轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

マツダ・アテンザ

2013-01-11 18:12:32 | MAZDA
助手 「所長、マツダの新しいアテンザですけど、カッコいいじゃないですか。」

所長 「そうじゃな。初代も二代目も良かったけど、今度の三代目もなかなかのモンじゃ。」

助手 「ですよね。ホント、秀作揃いのマツダの中でも、アテンザのデザインって光ってますよね。」

所長 「3代続けてこれだけいいデザインなのに、あんまり売れとらんのが信じられんの。」

助手 「言えてますよね。まぁセダン不遇の時代だったり、国内では持て余し気味のサイズだったり、マツダのブランドバリューが高級車では今ひとつだったりと、要因は幾つも挙げられますけど、もっともっと売れてもいいクルマだと思いますね。」

所長 「よく昔のクルマの方が良かったって言うじゃろ。じゃがアテンザに限っては70年代、80年代のカペラなんかと比べてもサイズ以外で負けとるトコは見当たらんわ。」

助手 「ああ、それは言えてますよね。そうかぁ、そうですよね。昔と比べて制約が多いからって言い訳をよく効きますけど、アテンザは確かに今の方がカッコいいと思いますよ。」

所長 「じゃろ。先代のシュッとしたデザインも好きじゃったんじゃが、顔つきがいささか大人しかったんじゃろうな、マイナーチェンジでバンパーを厳つくしたんじゃが、かえって不細工になってしもたしの。その点、今度のはしっかりと主張も出来とるの。」

助手 「顔は先に出たCX-5と共通ですけど、あのときは所長、あんまりいいように言ってなかったじゃないですか。」

所長 「CX-5は古臭い感じがしたんじゃ。アテンザは上下に薄い分、大口を開けたようには見えんし、こっちの方が似合っとると思うぞ。」

助手 「三菱のジェットファイター・グリルっぽい感じがしないでもないですけどね。」

所長 「確かにヘッドライトなんかは逆スラントっぽく見えるんじゃが、どっちかって言うとワシは往年のサバンナの面影を感じるんじゃがな。」

助手 「サバンナですか。言われてみれば似てなくもないですね。」

所長 「ま、意識して似せようとしたワケじゃないんじゃろうけど。」

助手 「あとドアのところで、フロントフェンダーから下がってきたラインと、トランクに向かって上がっていくのとが交差してるのが、ちょっと気になりますけどね。」

所長 「ああ、セダンはそんなに気にならんのじゃが、ワゴンの方は真ん中でへっこんだように感じるの。『魂動』とか言ったかの、今のデザイン・テーマが動物の動きを表しとるそうじゃし、あれぐらいはしょうがないんじゃないかの。プレマシーの枯山水よりは随分マシじゃろ。」

助手 「言えてますね。」

所長 「何よりサイドから見た伸びやかなフォルムは、今度のアテンザの一番の見せどころじゃろ。トランクがツンと上を向いとるトコまで、無駄な贅肉など微塵もない筋肉美を見とるようじゃ。今のセダンで国内はおろか世界に出しても、これだけ出来のいいデザインってそうそうないんじゃないかのぉ。」

助手 「えらいベタ褒めですね。ま、ボクもそう思いますけどね。ワゴンの方はどうですか。」

所長 「うーん、ワゴンはちょっと屋根が重ったるく感じるのぉ。悪いってコトもないんじゃが、セダンが良過ぎるせいで厳しく見てしまうんじゃろうけど。」

助手 「ボクもセダンの方が好きですね。あとエンジンですけどCX-5に続いてディーゼルを載せてきましたね。CX-5はすっかりディーゼルエンジンを高性能なイメージに変えるコトに成功しましたよね。カーオブザイヤーにも輝きましたし。」

所長 「じゃな。ここんトコ販売台数は落ち着いてきたみたいじゃけど、ジューク、エクストレイルを破って堂々の年間トップはたいしたモンじゃわい。トリビュートやCX-7の頃から考えたら夢のようじゃの。」

助手 「ですよねぇ。しかもその台数の7割、8割がディーゼルでしょ。ホント日本にディーゼルを定着させた功績は大きいですよ。アテンザの初期受注も76%がディーゼルって話ですし、ディーゼルの快進撃はまだまだ続きそうですね。」

