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米国大統領選挙2020 米国医療保険制度と新型コロナウイルス感染拡大

2020-03-14 23:05:00 | 仕事と生活
3/8日付けの投稿記事で今年の大統領選挙では、新型コロナウイルスの影響で医療保険制度が大きな焦点になると申し上げました。

今日は米国の医療保険事情と今回の新型コロナウイルス対応への問題点、何故それが大統領選挙に影響するのかをご紹介します。

ご存知のように米国には日本の健康保険のような国民皆保険制度はありませんでしたが、無保険者の増加と医療支出の増大に歯止めをかけようと2010年に発足したのが所謂オバマケアです。

オバマケア以前にも高齢者向けの①メディケアと低所得者層向けの②メディケイドの二つの公的医療保険がありましたが強制加入ではありません。

ここでは詳細は省きますが①は連邦政府が運営主体で、一定期間保険税を支払うと65歳から加入可能となり保険対象は入院、外来及び処方薬で、一部以外は毎月保険料を支払うことになり、保険カバー率は70〜80%です。

②については連邦政府のこと援助をベースに州政府が運営主体、保険料の支払いは不要で、医療費は全額公費で賄われます。

オバマケアは上記②のメディケイドの対象を拡大する形で実施されましたが、共和党系知事の州で提訴、州の自治権を侵害するとの違憲判決により州により実施状況が異なることになった経緯があります。

また、公的医療保険①②は、見た目は良いのですが医療費が高額な米国では保険対象の医療行為がかなり限定されること、また、様々な理由で無保険者が現状でも約10%ほどいる状況が続いています。

このような状況で、今回の新型コロナウイルスの蔓延が発生しました。



昨年夏から感染が拡大しているインフルエンザの流行でも15,000人以上の死者が出ましたが、この原因の一つは検査費用だけで3,000ドルもするため無保険者が治療を受けられないことによるものだと言われています。

上の写真は先日の米国議会の超党派公聴会の一場面ですが、今回の新型コロナウイルスの検査費用及び治療費用についてカリフォルニア州選出の下院議員ポーター女史が質問している場面です。

ホワイトボードに書かれている数値は、医療保険を使う前提での個人負担を示していますが、検査だけで低めに見積もっても1,331ドル、この他に病院での隔離入院費用が4,000ドルかかるので、一般の家庭では負担が難しく、感染を阻止するためにも連邦政府の予算での無償化をCDC長官に迫っているところです。


読者の皆さんも米国での医療費が高額であることは何処かでお聞きになったことがあると思います。




日本と比較すると、医療費総額で1.6倍、一人当たり費用では2.2倍と言うのが大凡のスナップショットですが、手術や歯科治療、先端医療などは極端に高額になります。

例えば、場所にもよりますが盲腸で手術、入院した場合は3〜6万ドル、一般の初診料だけでも100〜300ドル、専門医にかかると200〜500ドル、入院する場合は室料だけで1日数千ドルの請求を受けます。

勿論、大手有名企業に勤める幹部社員の場合は、カバレージが広く自己負担分も殆ど無い医療保険を福利厚生として貰っている方や大金持ちが同様の保険を購入できる方もいますがほんの一握りです。


そう言う意味で、医療技術の面では世界の先頭を走る米国ですが、医療制度上の問題もあり、今回のような新型コロナウイルスの蔓延だけでなく、季節性インフルエンザのような一般的な病気の流行に対しても米国は基本的に脆弱なのです。

国家非常事態宣言及び緊急予算の編成により今回は検査費用等の無償化が実現しましたが、今回の状況を受けて以前から燻っていた医療保険精度改革問題が大統領選挙の大きな争点になっています。

但し、欧州他の先進国と違い、米国は伝統的価値観である「民間の市場競争原理」、「自治と自己責任」の下で展開してきていること、その結果実質的な医療保険の担い手が寡占状態の医療保険市場の大手の民間保険会社であることなど複雑な要素があり日本のような国民皆保険になるとは思えませんが、どのような落とし所に落ち着くのか注目して行きたいと思います。






関連動画;自作トレーラーの関連動画はYouTubeにアップしてあります。宜しければご覧ください。
     https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s

新型肺炎について 続き(19)

2020-03-14 00:20:00 | 仕事と生活
昨日は新型コロナウイルスに絡めて中国の今後の戦略展開についてのシナリオに触れてみました。

一部は筆者の憶測に過ぎない部分もありますが、筆者としては良くも悪くも謀略に長けた中国の今後の一挙手一投足から目が離せません。(対外宣伝工作など日本にも見習って欲しい部分は少なからずあると思っています)


