轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

スバル・ステラ

2006-06-30 19:37:37 | SUBARU
助手 「所長、好調な軽自動車市場に新しく2台のクルマが投入されましたね。」

所長 「スバルのステラにダイハツのソニカじゃったな。それにしても、こう新しい名前が増えると覚え切れんな。」

助手 「そうですね。特に今回はほぼ同時に投入されましたし、どっちがどっちか判りにくいですよね。」

所長 「まったくじゃ。」

助手 「R1、R2の不調から予定を前倒しで投入されたステラと、ムーブやエッセが好調で今年こそ販売台数のトップを狙うべく、ニッチな市場を狙ったソニカでは、内容が全然違うんですけどね。」

所長 「まあ買うモンからするとメーカーの背景は関係ないし、おんなじようなモンじゃろ。」

助手 「そうですね。それにしてもスバルは思い切ったことをしましたよね。」

所長 「思い切ったことって、なんじゃ。」

助手 「ステラですよ。これまでのクルマや方向性を失敗したと認めたようなモンですからね。」

所長 「どうしてしゃ。」

助手 「だってそうじゃないですか。これまでデザインに特化したR1やR2の路線だったのを、売れ行きが悪いといって、180度も違うワゴンRタイプに切り替えた訳ですから。」

所長 「そんなモンしょうがないじゃろ、R2の目標販売台数が確か8,000台だったんじゃが、昨年のマイナーチェンジで4分の1の2,000台にまで引き下げられとるんじゃ。しかもその台数ですらクリアー出来ん月があるんじゃから、スバルとしても見過ごす訳にはいかんのじゃろう。」

助手 「何でダメだったんでしょうかね。」

所長 「うーんそうじゃな、スバルのブランド力を強化させようとしたのが、裏目に出たんじゃろうな。こだわりやスポーツ性能といったスバルの強みにデザインやプレミアム性をプラスして、より付加価値の高い商品群にしようとしたんじゃろうな。」

助手 「僕はいい方向だと思ったんですけどね。アルファロメオのデザイナーだったザパティナスを連れて来たりして、これでスバルのデザインが垢抜ければ怖いモノなしだとさえ思ったんですがね。」

所長 「じゃが世間はそう見ておらんかったんじゃ。ワシの知り合いでプレオに乗っとるモンが、R2を試乗した際に後方視界の悪さに呆れとったわ。メーカーからしたらいいデザインにするために、ある程度の犠牲は仕方ないといったところなんじゃろうけど、ユーザーからするとその点だけで候補から外れてしまうこともあるんじゃ。ま、それを乗り越えるほどデザインに力がなかったということかもしれんがの。」

助手 「そういうことって結構ありそうですね。」

所長 「そのクルマに惚れ込んだのなら、多少の不便は乗り越えられるんじゃろうけど、一般のユーザーからしたら不満があったら、そこで終わりなんじゃろう。」

助手 「シビアな世界ですね。」

所長 「じゃから他メーカーと横一線のクルマになってしまうんじゃろうな。その方が競争力があるじゃろうし。」

助手 「でも弱点がない代わりに、選んでもらえる武器もないんじゃないですか。」

所長 「そこでブランド力が必要になってくるんじゃろうな。」

助手 「じゃあ、ブランド力が弱いメーカーはどうするんですか。」

所長 「値引きしかないじゃろうな。」

助手 「うーん、なんか家電を選んでるみたいで面白くないですね。」

所長 「クルマに興味がないモンにとっては、クルマなんて家電と一緒じゃろう。何年かごとに乗り替えてじゃな、新鮮な気分を味わえて、新しく便利な装備が付いとったら満足出来るんじゃろう。」

助手 「寂しい話しですね。」

所長 「まあ、メーカーがもっともっと頑張って、魅力的なクルマをつくらんと変わらんじゃろうな。」

助手 「・・・そうですね。ところでステラですけど、ワゴンRやムーブ、ライフなんかの強敵がいるところに直球勝負を掛けたということですが、どうでしょうか。」

所長 「・・・うーん、スバルの社長自らそう言っとるみたいじゃが、そんなにたいそうな話しには思えんのじゃがな。」

助手 「え、どういうことですか。」

所長 「つまりステラは単にプレオのモデルチェンジじゃと思うんじゃ。もちろんR2の販売が軌道に乗っ取ったら違ったカタチになっとったじゃろうけどな。」

助手 「プレオですか。でもプレオって、ワゴンRやムーブなんかのハイトワゴンと比べると背も低いですし、何と言ってもまだラインナップに残ってるでしょ。」

所長 「ま、しばらくは併売して様子を見るんじゃろうな。で、ステラの販売が軌道に乗ればフェードアウトするんじゃろう。背の高さにしても、数センチ低かっても使い勝手はさほど変わらんし、一般のユーザーからしたらカテゴリー分けなんてあってないようなモンじゃ。」

