チリチリリン

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「夷酋列像」

2016年01月17日 | 展覧会

 

「夷酋列像」は、アイヌと和人の戦いの際、終息に協力したアイヌの首長12人を描いた肖像画です。松前藩主の指示により、蠣崎波響が描いたもので、京都で天皇の上覧も得ています。松前藩が良く蝦夷地を治めているという宣伝になったのでしょうか。

蠣崎波響は松前藩の家老も務めた武士で、幼い頃より絵の才能を見出され、江戸で修行も積んだ優れた画家で「北の円山応挙」と言われたそうです。

描かれたアイヌの首長は、眉やヒゲが濃く眼光鋭く異形ですが、その服装は大変興味深く、中国の絹の服を着ていたり、ロシアの赤いコートを羽織っていたり、つま先の細いヨーロッパの革靴を履いていたりします。

これはアイヌの人々の「異質性」を強調するためにあえて身につけた姿で描かれたもののようですが、衣装道具そのものは虚構というわけではなく、松前藩がアイヌの人々を通じて大陸から実際に入手していたようで、波響は詳細を緻密に描いています。

   

 

 

 この12枚の絵のうち11枚は今はフランスのプザンソン美術考古博物館所蔵です。描かれた当時、見る者の目を否応なしに引きつける強い磁力放っていたので、模写も数多く残っていて、下絵などとともに展示されています。初めて目にする絵で大変面白かったです。


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