無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

普天間問題 目に余るメディアの植民地根性

2009-12-08 | 蟷螂斧:私的時事論談
■グアム移転計画の疑問を報じないメディア

普天間基地移転問題では、代替ヘリ基地を「どこに」ではなく、米軍が進めている移転計画によれば代替えそのものが不要だという指摘を、宜野湾市長他が証拠文書を添えて公開し、政府にも迫っている。にもかかわらず、日本の主要メディアはこれを徹底的に黙殺し、他方で米軍や米政府筋の発言ばかりを取り上げて、「日米合意」を守らなければ日米関係が大変なことになるとあおり続けている。
一体、これはどういうことだろう。

はじめは記者たちの怠慢、不見識か、あるいは米側の情報に洗脳されてグアムへの丸ごと移転計画の信憑性を疑って無視しているのかと思っていたが、続く報道を注意深く見ていると、とてもそうは思えない。
宜野湾市がホームページに根拠文書を公開までしている上に、市民団体なども社民党、民主党に申し入れもしている。宜野湾市長は鳩山首相にも伝えたと言っているし、岡田外相との会談でもその点を指摘しなかったはずはない。
さらに平和団体や自治労などもこの問題を指摘し、国会内外で集会なども行っている。
それほどの動がありながらメディアが知らないはずはない。まして、「丸ごと移転計画」が、ほんとうに米軍の言うように「誤解」なのかどうかは、何をおいてもまず明確にすべき普天間問題の核心的な重大問題である。
にもにもかかわらず、計画の存在を話題にすること自体を徹底的に回避しているとしか思えないメディアの姿勢は不可解としかいいようがない。

■日本のメディアはアメリカ政府の広報紙か
リベラルといわれている朝日新聞まで含めて日本の大手メディアは、グアム移転計画の真相を追求しないばかりか、口を揃えてアメリカサイドの主張ばかりを繰り返し報じ、とにかく、鳩山政権はアメリカ政府の信頼をそこなった、これ以上アメリカの機嫌をそこねると大変なことになる・・とあおり立てている。あたかもアメリカ政府の広報紙と見まがうばかりの有様だ。

そこには、大きな変質をしてしまった日米安保体制や冷戦後の世界情勢の下での安全保障について日本の主体的な判断はどうあるべきか、不平等きわまりない地位協定の下で苦しむ沖縄県民や本土も含めた基地周辺住民の問題をどうするのか、そのために日米関係をどう再構築すべきと言った視点は全くない。ただただ、アメリカをこれ以上怒らせると大変だ、早く解決しろ・・つまりはアメリカの言うとおりにするしかないぞ、沖縄県民は黙って我慢しろ・・と言外に叫んでいる。

「日米安保体制は、今やアメリカにとって中東まで含む世界戦略上の重要ば一環なのだから、これを揺るがすようなまねをしてはいけない」というような主張まで堂々と出る始末だ。
日米安保体制が、本来の前提や目的を逸脱し、役割を拡大、変質しているのはその通りだ。とりわけ小泉政権の無条件無原則な対米追従の下での自衛隊イラク派遣、インド洋給油活動などでなし崩し的に大変質をしてしまった。
しかし、国民はそれを了解したわけでもなければ、まして日米安保条約が改定されたわけでもない。イラク戦争が大義なき戦争であったことが明らかになり、アメリカの対テロ戦争が泥沼にはまっている今、日米安保体制のこの重大な変質をこそ、まず問い直さなければならないはずだ。

大手メディアの論調を見ていると、アメリカの機嫌を損ねることへの本能的とさえ言いたくなる恐怖感が透けて見えるようだ。戦後占領以来(あるいはペリー来航以来?)の染みついた植民地根性の根深さなのか、それともCIA得意の情報操作に呑み込まれてでもいるのだろうか。(戦後の長い期間、読売新聞がCIAの情報工作に協力していたことが米公文書で確認されている。新潮新書「原発・正力・CIA」。今はないと言い切れるか?)
こんな有様では、莫大な「思いやり予算」を差出し、犯罪人の引き渡しさえ要求できない不平等な地位協定の改定など夢のまた夢である。

朝日新聞はじめ、大手メディアの主張は、つづまるところアメリカに逆らえないから沖縄県民は黙って我慢しろ、ということでしかない。それなら外交の継続性だの信頼関係が大事だの口実を並べずに素直にそう書けばどうか。

この件に限らず、つくづく日本のメディア、ジャーナリズムの質の低さを感じる昨今である。


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