無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

この国の主人はだれか?

2011-11-09 | 蟷螂斧:私的時事論談
福島原発がレベル7の大事故を起こし、数十万人の人々が故郷を追われ暮らしの全てを失った。事故の完全収束には何十年を要するかわからず、放射能の脅威は子々孫々に及ぶ。
これは天災か?断じてそうではない。数十年来指摘されつづけた「原発震災」の危険性に目を向けず、建設後早い時期に欠陥が明らかになっていたMark1型原子炉を漫然と使い続け、巨大津波の可能性にも気づきながら無視してきた挙句の大惨事が天災であるわけがない。
にもかかわらず、その当事者たる東電は責任の重大性にふさわしい追求を受けているか?責任を償うにふさわしい態度をとっているか?
否である。
事故直後は、現場から撤退したいと言った言わないは論外としても、まだ危機的な事態にあるうちから、賠償責任の上限を求めたり、「原子力は国策」を口実に賠償責任を国に押し付けようとしたり、さらにあきれたことに被害者に向かって一方的な基準で膨大で複雑な賠償申請書を要求し、あまつさえ「異議を申し立てない」誓約署名まで求めるという、どこまでも傲慢不遜な態度に終始している。
政府の姿勢も納得できない。今後事故処理費用や正当な賠償を考えれば私企業として破綻は明らかにもかかわらず、破綻させないことを前提にした法整備(原子力損害賠償支援法)を行い、莫大な費用は結局電気料金と税金で国民に転嫁され、東電経営陣も保険会社など金融機関を主とする株主も安泰なまま。
これほどの被害を国民、国家、世界に及ぼしながら、電力会社も株主も国民の犠牲で平然と救済される・・。
一体この国の主人は誰なのか?
さらに、不可思議なのは、いまだに刑事責任を問う声ひとつあがらないことだ。
先日、天竜川川下りの転覆事故では翌日には家宅捜査が入っている。JRの宝塚線脱線事故ではJRと経営者の刑事責任を問う声が強くあがりマスメディアもこれを大いに後押しした。
ところが、今回の事故に関して、いまだに警察、検察が動く気配もなく、事故原因にかかる証拠も全て東電が握ったまま、情報隠蔽、情報操作が繰り返されてきている。テレビも新聞も一切東電の責任に触れようとはしない。
原子力村支配者として、立地地域を丸ごと買収し、独占企業でありながらトヨタ自動車をしのぐ日本最大の広告スポンサーとしてメディアを支配し、政治献金、研究費、天下り斡旋とあらゆる手段で、政治家、官僚、学者、芸能人、最近暴露されてきたところでは法曹界にまで、工作を続けてきた深慮遠謀、まさに社会まるごと買収してきた成果が今発揮されているのであろう。国民の電気料金と税金を湯水のごとく消費して電力帝国を築いてきた、その深慮遠謀ぶり、底深い闇に慄然とする。
曲がりなりにも脱原発を掲げ電力支配に抵抗の姿勢を見せた菅直人はメディアを挙げた袋叩きで退陣させられ、ぬらりくらりの野田首相の下、原子力帝国の逆襲が進んでいる。
一体この国の主人は誰なのか?


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