拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

父の手~デ・シーカの名作『自転車泥棒』

2013-01-27 20:10:49 | 日記・エッセイ・コラム

何年振りだろう....『自転車泥棒』を観た。素晴らしい映画..としか言いようがない。

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1948年公開のヴィオリット・デ・シーカ監督のネオレアリズム(写実主義)の名作でアカデミー外国語賞も受賞している。主演の親子はオーディションで選ばれた素人さんらしいが....胸がしめつけられそうになる演技だ。

私はこの映画を小学1年生の時にNHKの日曜日の午後のテレビ放送で観た記憶があるので約45年振りに観た。デ・シーカ監督の映画は最近『ひまわり』を妻と観た。1970年公開の名作中の名作だ。俳優でもあるデ・シーカ監督の演出は人間の心の奥まで写実する。そしてせつない。

Images_6美しいソフィア・ローレンの絶望の顔の表現は素晴らしい。美しい彼女の顔から険しさと切なさと深い悲しみが動画ではない写真からでも読み取れる。

『自転車泥棒Images_3』の息子ブルーノが父の手を握りしめる顔が切ない....痛ましい...大恐慌下、貧困であえぐイタリア人...でもどこかパワーも秘めていて人間臭い。みんな生きることに精いっぱいだ。写実的な映画といわれている『自転車泥棒』だが『ひまわり』と何がちがうのだろうか....生きていく不安と恋愛(情熱的に夫を愛する妻の執念)の不安はデ・シーカの手にかかるとマイナーコードの音符の旋律にかわる。

私はこの『自転車泥棒』を観て、ありし日の亡き父を思い出した。遠い記憶の話だが....父は不安な顔をして家を出た。今の函館の朝市の近くに父の勤める日露漁業の函館支社があった....私はこのブルーノ君くらいだった...父は乗る船を求めていたのだろう。母と口論している声は狭い家の中で筒抜けだった。我が家の経済はひっ迫していて父も母もギスギスしていた。その日の朝、白い開襟シャツの父の横顔が不安そうに見えたので、「父さん。僕も行っていい?」と言って甘えたふりをしてついていった....父が馬鹿なことをしでかすような気がして見張るつもりだった。

会社に着いた。「そこで待ってろ」「うん」  あまり待たないうちに父は絶望した顔をして日露漁業から出てきた。すごい早歩きで今の函館市役所方面へ歩き出した。子供の私にはついていくのがやっとだった....父の背中が絶望と切なさをしょっていた。

『自転車泥棒』の主人公アントニオは数回しか笑わない....私の父もそうだった。お金もないのに私と帰りに食堂に入ってくれた。アントニオとブルーノ親子もお金もないのに庶民に場違いのレストランでワインを飲む。父アントニオも「母さんには内緒だ」というが、私の父もそんな感じだった....その日の父は私と手をつながなかった。そしてそれから数日後、父は長年勤めた日露漁業を辞めた。あけぼの缶詰で有名な会社だ。私は街であけぼの印をみつけると嬉しくて買ってしまう...父も許してくれることだろう。父はその後小さい会社に移りオーストラリアの海で倒れるまで私たち家族のために洋上で働いてくれた....父とキャッチボールしたことは一度しかない。だからケビン・コスナー主演で有名な1989年公開の『フィールド・オブ・ドリームス』を観ると涙が止まらない....Images_5
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父は本当に真面目な人だった....口が下手で母に罵倒されると、すぐに手をあげた。母はいつも口から血を出し...それをとめる姉たちにも手を出し....私が小学6年生のときに母に手をあげた父を羽交い絞めにしてとなりの仏間に投げたことがある。私は父より背も大きく力も強かったので父は哀れにも髪の毛を垂らしうつむいて動かなくなった....それ以来父は母に手を出さなくなったが急に老いていった....Images_2

「生きていればな。何とかなる。」と父アントニオは息子ブルーノに言うのだが....父は私にはそんなことは言わなかった。

「男はな。不言実行だ。」といつも言っていた。

私は有言実行をポリシーにしている。父は不言実行ではなく無口で話が出来ず...営業もできず..長年勤めた会社に陳情すら出来ず....夢を実行しないで死んでしまった。

父のことは尊敬している。でも私は父とは違う人生を歩む。妻と愛し合い。妻と語り合い。人の前では熱くこぶしを握り締め、熱く語り、一度しかない人生を華やかにそして後悔なく生き抜いていく。

息子や娘たちと握った手を死ぬまで離さない。妻とふたりで観た名作の金字塔『自転車泥棒』...イタリア人の生きる執念とともに亡き父の手のぬくもりを思い出した...

ブルーノを演じた少年の演技はすさまじく、デ・シーカ監督に賞賛を捧げる。現代技術でデジタル・リマスティングされた『自転車泥棒』....何度も涙がじわっとこみあげた...


100ネットは1体験に劣る

2013-01-22 22:36:02 | 日記・エッセイ・コラム

Dscn0163_2ニューオリンズのバーボン・ストリートの看板が似合うミシンのブースは1周年を迎えたT氏の家である。

ファサード内に私の絵が描かれている。私の絵は万民には理解できない。理解されるつもりもない。

建築界でも仕事をしているが人間関係は退屈至極である。私は芸術人として一生を終えたい。生まれた時代が違ったのだろうか....

