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集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

通常営業・オンリーさん哀歌

2017-01-21 21:09:46 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 「オンリーさん」。この単語をご存知の方、どのくらいいらっしゃいますでしょうか…。

 日本が米軍の占領下におかれた時代以降、日本本土における米兵の愛人、あるいは現地妻のことをこう呼称しました。
 語源は、米兵相手のパンパンの中でも、特定の兵隊のお気に入りになったら、その兵隊の「オンリーワン」になるから、「オンリー」だそうで。
 日本の北から南まで、米軍基地がある、あるいはあった地域には、この「オンリーさん」に関する昔話がゴロンゴロン転がっています。

 ベトナム戦争たけなわの時代の山口県岩国市は、まさにそうでした。
 土地の古老に聞きますと、当時は土曜の夜ともなると、週明けにはベトナムに送られる兵隊がそこらじゅうで暴れ、ジープに乗ったMPがそうした乱暴する兵隊を警棒で殴り廻り、ロープでぐるぐる巻きにしてジープに放り込んでモンキーハウス(監獄)にブチ込むという、実に殺伐とした状況であったようです。
 その反面、アメリカ直輸入の文化・風物がやってくる土地でもあったため、今では考えられませんが、広島から若者がたくさん遊びに来ていたそうです。当時「広島から岩国に遊びに来ていた」著名人をひとり挙げると…広島カープの衣笠祥夫選手がいますね(;^ω^)。
 若くて血の気の多い兵隊がいて、それを目当てに日本の若い男女が集まってくれば、「男女のもつれ」が生じるのはごく当然のお話です。

 死と隣り合わせであった米兵は心の安らぎを求め、オンリーさんを囲うことが多く、岩国も例外ではありませんでした。
 岩国のオンリーさんはその地理的事情からか?九州出身者が多かった、とも聞きます。
 土地の古老によりますと、士官のオンリーさんは米軍官舎の中に住まい、けっこうゆとりある生活をしており、それが一部日本人のねたみややっかみを買っていたと聞きます。
 そうしたオンリーさんにねたみ、やっかみ、その他複雑な感情を抱く地元の若い男が「オンリーさん征伐」などと銘打ち、夜這いをかけていたという、なんともコメントしづらい話も聞きました。

 岩国に勤務した米兵の中には、そのまま日本で現地除隊し、オンリーさんを本妻にして、岩国に住み着いている人がたくさんいます。
 それとは別に、完全に「ヤリ捨て」の憂き目にあった人、あるいは男が戦死して帰ってこなかったなどの事例もたくさん聞いておりまして…男女の人間模様とは「いい」「悪い」、あるいは「幸せ」「不幸せ」の2極だけでは測れないものがあるなあと、そういうことに疎い私でも、なんだか複雑な気持ちになります。

 本日は「忘れられた戦後の話」をお送りしました。

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