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試写会「草原の椅子」@なかのZERO

2013-01-23 14:28:41 | 映画感想
2013/1/22、なかのZERO。

佐藤浩市、吉瀬美智子、西村雅彦、貞光奏風、黒木華、小池栄子、AKIRA。



キャストは最初の3人だけ分かれば十分。
尚4人目は子供。

遠間(とうま)憲太郎(佐藤浩市)はカメラメーカーの営業部次長。

バツイチで女子大生の娘、弥生(黒木華)がいる。
不倫トラブルから親友になった取引先の社長、富樫重蔵(西村雅彦)。
部下の見舞いの帰りに立ち寄った陶器店の店主、篠原貴志子(吉瀬美智子)。

そして娘のバイト先の上司でDV妻逃げられた喜多川秋春(中村靖日)。

遠間は娘の弥生のおせっかいで、祐未の連れ子で秋春の元に残された
自閉症の4歳の圭輔(貞光奏風)の世話をすることに。

一方で遠間はご多分に漏れず、篠原貴志子に少しずつ惹かれていく。
遠間、富樫、篠原の3人組に圭輔が絡んで物語は進んでいく。

**

物語は淡々と進むし、展開も予想通り。
チラシはネタバレだし、冒頭がパキスタンでのシーンなので8割方、先が読める。

私生活では関わりの無かった3人が出会い、徐々に親しくなり、
圭輔を軸に、悩みや辛さを打ち明け分かち合うようになっていく。

ある意味丁寧に描かれているとは思うが、如何せん緩い。

じっくり描くのは良いというかむしろ好感触だが、カメラと編集はたるい。
静止、個別ショットのカット割りが多くとろく感じた。

またそれまでじっくりとした展開だったのに、最後はとんとん拍子で唐突に終わる。
圭輔とのもう一段の親密さをセリフではなく、シーンで示してほしかった。

更にはあの後どうなっていくのか、帰国後の4人に待ち受ける運命やいかに、
と気になる。



娘の弥生は親父の憲太郎と違ってしっかり者、の設定だろうが、
あんなダメ男に引っかかるうえに、子供の面倒見るとか言いだして先行き心配。

タイトルは、元々は富樫の父が身障者用の手作りの椅子を作っており、
それを撮った写真が、大草原の中にある椅子のように見えるところから。

フンザでも類似のセリフは出てくるが、草原の中の椅子ではない。
もっともあのシーンは大草原である必然性はないのかもしれない。

チラシを見て、AKIRAって誰?と思ったら、EXILEのAKIRAだった。
意外とうまい。

小池栄子は突出した性格の役が多いと言うか似合う。
変貌ぶりが面白い。



ところで、「引き取って」育てることはそう簡単ではない。
圭輔は4歳の設定なので、法的に実子として扱う特別養子にすることができるが、
裁判に訴える必要がある。

裕未も秋春も育児放棄で虐待だから、特別養子にすることは可能と思われるが、
貴志子の言う通り二人が両親とならなければ(憲太郎だけでは)できない。

あのセリフは単に「二人ならば子供の面倒が見れる」程度の軽いものではなく、
「法的に特別養子(=実子として養子)にすることができる」意味合いを持っている。

まずは憲太郎が貴志子と結婚して、それから圭輔の養子縁組を申請することになる。
理由が虐待や育児放棄であれば、元の両親の同意は不要のはずだが、
祐未が圭輔を取り返しに来ないよう措置を取っておく必要がある。

喜多川圭輔になっているから、秋春が圭輔を養子にしていた可能性は高い。
しかし、祐未の戻ってくるのを期待していたこと、
祐未が喜多川と名乗っていたことなどを考えると、
養子や離婚の法的手続きがきちんとされていたかは疑問。

憲太郎には優秀な弁護士の友人がいるので、当然相談もした(する)だろうし、
法的な部分はあえて取り上げなかったとも思える。

いずれにしても、きちんと(=法的に、正式に)
親子関係が成立したところまで見せてほしかったなぁと思う。


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