
所長 「久し振りにイタリアらしいクルマが出たな。」
助手 「えっ、何のことですか。」
所長 「そんなモン、プントに決まっとるじゃろう。フィアットのプントじゃ。」
助手 「こないだ出たグランデプントですね。で、どうしてグランデプントがイタリアらしいんですか。」
所長 「なんじゃ、見てわからんのか、お前は見る目がないのぉ。デザインだけで選ぶ価値のあるクルマじゃろうが。」
助手 「確かにカッコいいと思いますが、なんかマセラティ・クーペみたいですね。」
所長 「うむ、確かによう似とるな。まぁ、どっちもジウジアーロが噛んどるし、最近のアストンマーティンやジャガーなんかも近いデザインじゃから、最近のトレンドなんじゃろう。」
助手 「そうですね。」
所長 「じゃがコンパクトなサイズでも大型車に負けない存在感があるし、スポーティーな外観なのにエレガントさも備えとる。ワシにはマセラティ・クーペよりも魅力的に見えるわ。ここんとこドイツ車やフランス車に押されて元気がなかったんじゃが、ようやく魅力的なクルマが現れたわい。」
助手 「じゃあフィアットもようやく復活ですね。」
所長 「じゃが売り方がなっとらんわ。あれでは宝の持ち腐れもいいトコじゃ。まぁディーラーの苦しみもわからんでもないんじゃがな。」
助手 「確かにミッション車しかないのは、痛いですね。でも秋にはCVTも加わるそうですよ。」
所長 「違うんじゃ。」
助手 「えっ、どういうことですか。」
所長 「ワシが言いたいのは、フィアットの本質に触れれば触れるほど、ジレンマに陥るということじゃ。」
助手 「つまり日本のマーケットをフィアット本社が理解してないと言うことでしょ。」
所長 「違うんじゃ。フィアットの本質は大衆車なんじゃ。その代表車種のプントなんて庶民の足に過ぎないんじゃ。」
助手 「そうですね。よく下駄代わりとか言われてますよね。」
所長 「じゃろ。で、プントをプントらしく乗ろうと思ったら、素のベーシックグレードをマニュアルで操るのに限るんじゃ。そうでないとプントのホントの良さなんてわかりっこないじゃろ。」
助手 「それは、そうですね。」
所長 「じゃが販売面では、オートマ比率が95%を超えとる日本ではオートマでないと売れない、っていう風になってしまうんじゃ。」
助手 「はい。」
所長 「そこでディーラーはジレンマに陥るんじゃ。つまり本当はお客にマニュアルに乗ってもらいたいんじゃが、本国にはオートマじゃなかったら売れないから、オートマを入れろと申請せなならんのじゃ。プントの良さを一番知っとるモンがじゃぞ。これはイチ・クルマ好きとしては辛い話しじゃ。仕事として割り切っとったら、クルマに興味がなくなるかもしれん。」
助手 「そんなこと考えたこともなかったですね。」
所長 「あとエアコンもフルオートじゃなきゃダメとか、吊るしの状態でフル装備じゃなかったら競争力がないとか、自分の価値観とは逆のことばっかり言わなきゃならなくなる。」
助手 「なんかやりたくない仕事ですね。」
所長 「そうじゃろ。で、どんどん重く、高いクルマになって行くんじゃ。もうそこにはイタリア車本来の魅力なんてなんにも残ってないじゃろ。」
助手 「・・・。」
所長 「例えマニュアル車を入れても、高性能なスポーツモデルだけじゃ。当然価格も高いから、それに見合った高価な装備が施される訳じゃ。そんなモン、ドイツ車にまかせといたらいいんじゃ。」
助手 「・・・。」
所長 「そんなクルマばっかりじゃから、イタリア車好きのモンもどんどん離れていってしまうんじゃ。」
助手 「・・・そうですか。」
所長 「それでイタリア車好きのモンは中古車に流れてしまうから、いつまで経ってもフィアットの販売台数は上がらんのじゃ。」
助手 「・・・じゃあどうすればいいんですか。」
所長 「そうじゃな、ワシじゃったら縦のラインナップを少なくして、横に広げるんじゃがな。」