助手 「そう言われればそうかもしれませんけど、それだったらプレオの後継車でよかったんじゃないですか。」

所長 「プレオの後継車っていうよりも新型車って言った方がインパクトがあると踏んだんじゃろう。それに名前を引き継ぐほど、プレオが成功したと思っとらんのじゃろう。」

助手 「そういうことですか。」

所長 「ワシはプレオの名前を引き継いだ方がよかったと思うんじゃがな。」

助手 「どうしてですか。」

所長 「今回のステラの記事を見とる限り、スバルの窮地ばっかりがクローズアップされとるように見えるんじゃ。R1、R2で失敗したから、ワゴンR風の新型車を投入したっていう風に見られとる。確かにその通りなんじゃが、元々あったプレオをよりニーズに近いカタチに進化させたと言った方が聞こえがいいと思うんじゃがな。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「それにプレオ自体は、評判も良かったし、何と言ってもスバルの基幹車種じゃろ。基幹車種のモデルチェンジじゃったら、新規の派生車種よりも注目度が高いと思うんじゃけどな。特にここ最近、MRワゴン、ゼストと派生車種がどんどん出とるから、十把一絡げに見られてしまうと思うんじゃ。」

助手 「そうですね。折り悪くダイハツの派生車種と同時デビューですから、なお更ですね。」

所長 「そういうことじゃ。」

助手 「では、販売的にも苦戦しそうですね。」

所長 「正直言ってプレオの代替、プラスアルファと言ったところじゃろうな。」

助手 「・・・やっぱり、そうですか。いくら売れ線のカタチと言っても、ステラを選ばせるだけの魅力がなければダメですよね。」

所長 「その通りじゃ。売れとるクルマのいいトコ取りをしたらしいが、それじゃったら別にワゴンRで事足りるじゃろうしな。そうなると販売店の数や営業力で不利なスバルでは、太刀打ち出来んじゃろう。」

助手 「そうですか。」

所長 「もっと言えば、スバルのバッジを付けたワゴンRが売れるんじゃったら、マツダのバッジを付けたAZワゴンがもっと売れとる筈じゃろうが。」

助手 「OEMのAZワゴン扱いですか。それはいくらなんでも、酷すぎるでしょ。」

所長 「確かにちょっと言い過ぎじゃな。ま、売れとるクルマそのまんまじゃったら、販売力で勝敗が決まってしまうんじゃ。販売力をカバーしようと思ったら、やっぱり他社にないアイデアがないとダメなんじゃ。」

助手 「でもそれで失敗したから、こうなったんでしょ。それじゃどうしようもないじゃないですか。」

所長 「ワシじゃったら、付け焼刃のデザインじゃなくって、スバルの強みを生かすんじゃがな。」

助手 「スバルの強みって、どうするんですか。」

所長 「そりゃ、レガシィやインプレッサの走行性能とアウトバックやフォレスターなんかの走破性じゃろ。クロスオーバー色の強いクルマにしたら面白いと思うんじゃ。今度出るスズキのSX4なんて面白そうなクルマじゃと思うんじゃが、軽自動車であの雰囲気が出せれば売れると思うんじゃがな。それにはスバルのブランド力が持って来いじゃと思うんじゃ。」

助手 「クロスオーバーですか、スバルらしくていいかもしれませんね。でも一般のユーザーがついて来ますかね。」

所長 「前にも言ったが軽のクロカン四駆って結構女性ウケがいいんじゃ。ハリアーやムラーノなんかのデカいSUVが定着して来とるから、面白いと思うんじゃがな。」

助手 「うーん、どうでしょうね。」

所長 「ま、今更言ったってしょうがないんじゃがな。とにかくスバルはステラを頑張って売らんと、次のモデルはダイハツ車を売らされるハメになるかもしれんからな。」

助手 「正念場と言うことですね。」


参考資料
スバル・ステラ(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
スバル・プレオ(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
スズキSX4(スズキ株式会社)


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