チリチリリン

風にゆれる風鈴のように
こころ休まる音を届けたい

藤島淳三ボタニカルアート展

2015年10月19日 | 展覧会

 

藤島淳三は挿絵程度に扱われていた植物画を芸術的な域まで高めようと、ボタニカルアートの道を切り開いた画家です。理想的なボタニカルアートは「植物学的に見て誤りのないこと」「実物を実際にあるように描くこと」だとして、野外に出て、植物の生きている姿を完全に描こうとしてきました。咲き誇る彼岸花には揚羽蝶が戯れ、満開の藤の房には蜂が集まる、甘い匂いまで漂ってきそうな絵です。八重桜の花びらが鞠のように固まり、重さでリンゴのように枝垂れる様は、本当の桜を見ているようで美しいです。

ボタニカルアートにしろパッチワークにしろ、細かな仕事をこなす人を私は心底尊敬します。粟つぶのような花の一つ一つまで、蜘蛛の巣のように細かな葉脈の一本一本まで描き出す、その集中力に脱帽です。何事にも大雑把な私には到底出来ません。

 

 

 

会場の牧野記念庭園は私が頻繁に行き来する道筋にあって、いつでも入れるからと今まで入ったことがありませんでした。牧野富三郎が没するまでの30年間を過ごした家と庭が残っています。さほど広くない庭ですが、大王松の巨木や桜の古木もあり、300種類以上の植物が植えられているそうです。とても静かで心落ち着く空間です。入場無料なのも嬉しいです。

 


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