さて、今日は米国における新型コロナウイルスの感染状況を取り巻く様々な動きを紹介致します。

筆者はこの一週間集中して米国内の動きを観察してきましたが…理由は先の投稿記事(3/6日付け)でも触れた米国の対応についての続きになります。

そこでは、ペンス副大統領をトップとしたタスクフォースチームが非常に理路整然とした記者会見を行い冷静な対応を見せたと報告しました。

ところが、このところのCNNなどの米国大手マスコミの論調は、中国での封じ込めの成功例やドライブスルー方式含む韓国でのPCRテストの機動性などを例に挙げて、トランプ政権の初動の遅れに対して痛烈な批判を繰り広げています。

また、米国下院の民主党及び共和党の超党派による公聴会での様子を二日間に亘りじっくりと聞いてみましたが、CDC他政府機関の幹部に対する不信感、特にPCRテストに対する混乱を繰り返し批判していました。

米国では先週末から今週頭にかけて100万セット、そして今週末から翌週にかけて400万キセットのテストキットが州の病理検査研究所や民間のテスト分析会社に届くことになっており、感染暴発時などの万が一の備えを進めているのですが、市民がパニック状態になっていることに同調してか、はたまた今年の大統領選挙を意識してかは分かりませんが、民主党議員を中心に猛烈な批判が巻き起こっています。

[公聴会の冒頭から痛烈なトーンで批判を強める公聴会議長マロニー議員(ニューヨーク州選出、民主党所属)]



[批判の矢面に立たされるNIAID(国立アレルギー・感染症研究所)所長ファウチ博士]


[同様に非難に防戦一方の米国CDC長官レッドフィールド博士]


この公聴会でもCNNなどの大手マスメディアの論調と同じで、何故韓国のようにドライブスルー含めた大量検査の実施が出来ないかと言う残念ながら非常に感情的、非科学的なものでした。

これは以前の投稿記事(3/4日付け)でも説明しているように、適切な検査条件を設定した上でスクリーニングした対象者を絞り込むことにより検査結果の精度や信頼性が増す訳ですが、洋の東西を問わずマスメディアや政治家の多くがこの辺りが不勉強なのは興味深いものがあります。

上記のお二人も一生懸命に説明しているのですが、殆ど理解を得られていませんでした。(元々この手の公聴会では各議員が与えられた5分間の間で質問して選挙区向けのパフォーマンス的な発言を繰り返す訳ですので、専門的な防疫オペレーションの面で実質的な議論が何処まで出来るのかと言う本質的な問題があるのですが…)

ペンス副大統領をトップとしたタスクフォースが頑張っている一方で、肝心のトランプ大統領が新型ウイルス問題に関し超脳天気な発言を繰り返しているので、それに対する民主党側からの政治的な強烈なカウンターでもあると見ることも出来ます。

尚、上述の個別の患者に対する感染判定に加えて、米国全体の感染状況を推定するためのサーベイランステストを五箇所のコミュニティを対象に計画しているとのことでしたので、適切な防疫対策立案に寄与する詳細な疫学データがさほど遠くない時点で明らかになるものと期待されます。


参考までですが、米国ではPCR検査に使う試薬はWHOから供給を受けたものではなく、CDCが独自で開発しFDAが緊急事態に対応するため臨時承認をしたものを使用しています。

検査キットを量産する過程で汚染したものが初期出荷分に大量に含まれたことなど初動で躓きスムーズな検査体制の立上げが出来なかったのは事実ですが、その批判が全く間違った方向に向かっているのは非常に危険な状況にあると言えます。

今日時点(米国時間3/12日付け)での米国における累計感染者数は1,762名、同死亡者数41名となっており、今後更なる拡大が予想されており予断を許さない状況が続いています。



感染拡大に伴う移動規制や大規模イベントの中止、更には地方自治体による非常事態制限発令など米国経済に大きな悪影響を及ぼしつつあります。

株価の大暴落や金融市場の不安定化、サプライチェーン寸断による製造業や流通業など実体経済への影響も深刻化しつつあり、感染問題から経済問題へと問題の本質が変容して来ています。

引き続き米国での状況をウォッチして参ります。





関連動画;自作トレーラーの関連動画はYouTubeにアップしてあります。宜しければご覧ください。
     https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s