轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

日産 DAYZ(デイズ)

2013-08-23 18:36:08 | NISSAN
助手 「日産と三菱の合弁会社NMKVによる初の市販車、デイズとekワゴンが出ましたけど、どう思います。」

所長 「うーん、まぁ、こんなモンじゃろうな。」

助手 「こんなモンってどんなモンですか。」

所長 「うーん、見た目や雰囲気はなかなかいいし、燃費も数字を見る限り上出来と言えるじゃろ。日産と三菱が手を組めば、これぐらいはやって貰わんとな。」

助手 「そうですかぁ。ボクは正直期待外れですけどね。」

所長 「ほぉ、どうしてじゃ。」

助手 「だってそうじゃないですか。日産が本腰を入れて軽自動車に参入したワケでしょ。従来の型にとらわれない軽自動車を出してくるモンだと期待してたんですけどね。」

所長 「それは期待が大き過ぎるわ。だいたい従来の型にはまらん軽自動車ってどんなんじゃ。それに日産じゃなくって、NMKVじゃろうが。」

助手 「NMKVって実質、日産主導の軽を三菱につくらせるための会社でしょ。」

所長 「成り行きを見とる限り、そんな感じじゃな。じゃが軽自動車に精通しとらん日産がいきなり凄いのを出せるワケがないじゃろうが。」

助手 「逆ですよ、逆。軽自動車の経験がないからこそ、従来の常識を破るモノがつくり出せるんじゃないですか。」

所長 「あのな、よぉ考えてみぃ。今の軽自動車って、車体寸法、排気量、馬力、乗車定員みんな規制されとる中で、競争相手よりも少しでも広くしたり、燃費を良くしたりして戦っとるワケじゃ。それも何十年もつくり続けとる会社が、長年の経験、知識を生かして、少しずつ改良を積み重ねて現在があるんじゃ。それを見よう見真似でつくれるほど甘い世界じゃないんじゃ。」

助手 「それはわかりますけど、日産もクルマづくりでは負けないノウハウを持ってますし、何も素人がイチからつくるワケじゃないでしょ。」

所長 「それはそうかもしれんが、以前聞いた話じゃと、トヨタの人間がダイハツのクルマを見て、とてもウチではつくれんと舌を巻いたって聞いたコトがあるんじゃ。それだけ軽自動車って特殊なクルマじゃと思うぞ。」

助手 「トヨタや日産がつくれないって言うのがよくわかりませんけどね。デカいクルマしかつくれないって言うんならわかりますけど、サイズがそう変わらないコンパクトカーをちゃんとつくってますし。価格にしてもマーチの方がデイズより安いぐらいですしね。」

所長 「軽とコンパクトカーは似て非なるモンじゃろ。世界中で販売するコンパクトカーは各国の規制や要望に幅広く満たさんとイカン半面、軽自動車のような決まった型がないんじゃ。つまりメーカーの都合でなんとでも出来るワケじゃ。それがデザインでの差別化じゃったり、価格の安さじゃったりにつながるワケじゃ。」

助手 「まぁ、確かに軽自動車の場合、内容はほぼ決まってますしね。しかも新型車の場合、ライバルの性能を上回る必要がありますし、実質的に室内長や燃費なんかも自ずと決まってきますしね。それでいて価格は横並びじゃないと選んで貰えませんし、やっぱりノウハウがモノを言う世界なんでしょうね。」

所長 「そういうコトじゃな。そもそもNMKVの設立がほんの2年前の話じゃから、それから開発しとったんでは、到底この時期に発売するなんて無理な話じゃろ。じゃから実質、今度のデイズは三菱が独自に進めとった、ekワゴンの後継車に手を加えただけに過ぎんじゃろ。」

助手 「言われてみればそうですね。」

所長 「そう考えるとじゃな、どん底の状態の三菱が、まがりなりにもライバルと戦える性能を持った新型車を開発出来たっていうのは、大したモンじゃと思うぞ。」

助手 「でも出たときは、クラストップだった29.2キロの燃費もあっさりワゴンRに抜かれてしまいましたけどね。しかも日産がOEMで入れてるモコにも負けてしまってますし。」

所長 「それはたいして問題ないんじゃ。」

助手 「どうしてですか。」

所長 「今の燃費至上主義の状況を考えるとじゃな、遅かれ早かれ抜かれるのは時間の問題じゃったワケじゃ。」

助手 「まぁ、そうでしょうね。」

所長 「じゃったら、とりあえず出たときは一時的にもクラストップの性能を誇っとったっていうのが大事なんじゃ。つまり競争相手と戦える性能って見てもらえるワケじゃ。ずっと新車が出せなくって競争相手の後塵を拝しとった三菱と、新規参入の日産が手を組んで、どれぐらいのモンが出せるのか懐疑的じゃったモンに、選択肢のひとつとして並び立つコトに成功したんじゃないか。」

助手 「それはそうかもしれませんね。」

所長 「だいたい、今度のエンジンもiのを改良したモンじゃから、2006年のデビューなんじゃ。それで29.2キロまで引き上げた技術力は大したモンじゃと思うぞ。」

助手 「iの燃費って一番いいので19キロですし、10キロプラスってコトになりますね。」

所長 「じゃろ。アイドリングストップや副変速機付のCVT、軽量化に空気抵抗の低減とか色々やっとるんじゃけど、スズキやダイハツの最新型に対抗出来る数字を叩き出したのは凄いコトじゃと思うぞ。」

助手 「言われてみれば確かにそうですよね。」

所長 「ま、実際のトコ、その数字がなければ戦えんワケじゃから、かなり無理して出しとるのかもしれんがの。」

助手 「かもしれませんね。」

所長 「じゃから現時点ではやれるコトは十分やっとるんじゃないかのぉ。デザインもこれまでの箱然とした軽よりも立体感があって、いいんじゃないか。」

助手 「顔つきもハイウェイスターの方は、エルグランドやセレナのようなミニバンみたいで随分と立派ですしね。」

所長 「好き嫌いは別にして結構需要があるじゃろうな。ただekワゴンはちょっともったいない気がするんじゃがな。」

助手 「そうですか。」

所長 「初代や先代のekワゴンって、すっきりした佇まいで、独自の個性があったじゃろ。それをすっかり捨ててしまうのは如何なモンじゃろうな。」

助手 「わからなくもないですけどね。」

所長 「出来れば、今度のは別の名前を付けて、ekワゴンは独自の進化をしてもらいたかったのぉ。ま、売れ筋で言えば、今度の方が市場が大きいじゃろうし、その次もタントクラスになるのもわかるんじゃが、ベーシックなクルマも必要じゃと思うんじゃけどな。」

助手 「ミニカの販売も終わってしまってますしね。」

所長 「ま、そのうちに出してくるのかもしれんがの。」

助手 「あと、ワゴンRにも自動ブレーキが設定されましたけど、この時期の新型車で付かないのは辛いんじゃないですかね。」

所長 「一番頭が痛いトコじゃろうな。どこのメーカーも採用しとらんかったら、別になんともない話なんじゃがな。日産とすればアラウンドビューモニターを軽に採用したのが売りになると踏んどったんじゃろうけど、すっかり霞んでしもうたの。」

助手 「ですね。」


参考資料
日産デイズ(日産自動車株式会社)
三菱ekワゴン(三菱自動車工業株式会社)
三菱ekカスタム(三菱自動車工業株式会社)
三菱ekワゴン(先代)(轟クルマ文化研究所)
日産オッティ(轟クルマ文化研究所)

Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所

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