追悼 茂手木宏

追悼　茂手木宏

　昭和３５年１２月４日生、平成３１年２月２３日逝去。享年５８才。

　３月１日（金）午前１１時より小岩「慈光殿」において故茂手木宏さんの葬儀が執り行われた。

　数年前から肝硬変が悪化し、好きな酒にもドクターストップが掛かっていた。我々と飲むときもノンアルコールビールを持参して酒席を共にすることもあった。

　２月１３日（水）別件で茂手木さんと連絡がとりたくて、電話しても繋がらず、自宅に電話したところ、奥様とお話して病状の重篤さを知るに及んだ。

　２４日（日）の夕方、訃報が入る。言葉もない。できることはそれを知らせることだけだった。

　葬儀の日、朝からの雨が止み、薄日が射す昼下がり、読経の中、永訣の会が進んでいく。

　同期の佐藤崇一氏が弔辞を捧げた。誰に頼まれたわけでもなく、自らの心情を吐露するかのように故人に語りかけた言葉に、涙が止まらなかった。（以下全文掲載）

 

 

東京経済大学ラグビー部で茂手木　宏くんと同期の佐藤崇一と申します

 

親愛なる茂手木　宏くんに捧ぐ

体の調子が悪いとは聞いていたが、こんな別れが来るとは夢にも思わかった

 

僕たちは、昭和54年の春　国分寺の東経大グランドで初めて会った　

1年生のランパスは苦しかった　

田舎育ちの僕に比べて、君のラグビーは都会的で眩しかった

君はすぐにレギュラーになった　右のウィング、14番だ

 

大学1年の菅平合宿　最後の夜に

「アタックもデフェンスうまくいかない　僕のラグビーが通用しない」と君は泣いた

僕は終わって、ほっとしていただけだった

「君は未来をみている」と人知れず感動した

 

大学3年の夏、中澤先生の紹介で、二人でずっと菅平にいた　

国立大学ラグビー部、高校ジャパン、ジャパンと日本ラグビー協会主催の指導の手伝いだった

「どうしたら僕たちは強くなれるか」　二人で語り合っていた

 

大学4年の地区対抗の準決勝　明治学院戦だった　

今井がパントを蹴って君がボール押さえた　

先制トライだ　最高のトライだった　

これが僕には最後の公式戦になった

 

けして速くはない脚であったが、

君はボールを持ったら強い足腰で必ずゲインした　そしてトライを重ねた　

僕たちのエースだった　

僕たちは尊敬を込めて「小岩のスッポン男」と呼んだ

 

社会人となった　

君の職場は僕の故郷の福島だった　

僕が帰省の時は、毎日のように訪ねて来てくれた　

君は泊まって行き、僕の家から会社に行った

寂しがり屋だった　そんなことはずっと前からわかっている

 

僕は仕事に追われてラグビーを忘れた　

それでも君は少年ラグビーの指導者となり、

立派な成績を残していた

遠くでそれを聞いて嬉しかった

 

60歳が近くなった　

東経大が強くなるには如何に．．．とか

ラブビーワールドカップのチケットが取れない．．．とか

そんなことでたくさん話をしたかった

 

今井　花渓はもういない

忍足　ヤスは今日来れないが

幽霊部員の窪田も　良くケンカをしていた萬田も

来れる人間は全員集合だ　盛大にお見送りだ

 

訃報を聞いた日から僕はずっと泣いている　

今日までは泣くが明日からもう泣かない

あの世で　今井　花渓に会ったら教えてくれ

「FW頑張れ！」「たかいち　どうした！」ともう一度叫んでくれ！

 

ご家族の皆様には　茂出木　宏くんは僕たちの華であり　夢でありました　

ありがとうございました

 

Three cheers for Tokei Rugby Football team. 　Hip hip hooray！

Three cheers for　茂手木 宏　くん. 　Hip hip hooray !

 

2019年3月1日

 

東経大ラブビー部　昭和54年入部　昭和58年卒業　佐藤崇一

 

　焼香する参列者。若い人が多い。ベイ東京で彼が教えた子供たちの成長した姿があった。その光景に故人の指導者としての非凡さと人格を見る思いがした。

当日、参列した東経大、ＮＯＳの関係者は以下のとおり。

（東経大）

岡本　新・星野義春・橋爪寿志・金沢昭彦・井出立也・森永克三・佐戸　充・萬田敏和・佐藤崇一・窪田雅利・篠原　勇・山崎潤一・山崎愛子

（ＮＯＳ）

鈴木恒治・鈴木由美子・大竹由美・山岸京一・杉浦俊幸・伊澤浩仁・常光弘泰・中軽米憲哉・土屋修一・野田俊郁・牛房　寛・平　速人・桧山（貴殿のフルネームだけわかりませんでした。ご容赦のほどを）

合掌

文責　星野義春