言なんだ

2015-05-26 08:46:57 | 小説
「おおっ、初江さん。初江さん、初江さん」 廊下を四つん這いになりながら、茂作が早苗に声をかけてきた。 早苗は茂作の元に駆け寄ると、 「お爺ちゃん。私は、早苗だよ。初江は、お母さんじゃないの」 と、茂作の背中に手をかけた。 「ええっと。そこにお見えになるのは、どなたですかな?  ああ、この方のご主人ですかな?  ご主人、この方に言って聞かせてくださいな。 何度お願いしても、私のお金を返してくださら . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~(十三) 家出したのよ

2015-05-21 08:37:45 | 小説
何かしらぎこちない空気が流れた。高木も、「一人か?」と尋ねてきた。どうして一人で帰って来た事を気にするのか、どうにも彼には理解できなかった。問い質したいという気持ちはあるのだが、触れてはいけないような気もしていた。 「じゃ、また」 「おう、またな」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十三) 男らしくありませんよ。

2015-05-20 08:42:38 | 小説
タケくんへ 元気でいることと思います。そちらは、どうですか? こちらは、まだ残暑が厳しいようです。 お母さんは、あなたを信じています。だから、二人で帰っていらっしゃい。 こそこそするのは、それこそ男らしくありませんよ。とに角、帰ってらっしゃい。 母より                             . . . 本文を読む

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