助手 「え、縦を横ですか、全然意味がわかりませんけど。」
所長 「例えばプジョーの306にスタイルってクルマがあるじゃろ。そのあと206でも設定されてヒットしたじゃろ。」
助手 「必要な装備だけにして、価格を抑えたモデルですね。」
所長 「プジョーの偉いところは、スタイルに3ドアや5ドア、マニュアルにオートマを選べるようにしたことなんじゃ。それまでのこの手のクルマって、一番売れ筋の5ドアのオートマしかなかったじゃろう。現行のプントにしてもそうじゃ。横のラインナップを充実させることによって、従来からのフランス車好きにも、新しいお客にも答えることが出来るクルマになったんじゃ。」
助手 「言われてみればそうですね。」
所長 「ルノーもメガーヌやカングーなんかで、各グレードでマニュアルとオートマを選べるようになったしな。フィアットもいい加減そうするべきじゃ。」
助手 「それはいいですね。」
所長 「そのベースがあって初めて、高級装備のクルマやスポーツグレードなんかも生きてくると思うんじゃ。いつまでもスポーティーな3ドアマニュアルとファミリー向けの5ドアオートマ一辺倒の幼稚なマーケティングから脱却せんと話しにならんわ。」
助手 「そうですね。」
所長 「そうなるとフィアットというブランドも購入時の選択肢の中に入ってくるんじゃ。せっかくグランデプントといういいクルマが出来たんじゃから、もちっと頭を使わんとダメじゃ。だいたい大衆車のフィアットが上級車種のアルファロメオの3分の1も売れとらんようでは、話しにならんわ。」
助手 「ごもっとも。」
参考資料
フィアット・グランデプント(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
マセラティ3200GT(『GAZOO.COM』 トヨタ自動車株式会社)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
助手 「えっ、何のことですか。」
所長 「そんなモン、プントに決まっとるじゃろう。フィアットのプントじゃ。」
助手 「こないだ出たグランデプントですね。で、どうしてグランデプントがイタリアらしいんですか。」
所長 「なんじゃ、見てわからんのか、お前は見る目がないのぉ。デザインだけで選ぶ価値のあるクルマじゃろうが。」
助手 「確かにカッコいいと思いますが、なんかマセラティ・クーペみたいですね。」
所長 「うむ、確かによう似とるな。まぁ、どっちもジウジアーロが噛んどるし、最近のアストンマーティンやジャガーなんかも近いデザインじゃから、最近のトレンドなんじゃろう。」
助手 「そうですね。」
所長 「じゃがコンパクトなサイズでも大型車に負けない存在感があるし、スポーティーな外観なのにエレガントさも備えとる。ワシにはマセラティ・クーペよりも魅力的に見えるわ。ここんとこドイツ車やフランス車に押されて元気がなかったんじゃが、ようやく魅力的なクルマが現れたわい。」
助手 「じゃあフィアットもようやく復活ですね。」
所長 「じゃが売り方がなっとらんわ。あれでは宝の持ち腐れもいいトコじゃ。まぁディーラーの苦しみもわからんでもないんじゃがな。」
助手 「確かにミッション車しかないのは、痛いですね。でも秋にはCVTも加わるそうですよ。」
所長 「違うんじゃ。」
助手 「えっ、どういうことですか。」
所長 「ワシが言いたいのは、フィアットの本質に触れれば触れるほど、ジレンマに陥るということじゃ。」
助手 「つまり日本のマーケットをフィアット本社が理解してないと言うことでしょ。」
所長 「違うんじゃ。フィアットの本質は大衆車なんじゃ。その代表車種のプントなんて庶民の足に過ぎないんじゃ。」
助手 「そうですね。よく下駄代わりとか言われてますよね。」
所長 「じゃろ。で、プントをプントらしく乗ろうと思ったら、素のベーシックグレードをマニュアルで操るのに限るんじゃ。そうでないとプントのホントの良さなんてわかりっこないじゃろ。」
