山城めぐり(兄弟ブログ biglob)

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悪あがきの原子力村

2018-12-29 23:27:53 | 日記
小型原発で延命をはかる“原子力ムラ”
昨年夏以降、経産省はエネルギー基本計画の見直しにとりかかった。狙いは原発の新設、建て替えを計画に盛り込むことだった。
再稼働できても、いずれ原子炉の寿命は尽きる。新たに造らない限り、この国の電源から原発はなくなるのだ。
しかし今年4月28日、経産省が有識者会議に示したエネルギー基本計画の骨子案には、原発を「重要なベースロード電源」としながらも、原発の新増設が明記されることはなかった。
このため、有識者会議の財界メンバーからは原発新設の必要性を唱える声が上がった。
その理由は「石油や石炭など化石燃料は将来的に枯渇する恐れがある。再生エネだけで代替することはできない」(有識者会議分科会長、坂根正弘コマツ相談役)などというものだ。
坂根氏は有識者会議において、日本の再エネ技術は中国などに太刀打ちできない、むしろ原子力の技術をどうやって維持するかが大切だ、という論陣をはってきた。
遅れているものを追うより、優れている技術を捨てずに保つべき。一見、正論のように思える。
だがそこには、産業競争の理屈だけがあって、生命と技術の豊かな関係を求める視点が抜け落ちている。
福島第一原発の事故は、原子炉冷却装置の電源が切れただけで、時間、空間をこえた放射能の無限リスクにつながるという戦慄すべき事実を、人類に突きつけた。
原子力が低コストというのはウソで、捨てる場所さえない核のゴミが地球にたまり続けることもよくわかった。

原発を新設するといって莫大な周辺対策費を示されても、もはや受け入れる自治体などないだろう。
そんな状況に置かれながらも、なんとか原発新増設への道筋をつけるべく、経産省と有識者会議は、エネルギー基本計画を見直す議論を進めたはずである。
ところが、骨子案にそれに関する記載はなく、有識者会議の財界メンバーから異議を唱える声が上がったのだ。“出来レース”のニオイがプンプンする。
経産省が練っていた原発延命案
東京新聞の記事によると、資源エネルギー庁の武田室長は小型原発計画について、地球温暖化防止の「パリ協定」実現のため、と述べたという。
地球温暖化防止のために、CO2を出さない原発が必要という論法は、再生可能エネルギーが普及期に入った今では通用しなくなっている。今後、蓄電技術の発達や、AIの活用などが進むことにより、再エネの不安定要素を十分カバーできるだろう。
世耕弘成経産相は国会で「原発の新設、建て替えは全く考えていない」と答弁している。それでも、2030年に原発の割合を20~22%にする目標は変えていない。
ならば小型原発を例外として多数建設し、20~22%の数字目標を達成するつもりなのかと思ったら、東京新聞によると、「小型原発は出力が不安定な再生エネをサポート(補完)するのに必要」と、あくまでサブ的な役割を強調しているようなのだ。
そもそも小型原子炉は出力が30万キロワット程度しかなく、まだどこも事業化したことのない技術である。理論的には成り立っても、実際に建設し運転していない現段階で、経済合理性があるかどうかも、きわめて怪しい。
にもかかわらず、小型原発の開発計画を今になって経産省が引っ張り出してきた背後に、原子力ムラの巨大な力が働いていることは容易に想像できる。
原発建設にかかわる電力会社、原子炉メーカー、ゼネコン、それらをめぐるあまたの取引企業。その利益共同体は、国民からの電気料金を源泉とする豊富な資金でマスコミに広告料を提供、学者に研究開発費を拠出し、官僚には「天下りポスト」、政治家には「政治資金」を提供して、“わが世の春”を謳歌してきた。
しかし、福島原発事故は状況を一変させた。国内で原発の新増設が難しくなったため、政府と原子力ムラは、原発を国外に輸出することで夢の継続をはかったが、東芝は子会社、米ウェスティングハウスの原発建設にかかわる巨額損失で経営の屋台骨が揺らぐ事態となった。日立製作所もまた、英国での原発新設がうまくいかず、計画を凍結する方向だ。
いずれも福島原発事故後に厳しく求められた安全対策による建設コストの急騰が主な原因だ。
ほかにも、ベトナムへの原発輸出が白紙となり、トルコやリトアニアで日本が受注した原発も、住民の反対で行き詰っている。
もはや、実績ゼロゆえに新たな幻想をつくりやすい小型原発しか、打つ手がなくなったということだろう。

  2018.12.28 1236 by 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』



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