うなぎの中にうなぎ....これは『2012年我が家の美味しいモノ・オブ・ザ・イヤー』に輝く沼田市は材木町に日夜香ばしい匂いを排出している
『網元』さんの『かさね』という二段重ねうな重である。写真を見ていると本当によだれが出る。古今東西うな重は多々ありかもしれないが『キング・オブ・うな重』は『網元のかさね』である。お値段はいまどき4700円!!と超破格値だ。口の中でとけるぶあつい炭焼きうなぎが連続波状攻撃を繰り出してやまない。口のなかから舌の上へ...のどを通るときは味覚の渦に溶けていく自分を制御できない。息子と私、妻....満場一致での『2012年美味しいもの・オブ・ザ・イヤー』に選出させていただいた。
榛東村に鎮座する上州の至宝『夢や』の珈琲も今年もまた何度となく私たち夫婦に至極のときの道案内をしてくれた。
夢やのストーブに火が入っている。高性能のストーブは広く天井が高い夢やの隅々まで火でなければ味わえない暖かさで店内を、その上質なスピーカーから放たれる音学とともにつつみこんでいる。
紅葉の榛東村で上質の音楽を聴きながらいただく珈琲、近所に住むえっちゃんがつくる美味しいケーキ、ママが一年中半袖で焼くピザで今年も何度も幸せになれた。夢やの珈琲はコーヒー道で語ってはいけない。一杯の珈琲は『偉大なる場所』夢やの拝観料でもある。
関東広しといえど、この榛東村夢やの空間・景色・調度品・演出・雰囲気・音....に勝てる店はそうないはずだ。今年もたくさんゲストを連れて『夢や詣り』をしたが夢や参拝客はみなさん満足をしていただいている。
夢やでは私はよく珈琲のお変わりをする。ボブ・ディランのアルバムの中でも私が1番好きな『欲望』の中に『コーヒーもう一杯』という曲がある。
夢やで珈琲をおかわりするたびにこの曲が頭にうかぶ。そして71歳になったボブ・ディランはNEWアルバムを出した。
アルバムタイトルは『テンペスト』という....かなり人間が丸くなったであろうボブ・ディランは相変わらずのフォーク・ロックはまだ買ったばかりで聴きこみはしていないが世界中で売れると確信する。
私が小学生のときにすでに神様のような存在感があったボブ・ディランだが52歳になった私が聴く71歳のディラン。
私は生きているうちに沼田市材木町の網元さんに何回通えるのだろう....榛東村の夢やもあとどれだけ通うことになるのだろう....永久欠番のこの二つのお店は我が家の『美味求心』の究極の世界だ....
ドナルド・フェイゲンも新しいアルバムを出した。もちろん買った。11月28日には星野源の4thシングル、ミスチルの新しいアルバムもリリースされる。美味求心の小さな旅と音のごちそうを味わうドライブ・リスニング.....私と妻のもっとも好きな時間の使いかたである。