どきっとしたい....ときめいていたい.....私はよく出かける。インターネットの時代で情報が錯乱しているが私は自分で見て感じたものを信じる。

情報操作をしていたらなんでもかんでも評判がよくなってしまう....だから自分で確かめることにしている。

この写真の家はこのミシンブースはお弁当の中のさくら大根のようなもので、ごはんもおかずも本当に美味しいのだ....でも観ててみないとわからない。観てもわからない人にはわからない。

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これは代官山のキルフェボンの静岡産あまほっぺのタルトで1ピース1300円前後するが1800円出しても食べたい。インターネットでわかるのは色と値段位だ。この日は5種類のタルトを食べたが550円前後のバター風味のチーズタルトも絶品だった。写真でみたらただのチーズのお菓子にしか見えないだろう....

静岡産のあまほっぺよりさらに高いあまおうがある。食べていないので評論できないが色はぱっとしない。

かの有名な恵比須のラーメン九十九(つくも)のチーズ味噌の写真も見ていただきたい。
Photo_3北海道産の濃厚な粉チーズの味噌ラーメンである。ネットの恵比須ラーメンの人気のベスト3の常連である。

サービスや段取りもよいので味にさらに点数が加算される。はたして....すごく美味しい。スープを飲みほした。Dsc04908
ただ、私は二回目に行ったときに食した黒とんこつが好きになった。

写真だけで判定できない。だって断然チーズ味噌のほうがおいしい写真だから....

息子がラーメン好きで研究してくれているので相当おいしいラーメンばかり最近出会った。インターネットではないあつあつの意見だった。

すごい時代だ。私はあまりインターネットを見ない。でも上手に使っている。

100の情報を得ても、本当の感動はたった一回の経験よりはるかに劣る。人間は感動する生き物だ。私は人間として感動して感動して感動に打ち震え、涙を流して生きていく。

たった一度の人生。おおいに感動しようではないか....


食いだおれの街から

2013-01-08 21:21:37 | 日記・エッセイ・コラム

Dsc04873食い倒れの街は活気で満ちあふれていた。

「大阪に行こうか?お正月。」

「ユニバーサルとか京都のお寺巡りとかしないで..買い物と美味しいモノ食べる旅行なら.....いくわ」

私はフレッツ光の会員サイトから特典付きの格安のホテルの予約をとった。場所は心斎橋。阪神タイガース優勝時に飛び込むグリコの看板があるドブ川までが10分。吉本なんばグランド花月まで17分の良い場所にあるリーズナブルなホテルを2部屋とった。ひとつは私と妻のダブル。ひとつは息子のシングルだ。今春から大学に進む息子は大人扱いをしてみた。チェックインの際もひとりで記帳させた。

Dscn0075お好み焼きは二日間めいっぱい食べた。ねぎ焼きというポン酢でいただくネギたっぷりのお好み焼きは美味しくて毎日おなかが壊れるほど食べた。

吉本の正月公演は朝9時45分から12時までの部を堪能した。中川兄弟、文珍師匠、生の小藪座長が本当に面白かった。兵頭はコンビの漫才はいまひとつかな....
息子は前夜に笑い飯やかまいたちもライブで観ている。吉本興業にあこがれていた息子は小さい頃にトーマスランドやディズニーランドに連れていった時より幸せな顔をしていた。

Dsc04850大晦日から元旦にかけてはこの写真のおせちをいただいた....次女が作った?詰めた?次女の会社はホテルを営んでいる関係でおせちの注文を取る。当然買わされる.....だが1万5千円のこのおせちは美味しい。

大晦日から元旦はこのおせちの折詰二段と雑煮三昧。三が日は大阪でお好み焼き三昧。

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三が日も過ぎると....息子、次女と次女の婿とラーメン三昧。九十九のチーズ味噌、キルフェボンのタルト、牛タンねぎし.................昨日は長女と長女の婿とで食材の美味しい居酒屋でマグロのかま焼きや美味しいものをどっさり食べた....今朝、体重計にのったら夫婦して3キロ増えていた....

後悔はしていない。本当に何を食べても美味しかった....Dsc04920

大阪食いだおれの街はまた何回も行くだろう。今週末はお客様たちと新宿に行く。おそらくコンラン・カフェで食事をする。翌日はまた別のお客様たちが高崎に来る。高崎・榛東村の至宝【夢や】にでも連れていってあげよう。きっとみなさん喜ぶだろう....

美味しいものを食べると幸せな気持ちになる。

今年も、たくさん食べることにしよう....Dsc04917

食べ物ブログと間違えられないように最後に私らしい写真を載せることにする。自由が丘のキルフェボンの二階から一階へのフォトだ。

美しい空間である....店員のレベルの高低差?が激しいフルーツタルトの店だが....最近、筋金入りの店員とで会っていない....心斎橋アメリカ村もレベルが落ちたな...と感じた。名門の大阪大丸デパート然りだ。

新宿スタジオアルタの裏のABCマートに自称ブーツの知識No.1の店長がいる。久喜市から通勤しているみたいだが彼とブーツ談義をしていると楽しい。私もダナー・ライトを購入させていただいた。

代官山のハリウッド・ランチ・マーケットも素人化している....私の知識とレベルは昔に比べてバージョン.アップはしていない。

こだわらない世の中になったのか...大阪も地味だった....私はこだわる。人生に仕事に恋愛(夫婦の生活)にテーマを持ち今年も生きていく。

へび年。私は爆発する。