ましログ

日常と好きなものと母の自宅介護の極私的記録

ドヤ顔のソユーズ

2015-10-02 00:12:56 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (30)】



闇の中に
おぼろげに照らされた一本の矢。
「あれか!?…まじで?」
ち、近い!!!


バスに揺られて、ものの5分。
到着したのは
発射台から
目と鼻の距離。
悠然と照らし出されたソユーズ。

降りると小走りになる御一行に
遅れまいと必死についていきました。

最前列の柵の向こうには
砂漠。
その先に待つソユーズ。
やっぱり近すぎる。
こんなに?
マジで?
これ、現実?




種子島やフロリダの観覧席は、
発射台から6km程離れていて、
ロケットは豆粒大のサイズでしか見えないそうです。

バイコヌールだけは
観覧席との距離が1.4km。
マ、マジだったーw
そりゃ近いわけだ。


つい2日前に、
目の前を通りすぎたソユーズは、
頑丈だけど、細く小さいという印象。
でも今は、ムチャクチャでかく見える。
オーラ半端ないw
燃料が入って、
はじめてロケットは、生き物となる、、、
って話を実感。
彼女は、煙を吐きながら
その時が来るのを静かに
じっと待っていました。


焦りながら、こちらも準備を開始。
打ち上げをこの目で見たい。
しかし写真もできれば残したいと考えた結果、
考案した苦肉の策。

この日の為だけに持参した「三脚」にカメラを載せ、
レリーズ(外付けのシャッターボタン)を持って
ボタンを押し続ける。
打ち上げの際、カメラは一切覗かない。
事前にマニュアルで露出とピントを固定。
写真が撮れるかは博打。


打ち上げ前のソユーズを激写してから
何度も何度も設定が間違っていないか確認。
旅の直前に友人に確認した事柄を復唱。
大丈夫。大丈夫。
友人の口調を真似てみる。

コンタクトしとる上に
さらに近視用のメガネをかけて
ソユーズを凝視。
よく見える。


気持ちを落ち着けようと深呼吸。
逆に高まる鼓動。
そりゃそうだ、落ち着けったって無理な話。


あっという間に打ち上げの時間。
頭の理解を超え
五感で体感した
閃光と爆音。

無事、ソユーズは旅立ちました。
(その時の模様を書いた駄文はコチラ










人間の業など見えていないかのように、
迷いなく、綺麗にあがっていきます。
重力を振り払い、
すまし顔、否、ドヤ顔で、
真っ直ぐ上っていく。
えげつない美しさ。
ともすれば忘れてしまうくらい
あっけなく、そして圧倒的。

カックイイ!

雲ひとつない空に
ソユーズの軌跡が、ずっと見えてました。
夜の打ち上げならでは…だそうです。

軌道を回るので
天に昇っていくだけじゃないのが印象的。
上に昇っていく~、、、と思ったら、
やがて地平線に向けて
落っこちてきます。
科学って不思議w
面白い。




終わってからもその場を離れたくなくて、
できるだけゆっくり歩き
何度も何度も振り返りました。
不審者ばりにw



菊地さんが、
お世話になった、今も現役の
バイコヌールのお医者さんを見つけて
ぴょんぴょん飛び跳ねて、手を振ってました。
無茶苦茶可愛かったッス。


揺られて帰るバスの中、
ロシアの観光客はウォッカを喰らって大合唱。
日本人御一行も整理しきれない感情を、
なんとか言葉にしようと饒舌に。
皆の表情が一番物語っていたのかもしれません。
満面の笑み。



ここではないどこかへ。
私にとっては非日常。
けれど飛行士や作業員にとっては
新たな日常のはじまり。
ここではないどこかじゃなく、
行った先には現実があり、営みがある。
そうか自分にとってもこれは現実。

ものすごく幸せな一瞬でした。
本当にありがたや!



次回へつづく。


四半世紀欠落少年

2015-10-01 00:47:11 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (29)】


宣誓式を終えた後
飛行士達はバスに乗り発射台へ。
おそらく途中でバスのタイヤに小便をひっかけるという
ガガーリン以来の伝統を済ませ
宇宙船に乗り込んでいるはず。
打ち上げまでの2時間半。
様々なチェックを淡々とこなす。

観光客の我々はというと、
深夜0時を回ったというのに
博物館見学。



発射台にほど近い場所にある
バイコヌール宇宙基地博物館へ。

ソユーズ宇宙船や
ロシア版シャトルのブランの実物大模型が
外に展示してあります。
ブラン、でかすぎ!
ソユーズ、ちっちぇなあ~w





同行さんの詳しい説明や
偶然おられた技術者さんと記念撮影。
ブランのコックピットにも乗れ、
一行のテンションはあがりまくり。

しかし私はなんだかおかしい。
打ち上げが迫ってくるにつれ、
気持ちが焦る焦る。
(捕って喰ったりしないから落ち着けってw)






