拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

『花燃ゆ』は傑作大河ドラマである!!

2015-02-19 14:00:22 | 日記・エッセイ・コラム

NHKに受信料を払っていてよかったと心から思っている。

決して皮肉ではない。現在放送中の大河ドラマ『花燃ゆ』に毎回、感動し目頭を熱くさせている。この感覚は17歳のときに毎週放送が待ちきれなかった『花神』以来である。この私のお気に入りの二作品は共に吉田松陰と長州藩の燃える男たちや明治維新へと向かう日本の夜明けの功労者たちのお話しである。当然、スカッとするサクセスストーリーはこれっぽっちも無い。『半沢直樹』『HERO』『ドクターX』などスカッとしたい日本のお茶の間からは受けが悪いようで、毎週『花燃ゆ』の低視聴率が話題になっている。

微力ながらこの私の心の声でもある『拓庵思考』では『花燃ゆ』を公式に讃えたいと思い筆をとったしだいである。まずはこの制作サイドのセンスを讃えたい。ポイントを大きくしぼると三つになる。

1 脚本がよい(セリフ廻しが秀逸。決して奇をてらっていないが。心にひびく)

2 撮影が抜群によい(カメラワークが秀逸。ローアングル、ミドルアングル、カメラの設置位置がやりすぎず、かつセンスがよい)

3 演出・編集ともによい(役者の演技力をわかったうえでの素晴らしい演出。音入れ・照明の当て方などの優秀な編集作業に脱帽する)

役者さんたちは特筆ものの演技を毎回堪能させてくれている。伊勢谷友介と大沢たかおの演技は素晴らしく毎回私は涙してしまう...井上真央も素晴らしい役者だったことを痛感した。

歴代の大河ドラマで毎週リアルタイムにワクワクして観た作品は『独眼竜正宗』『秀吉』(両方ジェームス三木の脚本)。『利家とまつ』。それと渡哲也の出演放送までの『勝海舟』(松方弘樹になってからはがっかりした)といったところか....ただ今回の『花燃ゆ』と『花神』は特別だ。とにかく私の心を揺さぶる。『花神』の吉田松陰は篠田三郎で、これがまたよかった....高杉晋作は中村正俊だったが...これもまたよかった...『花燃ゆ』の高杉晋作は高良健吾が演じる。『龍馬伝』(『HERO』『ガリレオ』福田靖の脚本)での高杉晋作は伊勢谷友介だったがすごく良かった。

あらためて『花神』の吉田松陰を演じた篠田三郎の罪人として縛り上げられている彼の写真を観ると、ぐっとこみあげてくる感情を抑えられない..高校2年だったか.....当時の私はあまりに数学が不出来で母に強制的に名物数学教師の家に通わされていた時期で、NHK大河ドラマの再放送の時間の土曜日の昼下がりに『花神』を観たくて観たくて....もう頭がへんになるほど観たくなり、数学の先生に「先生!テレビみせてください!」と嘆願したことがあり、ちょうど吉田松陰が処刑される回の放送のときだった。私はハラハラと泣き....泣いてテレビを観ている私を暖かく見守ってくれた優しい先生こそ真の教育者だったと今思う。名前は星野先生といったか....いつもパイプをくわえていてステテコから白い足がとても長くのびている先生だった。パイプの煙はとても甘くよい匂いで、まるでお香のようだった....

高校生の私の文壇の英雄は夏目漱石、太宰治だった。だからこの時点で司馬遼太郎文学と私は出会っていない。だから『花神』は『世に棲む日日』の二つの原作から構成されていることもまったく知らなかったし、柳ジョージの『酔って候』の中の歌詞の【噂の~容堂~♪】というくだりが土佐藩の山内容堂公だとは知らなかった....(『龍馬伝』での近藤正臣の山内容堂の怪演が話題になった) 柳ジョージ氏は司馬遼太郎の大ファンで断りをしたうえで楽曲制作をしたそうで....

それにしても私の好きな二作品が偶然にも幕末の長州藩を舞台にしていてタイトルの頭に【花】がつくという不思議なつながりだ....私は薩長同盟は冷ややかにみている。学べば学ぶほど徳川幕府側の人間に惹かれている。私見では会津藩こそ本当に律儀で立派な藩だと考えている。吉田松陰が教えた数々の若者たちもただただ凄いとも思っている。幕末の日本人はみな凄い人ばかりと心から思う。『花神』の主人公の村田蔵六のような知名度が無いが巧妙をあげた人間たちにスポットライトをあびせるNHKを讃えたい。

さて、私もついにスマートフォンを大義を掲げて購入した。昨年末にiPhone6を購入した。電池が減らないOSに改良され私のような電話が命の人間にはもってこいだからだ。仕事でLINEも導入するのも大儀のひとつだった。私のLINEのコメント欄に【世に棲む日日】を印した。これは『花燃ゆ』の放送を三回観てから行動した。そして私のベッドの枕元に数年ぶりで司馬遼太郎の『世に棲む日日』の単行本が置かれた....NHK大河ドラマのおかげで毎週の放送や読書が楽しみである。

私の評する傑作たちは世の中では大うけしない。そんな中最近わたしたち夫婦でコンサートに出向くことになった。3月11日の夜に豊洲PITでの『CINEMA MUSIC JAM for東北@豊洲PIT』というコンサートで出演者は多数なのだがお目当てはサラ・オレインだ。すでに銀座の山野楽器で彼女のアルバムを二枚購入した。シドニー大学を主席で卒業した素晴らしい音楽家で、3オクターブの音域の素晴らしい声とヴァイオリンの演奏も秀逸な美しき女性であり、日本人の血も半分入っている。ケルトの旋律の彼女の音楽は素晴らしい。だが私はファンではない。小学校の終わりから中学にかけて聴いたディープ・パープルの『LIVE IN JAPAN』のイアン・ギランのヴォーカルを初体験してぶっ飛んだインパクトには、サラ・オレインの声は勝っていない。もともとはJUJUの最新アルバムの『糸』を聴いてから、オリジナルの中島みゆきやBank Bandの『糸』を集めだして、たまたま出会ったのがサラ・オレインだった。彼女の唄う『糸』は素晴らしい。妻とCDを購入して銀座からCOREDO日本橋の駐車場まで歩き、ワクワクしながらCDをかけた時、あまりの素晴らしさに絶句してしまった......傑作とは、ある日そっと私のそばにやってくる...

妻とコンサートに出向くのはエリック・クラプトンとジョージ・ハリソンの東京ドームでのLIVE以来だ....やっと子育ても終わった私たちは。このコンサートを皮切りにして、音楽・舞台・歌舞伎など...足を運ぶつもりだ。

私を最近 感動させてくれた『花燃ゆ』の製作者・出演者のみなさんとサラ・オレインに心から感謝したい。

そして来週、またしても巴座の新作が完成する。私が入籍までお世話した若い夫婦の家だ。巴座の私の作品にはタイトルがつけられているが。今回の若いふたりに家には、私の思いが強くてまだ伝えていない....スタッフの数名にはコンセプトは熱く語ってあるが...ちょっと恥ずかしい位の私の純粋な思いがテーマなので...まだ明かしていない....私は音楽や映画やドラマや文学で感動してよく涙する....来週..ついに引き渡しだが....だめだ泣きそうだ....

『花燃ゆ』 第7回放送はついに最低の11.6%の視聴率だったそうだが....私はまたしても目頭があつくなってしまった....『花燃ゆ』は傑作である。再び声を大にしていおう....『花燃ゆ』は傑作大河ドラマである!!