助手 「それは、そうですね。」
所長 「じゃが販売面では、オートマ比率が95%を超えとる日本ではオートマでないと売れない、っていう風になってしまうんじゃ。」
助手 「はい。」
所長 「そこでディーラーはジレンマに陥るんじゃ。つまり本当はお客にマニュアルに乗ってもらいたいんじゃが、本国にはオートマじゃなかったら売れないから、オートマを入れろと申請せなならんのじゃ。プントの良さを一番知っとるモンがじゃぞ。これはイチ・クルマ好きとしては辛い話しじゃ。仕事として割り切っとったら、クルマに興味がなくなるかもしれん。」
助手 「そんなこと考えたこともなかったですね。」
所長 「あとエアコンもフルオートじゃなきゃダメとか、吊るしの状態でフル装備じゃなかったら競争力がないとか、自分の価値観とは逆のことばっかり言わなきゃならなくなる。」
助手 「なんかやりたくない仕事ですね。」
所長 「そうじゃろ。で、どんどん重く、高いクルマになって行くんじゃ。もうそこにはイタリア車本来の魅力なんてなんにも残ってないじゃろ。」
助手 「・・・。」
所長 「例えマニュアル車を入れても、高性能なスポーツモデルだけじゃ。当然価格も高いから、それに見合った高価な装備が施される訳じゃ。そんなモン、ドイツ車にまかせといたらいいんじゃ。」
助手 「・・・。」
所長 「そんなクルマばっかりじゃから、イタリア車好きのモンもどんどん離れていってしまうんじゃ。」
助手 「・・・そうですか。」
所長 「それでイタリア車好きのモンは中古車に流れてしまうから、いつまで経ってもフィアットの販売台数は上がらんのじゃ。」
助手 「・・・じゃあどうすればいいんですか。」
所長 「そうじゃな、ワシじゃったら縦のラインナップを少なくして、横に広げるんじゃがな。」
助手 「え、縦を横ですか、全然意味がわかりませんけど。」
所長 「例えばプジョーの306にスタイルってクルマがあるじゃろ。そのあと206でも設定されてヒットしたじゃろ。」
助手 「必要な装備だけにして、価格を抑えたモデルですね。」
所長 「プジョーの偉いところは、スタイルに3ドアや5ドア、マニュアルにオートマを選べるようにしたことなんじゃ。それまでのこの手のクルマって、一番売れ筋の5ドアのオートマしかなかったじゃろう。現行のプントにしてもそうじゃ。横のラインナップを充実させることによって、従来からのフランス車好きにも、新しいお客にも答えることが出来るクルマになったんじゃ。」
助手 「言われてみればそうですね。」
所長 「ルノーもメガーヌやカングーなんかで、各グレードでマニュアルとオートマを選べるようになったしな。フィアットもいい加減そうするべきじゃ。」
助手 「それはいいですね。」
所長 「そのベースがあって初めて、高級装備のクルマやスポーツグレードなんかも生きてくると思うんじゃ。いつまでもスポーティーな3ドアマニュアルとファミリー向けの5ドアオートマ一辺倒の幼稚なマーケティングから脱却せんと話しにならんわ。」
助手 「そうですね。」
所長 「そうなるとフィアットというブランドも購入時の選択肢の中に入ってくるんじゃ。せっかくグランデプントといういいクルマが出来たんじゃから、もちっと頭を使わんとダメじゃ。だいたい大衆車のフィアットが上級車種のアルファロメオの3分の1も売れとらんようでは、話しにならんわ。」
助手 「ごもっとも。」
参考資料
フィアット・グランデプント(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
マセラティ3200GT(『GAZOO.COM』 トヨタ自動車株式会社)
Yahoo!グループ 轟クルマ文化研究所
ボクならグランデプントですね。
3ドアでもいいんですが、ベーシックグレードの
マニュアルが欲しいです。