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新型肺炎について 続き(16)

2020-03-04 12:07:00 | 仕事と生活
一昨日、新型コロナウイルスに専門家会議の記者会見がありました。



その中で取材中の記者からPCR検査に関連し知識不足から発せられた質問が目立っていて、残念ながら専門家側からの回答も理解出来ていないように感じました。

専門家側も、受け手側が一定水準の知識がある前提で説明をしているため、話が噛み合わない状況も見受けられました。

国会での議論を見ても大手マスコミのミスリードによるためか一般国民同様に政治家の方々にも大きな誤解があるようなので、今日はPCR検査についての話をしたいと思います。


具体例を使って説明します。

筆者が認識している情報では、今回のPCR検査の感度(陽性に対する精度)は70数%です。また、特異度(陰性に対する精度)については情報がないので、計算を簡単にするため両方を同じく70%としてシミュレーションをして見たいと思います。

更に有病率(感染している人の比率)を1%と仮定します。

全人口が1万人の場合、感染者が100人、非感染者が9900人となります。

この1万人全員に対して、先述のPCR検査を実施すると…

感染者100人の内、70人が陽性、30人が陰性の判定となってしまいます。(30人が偽陰性)

同様に9900人の非感染者へPCR検査の場合は、本当は全員が陰性にならなければならないのですが、判定結果は70%に相当する6930人しか陰性にならず、残りの30%、つまり2970人が陽性と見做されてしまうのです。(偽陽性)

結果として感染者の70人と非感染者の2970人を合計した3040人が陽性、感染者であると誤解されてしまう訳です。

無条件で全員を検査した結果、30倍以上の誤差が発生してしまい医学的にも統計学的にも意味をなさなくなるのです。


更には、本来は100人の感染者に対して治療を行えば良いところ、約30倍の3040人に対して医療行為を実施せねばならず、唯でさえ不足する医療資源を無駄に消耗してしまう結果となります。

この間違った検査判定の偽陽性者が増えれば増えるほど、重症者への手当が疎かになり死亡者が増えてしまう結果となってしまいます。

公表された中国のデータやニュースで報道された現地の状況を見ても分かるように、恐怖に駆られた武漢の市民が大量に病院に押し寄せて医療現場が大混乱し医療体制が崩壊した結果、武漢含む湖北省での死亡率が15%弱と他地域と比べて極端に高くなっています。


従って、濃厚接触の可能性や高熱が一定期間続くなどの条件を設けて対象を絞り込んでPCR検査を実施することは、先述した誤差を成るべく極小化するためには不可欠な処置となります。


更に言えば、現在PCR検査で使われている試薬は、突然発生したした新型コロナウイルス流行に対応するため非常に短期間に準備されたもので事前の充分な検証がされていないので、判定の確実性そのものにも不安があるのです。(他に代替手段がないので各国では緊急対応のための臨時承認の形式で試薬の承認を行なっています)

また、公表されている中国の臨床データによると感染期間や検体の採取部位によりウイルス排出量にばらつきがあることや、培養処理などの検査プロセスそのものに対する不慣れも手伝いPCR検査の判定結果の誤差は更に大きくなっているものと想定されます。


最後に、冒頭で取り上げた記者会見に対する筆者の感想を述べて見たいと思います。

従来より所謂”客観報道”の立場で徹底的に疑問点を質問する記者の姿勢はある程度理解は出来ますが、余りにも基本的な専門知識が不足している印象を強く感じました。

勉強不足のため記者自身が理解するための質問に終始したり…

更には全員検査が是である視点で質問が出ていることは世論をミスリードし、更には前述のように医療体制崩壊を招く危険性が高くなっています。(実際、世論の圧力に負け政府は方針転換して希望者の検査が可能になってしまいました)

日本の大マスコミは自分たちで自覚は出来ていないと思いますが、本当に要反省です。




関連動画;自作トレーラーの関連動画はYouTubeにアップしてあります。宜しければご覧ください。
     https://www.youtube.com/watch?v=z-eC-Jokxhw&t=25s