高校時代。家に帰るなりフェルナンデス社のエレクトリック・ギターのストラトキャスターを持ち、アンプに電源を入れ爆音で弾きまくると、部屋のガラスがビリビリするのが快感で、近所迷惑は無視して夕方はギターソロの恍惚の時間だった。
母が何か叫んでいる....「あんた!電停まで聞こえてるよ!やめなさい!」と声を荒げている。私の家の、最寄の市電の停留所の『駒場車庫前』までは、そこそこの距離なのだが...私のかき鳴らすギターサウンドがはっきりと響いている...と、母はいう.....まあガラスがビリビリするくらいだからな....なんて思い出しながら、光テレビの録画の『Tommy』を観た。1976年日本公開のザ・フーのロックオペラで当時随分と話題になったものだ。
最初はジョージ・ルーカスにオファーがあったらしい。でもルーカスが撮っていたらケン・ラッセル監督の狂気の世界観や冒頭の湖水地方のシーンはなかったと思う。面白いのはカルト教団の伝道師役のクラプトンがギブソン社のレス・ポール(写真のギター)だけで出演していると思っていたが、ブラッキー(フェンダー社のストラトキャスターのこてこてシミ付き)を持っている場面もあったことだ。共にクラプトンの名器たちなので観ていると興奮してしまった。LSDの注射を持って歌いまくるティナ・ターナーが最高に面白いのだが、妻がおもわず「さすがっすね!」とコメントしたのが面白かった。
エルトン・ジョンのシングルカット曲の『ピンボールの魔術師』の前で再生を停止してベッドに入ったが、ちょっとの間興奮してしまった。耳に入ってくる音楽のうちキーボードセクションが時代を反映している。ニッキー・ホプキンスやクリス・スタントンのシンセサイザーや電子オルガンがすごくいい。中学生の頃に初めてELP(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)を聴いて興奮した感覚の一駅前って感じだ....
次の日の今日のこと「さすがっすね」と思うCDがあり、注文した。
【水曜日のカンパネラ】のアルバム『私を鬼が島へ連れてって』の『桃太郎』がラジオから流れて偶然聴いてしまった。FM群馬の午前の番組だったのだが、【松崎しげる】の『愛のメモリー』のギターソロがまず耳に入り...誰が弾いているんだ....と、思っていたら『桃太郎』が流れてきた。コンピューターの打ち込みサウンドとは軽く言えない(バカにできない)歌詞の波状攻撃である。私が日本のアーティストのCDを買うのはめずらしいことではないが....電気グルーブともちがうヤラレタ感がいい。松本人志の『大日本人』を観た感じの後の気持ちによく似ている...というか....さすがっすね!といいたい。
今年も良くCDを購入した。先月はフュージョン・ギタリストのジャンルを10枚ほど購入した....今回は初の【水曜日のカンパネラ】と【小野リサ】を数枚(これは娘と孫を夜景ドライブに連れていくときのBGM)購入したが、必ずCDが届いたときは妻と深夜のドライブに出かける。
「さすがっすね」....妻がよく口にする言葉だが、最高の賛辞の言葉であり、私たち夫婦の公用語に定着した。
12月になると夜景を楽しむドライブの回数が増える。
すごく楽しみだ。