所長 「あれだけディーゼルについた悪いイメージに各社苦戦しとったのにな。やっぱりいいモノをつくると消費者はちゃんと見てくれとるってコトじゃな。」

助手 「まったくですね。アテンザではMTも選べるようですし、ホントマツダはクルマ好きのツボを押さえてきますよね。」

所長 「まったくじゃの。デザイン、エンジン、トランスミッション、正直今日本で買えるクルマで、これ以上の組み合わせは見当たらんのじゃないか。」

助手 「ですよねぇ。」

所長 「これで5ドアがあったら100点満点なんじゃがな。」

助手 「あっ、そう言えば5ドアのスポーツって、なくなりましたね。」

所長 「ま、需要の移り変わりなんじゃろうな。2代目ではセダンの方がよぉ売れとったみたいじゃしな。」

助手 「本場のヨーロッパでもこのクラスの5ドアってあんまりありませんよね。あっても4ドアクーペタイプばっかりですし。」

所長 「ま、ボディタイプを3つも用意するのも、開発費を考えると得策じゃないしの。」

助手 「その分をセダンとワゴンに振り分ければ、よりいいクルマが出来るってコトなんでしょうね。」

所長 「先代は北米向けに専用ボディがあったんじゃが、それもなくなったみたいじゃな。ま、これだけ大きくなれば向こうでも十分通用するってコトなんじゃろうな。」

助手 「ああ、そういうコトですか。このご時勢に先代よりも12cmも拡大してどういうつもりなんだと思ってましたけど、北米仕様を統合するというんならわからなくもないですね。」

所長 「マツダの規模で仕様地向けに専用車をつくるのは厳しいんじゃろう。世界中でおんなじボディで売れるんじゃったら、その方がいいのは間違いないしの。」

助手 「でもそのせいで日本ではますます扱いにくいサイズになってしまいましたけどね。」

所長 「じゃがデカいと言ってもクラウン程度じゃろ。街を見渡してもクラウンにマジェスタ、レクサスのLSとか、もっとデカいのがわんさと走っとるし、その気になれば乗れんワケでもあるまい。」

助手 「そうですね。Dセグメントとして見るとデカ過ぎるサイズも、クラウンなんかのハイソカーと堂々と渡り合えるサイズと見るコトも出来ますよね。」

所長 「『ハイソカー』って久しぶりに聞いた気がするの。ハイソサエティーって上流階級じゃったかの、言ってて恥ずかしくならんか。」

助手 「あ、いや、じゃあハイオーナーカーでいいですけど。」

所長 「それも聞かんのぉ。クルマがステイタスを示す道具じゃった頃ならではの言い方じゃな。」

助手 「今でもそう思ってるヒトって多いんじゃないですかね。」

所長 「メーカーにとっては有難いお客じゃな。見栄を張るために高いのを買ってくれるんじゃから。じゃがそういうお客がどんどん減っとるからセダンが売れんと嘆いとるんじゃろ。」

助手 「それもそうですね。いや、そんな話はどうでもいいんですよ。ようはアテンザがクラウンなんかと比較して選ばれてもおかしくないクルマに成長したって言いたかっただけなんですけどね。」

所長 「うーん、マツダのイメージやアテンザのイメージはいつまで経ってもそう変わらんじゃろうし、クラウンなんかと比較して選ばれるコトは正直期待できんじゃろうな。」

助手 「ですか。」

所長 「じゃがステイタス云々じゃなくって、アテンザってクルマ自体が気になるモンは増えとるんじゃないかのぉ。ま、今の状況では販売にはなかなか結びつかんかもしれんが。」

助手 「どういうコトですか。」

所長 「これまでセダンに乗り継いどった昔からのお客じゃなくってじゃな、ミニバンやコンパクトカーに乗りながら、横目で見とるヤツらじゃ。そういうモンが新しいセダンのお客になるかもしれんと言うとるんじゃ。」

