特別支援をカガクしたがるカワムラのブログ

応用行動分析学(ABA)、障害福祉、特別支援教育など、個人の考えとして書きます。ブログは極めて気楽な執筆態度です。

「エビデンスってなあに?」「勘を頼りにしてはいけないの?」

2020年10月17日 | 雑記

先日、特別支援学級や一部通常級の担任の先生を対象に、特別支援教育におけるエビデンスに基づく指導の重要性についてお話をする機会がありました。

その中で挙がった質問が結構的を得ていて、多分多くの先生も思っていたことではないかと思うので、ここでも広めたいと思います。

①そもそも「エビデンスってなあに?」
実はこれは結構盲点でした。
以下にパッと見つかった分だけ資料を挙げます。エビデンスにはレベルがありますが、医療系の研究を前提としている資料が多いため、用語がしっくりこないこともあるかもしれません。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoes/10/1/10_1_3/_pdf
http://www.grade-jpn.com/hynes6s.html
考えたら教員採用試験ではRCTだ何だといったこのあたり、全然出てません。
すごーく平たく言うと、「どのくらい確かな証拠があるのかレベル」みたいなものでしょう。

この手の説明をすると、「子どもをデータで割り切るのか!」みたいな批判があるかもしれません。
「フリーオペラント法」という手法で有名な佐久間徹先生という方が著書「発達障害児の言語獲得―応用行動分析的支援(フリーオペラント法)」の中で、基礎研究を参考とした手法への非難に対し、子どもができるはずのことをできないまま放置する方が残酷であるとの見解を示されておりました。まさしく本当におっしゃる通りです。肝心なのは何を背景とするかではなく、最終的に子どもに何をしてあげられたかです。
アメリカではエビデンスに基づく指導が義務ですが、日本ではまだまだ今後の進展が期待される段階でしょう。


②「勘や経験は頼りにしてはいけないの?」
いけなくないです。
例えば特別支援教育の分野で、システマティックレビューにおいて明らかになっていることだけで指導をすることは多分無理です。
日進月歩の分野ではありつつも、実は全然まだまだ結構色んなことが明らかでない。
ただし、例えば個人の経験が正確な知見であるのか、他者でも他ケースでもできるのか等という問題もあります。
結構ありがちなのが「苦労したんだから自分の指導成果が上がったと思いたがるバイアス」で、ただの自然発達だったりもします。
人の目玉を借りることができないので、他者の経験との比較は言語というモヤの中でしかできません。ある程度の信頼性のあるデータ同士の比較はそうそう行われません。

エビデンスが大事なのはわかったけど、じゃあどればいいの?っていう感じの問いに対して私は「クリスマスツリーの例え」で説明をすることがあります。
すなわち
幹:がっつりエビデンスに基づく方針で根幹を固める。
枝:エビデンスベースドな研究が不足している点があれば自前で補い、方針決定と修正を反復する。
葉:自身の臨床勘と経験に基づき、過去との照合で上記の不足を補う。
飾り:現場ノウハウの収集により、自身の臨床勘・経験を拡張する。

でも、言うは易し。質の高い情報にアクセスするとなると、たいてい英語の学術論文に行きつきます。確かですが、日本の教師が自己研鑽に費やせる時間はOECD平均より凄い低かったと思います。
となると、頼りになるのは土日と平日深夜。「健康週間!早寝早起きをしよう!」なんてったって無理ですねww



教育界では意外と大事なことが確かな情報として存在しないことが。エビデンスに基づく指導、非常に大切ですが、仕事はまだまだ多そうです。



 

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