ダイハツ・タント エグゼ

助手　「また、凄いのが出ましたね。」

所長　「ん、何の話じゃ。」

助手　「エグゼですよ、タント・エグゼ。」

所長　「あぁ、あれか。確かモーターショーに出とったヤツじゃな。」

助手　「何なんですか、あれは。全く意味がわかりませんよ。」

所長　「まぁ、わからんでもないがの。」

助手　「そうですかぁ、正直いらないでしょ。」

所長　「まぁ、なかっても何ら問題ないじゃろうな。」

助手　「じゃあ、何で出したんですか。」

所長　「そりゃ、もっと売りたいからに決まっとるじゃろ。」

助手　「いや、それはわかりますけど、エグゼじゃなくってもよかったでしょ。」

所長　「スズキにしてもパレットに派生車種を出しとるじゃろ、ルークスとか言ったかのぉ。」

助手　「それは日産に供給してる方ですよ。パレットはSW、スーパーワゴンの略だそうです。」

所長　「どうでもいいわ。ま、ダイハツにしても散々考えた結果がエグゼなんじゃろ。ムーヴにコンテがあって、ミラにもココアがあるじゃろ。で、タントにも何かつくれんかと考えたんじゃろうな。それだけタントの名前も浸透してきたということじゃろ。」

助手　「ま、確かにタントは、今やダイハツの三本柱の一角を担うクルマですけど、他にやり様はなかったんですかね。」

所長　「タントと差別化をはかるためにスライドドアを止めたんじゃろうな。」

助手　「だったらもっとシンプルなクルマにしたら良かったんじゃないですか。タントの広さで安ければヒット商品になりそうじゃないですか。」

所長　「そんなことしたらコンテの客を喰ってしまうじゃろうが。じゃから違う切り口が必要なんじゃろ。」

助手　「それが高級車ですか。」

所長　「そうじゃ。タントのサイズじゃから他のクルマとのバランスを考えれば安くは出来んじゃろ。じゃったらいっそのこと高級に振る方がいいということになったんじゃろ。スライドドアを止めた分コストに余裕が出来るし、その分を高い素材や装備に回すことが出来るじゃろ。」

助手　「うーん、・・・まぁ、そうですね。」

所長　「で、タント・エグゼが一丁上がりじゃ。」

助手　「うーん、・・・やっぱり、いいとは思えませんね。」

所長　「ワシもまったくいいとは思わんわ。なんちゅうか、考えが浅はかと言うか。だいたい軽に高級車が必要じゃとは思わんしの。ま、高級にも見えんけどな。」

助手　「ですよねぇ。広い空間を贅沢に使うというコンセプトにしても、ホンダのアヴァンシアがすでに失敗してますしね。」

所長　「アヴァンシアの狙いは悪くなかったと思うんじゃ。ただクルマ自体にコンセプトをイメージさせるチカラが弱かったのと、日本では市場が育たんかったんじゃろうな。ワシはアヴァンシアよりも日産のルネッサがダブるんじゃがの。」

助手　「あー、ルネッサ、ありましたよね。記憶の彼方に消え去ってましたよ。あれも大ゴケでしたよね。」

所長　「タント・エグゼも似たような末路を辿る気がするのぉ。昨年出たクルマの中ではワーストかもしれんな。」

助手　「うーん、ボクはマジェスタ、ウィッシュ辺りも候補ですけどね。そう言えば昨年のカーオブザイヤーの話をしてませんでしたよね。」

所長　「去年出たクルマって何があったかのぉ。プリウスとインサイトしか思い浮かばんわ。」

助手　「そうかもしれませんね。ボクも正直これと言って印象に残るクルマはないですね。」

所長　「ま、販売的に見てもプリウスが妥当なんじゃないか。」

助手　「でもそれだったら低価格路線のきっかけをつくったインサイトの功績も捨てがたいんじゃないですか。実際、性能ではプリウスに劣りますけど、凝ったメカニズムじゃなくても立派な燃費をたたき出してますし、価格とのバランスを考えればアリだと思いますよ。」

所長　「それじゃったらプリウスEXの方が一枚上手じゃろ。」

助手　「プリウスEXって何年前のクルマだと思ってるんですか。昨年を代表するクルマを決めようとしてるのに、5年も6年も前のクルマではいくら何でも具合悪いでしょうに。」

所長　「あれは、どうじゃ、スカイラインのクロスオーバー。この間見たけどなかなか格好のいいクルマじゃったぞ。あれじゃったら乗ってみたいわ。」

助手　「所長、スカイラインのクロスオーバーって何台見ました。」

所長　「うっ、・・・まだ一台だけじゃ。」

助手　「そんなクルマでいいんですか。」

所長　「じゃあ、こうしよ。プリウスとインサイトの2台でどうじゃ。やっぱりこの手の賞は今年を象徴するクルマじゃないとイカンしの。あとから2009年を振り返ったとき、減税と補助金でハイブリッドがバカ売れした年じゃと思い出せるしの。」

助手　「別にいいですけど、去年はスプラッシュでその前がデュアリスでしたけど、覚えてますか。」

所長　「うっ・・・・。」


参考資料
ダイハツ・タント エグゼ（ダイハツ工業株式会社）
ホンダ・アヴァンシア（本田技研工業株式会社）
日産ルネッサ（日産自動車株式会社）
スズキ・スプラッシュ（轟クルマ文化研究所）
カーオブザイヤー（轟クルマ文化研究所）