助手 「それってボクなんかも含まれるんですよね。確かになかなか手は出しにくいですけど、アテンザなんか凄く気になりますよ。」

所長 「そう思っとるヤツって結構多いと思うんじゃ。そういう潜在的なお客にどうやって買わすかじゃろうな。」

助手 「うちなんかの場合、子供が大きくなるまではやっぱりミニバンが必要な場面って結構あるんですよね。その時期が過ぎればアテンザなんかいいですねぇ。」

所長 「何をニヤついとるんじゃ。景気や将来への不安なんかから、若いモンがなかなかこの手のクルマに手を出しにくい状況なのはわかるんじゃが、元気な30代、40代がアテンザに、セダンに、クルマに、金を使い出したら面白いコトになると思うんじゃがな。」

助手 「新しい『セダンの時代』、ですね。なんかいい感じじゃないですか。」

所長 「何を呑気に言うとるんじゃ。お前みたいなのが率先して買わんとイカンのじゃぞ。」

助手 「いや、だから今はまだ『ミニバンが必要な場面が』って言ってるじゃないですか。それに軽に乗って偉そうに言ってる所長こそ、どうなんですか。」

所長 「うん、ワシか。ワシにはちと大き過ぎるの。ま、アクセラのセダンがこんな感じのデザインで、4m50、60で出てきたら考えてもいいんじゃが。」


参考資料
マツダ・アテンザ(マツダ株式会社)
マツダ・アテンザ(先代)(轟クルマ文化研究所)
マツダ・アテンザその2(轟クルマ文化研究所)
マツダCX-5(轟クルマ文化研究所)
マツダ・サバンナ(マツダ株式会社)

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6 コメント

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カッコ良い。 (B.Y)
2013-01-16 08:22:49
初代アテンザ5ドアスポーツは出た時になんてカッコ良いんだろう!欲しい!買うなら青か赤かなと盛り上がってマツダディーラーに見に行って内装パネルの銀色塗装とリアシートのヘッドスペースが残念だなと感じて、後ろ髪ひかれながらレガシィ買いましが。

先代は評判の良いデザインが好きに成れずに何かヌメヌメしたデザインとしか感じられ無かったです。

今度のは素直にカッコ良いです、サイズが大きいですが取り回しがクラウンレベルなら使えそうですねインスパイアやレジェンドみたいな感じだと辛そうだけど。

どうせならカッコ良いんだから2ドアクーペが有れば良いのにとか、数少ないFRの有るメーカーなんだからFRで造れば良いのに何てのは贅沢な他人事な意見なんでしょうね。
Re:カッコ良い。 (宇垂)
2013-01-16 20:16:46
B.Yさん

>初代アテンザ5ドアスポーツは出た時になんてカッコ良いんだろう!欲しい!買うなら青か赤かなと盛り上がってマツダディーラーに見に行って内装パネルの銀色塗装とリアシートのヘッドスペースが残念だなと感じて、後ろ髪ひかれながらレガシィ買いましが。

初代アテンザでマツダのイメージはすっかり変わりましたよね。(垢抜けたって言うか)
ボクは黄色のイメージが強いですね。

>先代は評判の良いデザインが好きに成れずに何かヌメヌメしたデザインとしか感じられ無かったです。

先代アテンザは個人的には大好きなんですが、賛否両論ありますね。販売的にも初代には及ばなかったんじゃないでしょうか。

>今度のは素直にカッコ良いです、サイズが大きいですが取り回しがクラウンレベルなら使えそうですねインスパイアやレジェンドみたいな感じだと辛そうだけど。

現行アテンザは今のところ、みんな絶賛って感じですね。全幅がクラウンよりも6cm大きい1860mmもあるのが日本ではネックになりそうな気がします。

>どうせならカッコ良いんだから2ドアクーペが有れば良いのにとか、数少ないFRの有るメーカーなんだからFRで造れば良いのに何てのは贅沢な他人事な意見なんでしょうね。

