無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

現実を見据えれば脱原発しかない

2011-10-10 | 蟷螂斧:私的時事論談
福島原発事故をきっかけにようやく原子力発電をどうするかが国民的な議論の俎上に上がってきた。
本来なら、チェルノブイリ事故の後、「まだ間に合うのなら」という一主婦の訴えが大きな反響を呼んだあの頃に真剣な議論がなされるべきであったが、そうはならず、「間に合わなかった」ことは痛恨の極みといわねばならない。

福島事故後も、電力会社や経済界を中心に、今後も原子力は基幹的なエネルギーとして維持すべきとの声が高い。しかし、冷静に考えてみれば、既存の原発は老朽化し、今後次々と廃炉を迎えることになる。今までどおり原発に依存するには毎年のように新規原発を建設していかねばならない時代が目の前にきている。

昨年改訂されたエネルギー基本計画では2020年までに9基、2030年までに14基の原発を新設するという「絵面」になっている。いかに頑固な原子力擁護論者といえども、福島事故と今後数十年も事故処理が続く中でそのような原発の新規建設が可能と考える者はいないだろう。
つまり、脱原発は、その賛否やイデオロギーの問題ではなく、すでに避けられない現実なのである。

チェルノブイリ当事に比して自然エネルギーの技術は飛躍的に進歩し、いまや世界中では太陽光発電が原子力を上回るまでになっている。
幸い日本は、太陽は勿論、水力、地熱、洋上風力など、自然エネルギー資源に恵まれている上、それらの発電技術、安定利用に欠かせないIT技術についても世界トップクラスの技術力を持っている。自然エネルギーへのシフトに本気で取り組めば、「資源の乏しいわが国」という決まり文句を過去のものとし、政治情勢にも経済変動にも影響されにくく純国産の安全、安心なエネルギー先進国なることが出来るはずだ。

既存の利権構造やしがらみにとらわれ、もはや原発依存は不可能という現実に目をふさぎ、思考停止に陥いり、老朽路の寿命延長だとか既存サイト内での増設だとかで問題を先送りする愚は避けなければならない。
第2のフクシマを引き起こす前に、理性を取り戻さねばならない。

こんどこそ、まだ間に合うのなら。

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