アテンザの2ドアクーペの噂はあるみたいですが、見てみたいですよね。(さすがにアテンザサイズのFRは無理でしょうけど)
次期ロードスター・ベースで今の『魂動デザイン』の流麗なクーペ、出ればそこそこ売れそうな気がしますが。
所長!お久しぶりです! (元雪国のロードスター)
2013-01-25 03:49:03
アテンザ契約しましたよ♪現在納車待ちでロードスターと最後の思い出作りです。我が家はかみさんのワゴンRと自分の学生時代からの相棒初代ロードスターの2台体制でしたが、ロードスターは実家の父に譲り、アテンザ一台にまとめることにしました。かみさんから毎日二人しか乗れない。うるさい。髪型崩れる。雪降ったら埋まる。日焼けすると文句言われ(あのクルマでデートしたじゃねーか!)かといってもカッコいいお手頃なセダンなんてないし、嗚呼俺もプリウスかデブレガシィしかないのかと思ってたらマツダやってくれましたね。デカイと言っても
試乗した時はフェンダーが盛り上がってるので車幅の位置が把握しやすくて、かみさんにも運転させましたが、運転しやすいって言ってますよ。ただ後ろがデザイン上見にくいのでバックモニター必須です。走りは最高です。ロードスターとはまた違った楽しさがあります。乗り心地が悪いと言われてますがロードスターから乗り換えだとロールスロイス級に良いです(乗ったことないけど)また子供が独立したらロードスターに乗ろうと計画中です(笑)
Re:所長!お久しぶりです! (宇垂)
2013-01-25 18:00:07
元雪国のロードスターさん

アテンザ購入おめでとうございます!
いやぁ、いいですねぇ。正直うらやましいです。

初代ロードスターを手放されるのは惜しいですが、実家のお父上に引き継いで貰えるとは理想的な環境ですね。また乗る機会もあるでしょうしね。
ロードスターと比較するとかなりデカいアテンザですけど、想像するよりも運転しやすいんですね。
うちも子供を乗せなくてよくなったら、アテンザみたいなクルマに乗りたくなりました。

早く納車されるといいですね。
また感想をお聞かせ下さい。
Unknown (llll)
2013-01-29 21:41:16
http://response.jp/article/2013/01/23/189406.html

twitterで一人だけアテンザ・CX-5がBMWみたいだとしつこく言っている人がいました。
その人欧州車びいきな所がある様ですが、言われてみれば確かにそうかなと。
まあこれ位のソックリはしょうがない様な、偶然の様な気もする。
バブル期のデザインと比べたら独自性・どちらが永遠に印象に残るかではバブル期の方がコールド勝ちだと思います。
本当に世界で2%のシェアでいいというのならもっと独自性を見たいです。

最終的にはディーゼルデミオ日本発売を期待しています。

セダンとワゴンのホイールベースがわざわざ違うってのが面白い。

あとはディーラーが従来通りの安易な値引きをやらないか心配です。
Unknown (宇垂)
2013-01-30 19:49:09
llllさん

>twitterで一人だけアテンザ・CX-5がBMWみたいだとしつこく言っている人がいました。
>その人欧州車びいきな所がある様ですが、言われてみれば確かにそうかなと。
>まあこれ位のソックリはしょうがない様な、偶然の様な気もする。

アテンザ・CX-5がBMWみたい、ですか。うーん、どうでしょうねぇ。ボクにはそうは思えませんけど。
ま、世間に似たクルマはたくさんありますし、それを目くじらを立ててパクリと罵る風潮は如何なモンかと思いますが。

>バブル期のデザインと比べたら独自性・どちらが永遠に印象に残るかではバブル期の方がコールド勝ちだと思います。
>本当に世界で2%のシェアでいいというのならもっと独自性を見たいです。

世界で2%っていうのがどれぐらいなのかよくわかりませんが、2012年のマツダのアメリカでのシェアがそんなモンなんで、多分現状維持か、ちょっと上を目指した数字なんでしょうね。
どんどんシェアを広げるよりは、現状で独自性を貫けるメーカーでありたいってコトなんでしょうね。

>最終的にはディーゼルデミオ日本発売を期待しています。

この勢いでフルラインナップディーゼルでしょう!

>セダンとワゴンのホイールベースがわざわざ違うってのが面白い。

そういうところにコストを掛ける姿勢もいいですよね。

>あとはディーラーが従来通りの安易な値引きをやらないか心配です。

今の状況が続けば値引きなしでもやっていけそうですね。

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