宇宙飛行の歴史や
モノホンの部品の展示も
どっかもうお腹いっぱい。
贅沢すぎてバチがあたります、ほんと。




それでもお目当てだけは
じっくり見学。

二階の奥に展示されている
25年前の飛行の記録。

秋山さん、菊地さん、
旧ソビエトのクルー達。
TBS「日本人初!宇宙へ」プロジェクト
日ソ共同初飛行についての展示。




菊地さんに案内されて展示の前に建った瞬間。
感情が押し寄せてきました。
「ほんとに来たんだな」

菊地さんは、自身の展示の下にかざられた
イギリス初飛行の展示をじっと眺めておられました。

バックアップクルーとして共に訓練を受けた
トーリャ飛行士とセリョージャ飛行士、
イギリス人初の飛行士で女性のヘレン・シャーマンさん。

いろんな思いが巡っていたのか、
二人とも急に押し黙ってる。






ぜひとも一緒に
記念写真が撮りたいと思ったのですが、
困りました。
周りに人がいない。
「え~と、じゃあ、自撮り風に」
これで大丈夫かしら?と一枚。
二人で自撮りって、恋人しかやらんw
もうそんなスキルも遠のいて久しい身ですから、
カメラの角度も悪く、
二人して変な表情の写真が撮れてしまいました。
撮れてるかな~という間抜け面。
思わず笑ってしまいます。

そこへ助け船。
神か仏か、同行さんがやって来ました。
「お、お願いしやす!」
と鼻息荒ぶり。
やっとこ菊地さんとベストショットが撮れ
ここでの任務は終了と相成りました。




あんだけ目の色変えていた
お土産屋も、
ガガーリンとコロリョフが飛行の前に
泊まっていた実際のコテージも、
華麗にスルー。

見所目白押しでしたが、
集合時間が来るのを
一人、外で待っておりました。

打ち上げまでもう30分を切っている。
気持ちを落ち着かせなきゃ。


次回へつづく。




タイトルに、友人のバンドの曲名を使わせて頂きました。
むちゃむちゃカックイイですので、ぜひお聴き下さい。

不慮のボーナム - 四半世紀欠落少年
不慮のボーナムFacebookはコチラ

猫背のヒーロー

2015-09-30 00:13:00 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (28)】


外は日が沈んでまっくら。
かすかに赤い夕日の残像がひとすじ見えています。

「世界の果てのような場所が、宇宙への入り口」

かつて秋山飛行士はそう述べられていました。


緊張しているからか
時間の過ぎていくのが早く感じられます。

バスに揺られて、あっという間に
ミーク組み立て工場に着きました。
2日前にも見学にきた場所です。
中ではすでに飛行士達が宇宙服に着替えて
気密のチェックやら、
家族との最後の会話をガラス越しに行っているはず。



工場のまわりは明るく照らされているのですが、
敷地の先に目をやると、闇がひろがっています。

砂漠の夜はシンと静かで
日本の夏の夜と全然違う。
虫の鳴き声やジメジメした感じは一切ありません。
どこまでも静か。
怖さすら感じます。

宣誓式会場は工場の外。
駐車場から地続きですが、仕切られていて、
セキュリティチェックしなきゃ入れません。

例のごとく
最初は列が全然進まず、最後はザル、、、w
お馴染みロシア・クオリティ。
警備兵にカバンの中をチラ見せ。
おとがめは一切なし。
大丈夫なのかしらw



プレスのカメラがワンサカ。
私は川上村の応援幕を持つ役目を仰せ使いました。
ずっとかかげていると
腕がプルプル、、、痛えw
ひ弱過ぎて日頃の不摂生を反省。
油井さんの晴れの舞台に泥を塗るわけにはいかないと、
頑張りましたが、大丈夫だったでしょうか?


20分くらい待ったでしょうか。
何の前触れもなく
にぎやかな音楽もなく
宇宙服に着替えた飛行士達が登場。



白と青のコントラストが
マジでカックイイ、ソコル宇宙服。
打ち上げ時の
座位姿勢に特化してるので、
歩くと強制的に「猫背」になります。
なんだか可愛らしい。



飛行士は一瞬で通り過ぎ、
宣誓式も一瞬で終わります。
一瞬続きでボーッとしてたら、会場に人はいませんw
マスコミも潮が引くように、サーっといなくなります。
飛行士を乗せたバスは、
打ち上げ台へ、颯爽と出発していきました。
後に残る余韻。


かつて秋山さんが立っていた位置にて記念撮影をして
ツアー御一行も出発。



テレビで見ていたあの場面が
次々と目の前の現実になっていく。
気持ちを処理しきれず
ぼーっとしてきました。

とにかく集中しなきゃ、
そんな事を思いながら
次の場所へ向かいました。


次回へつづく。


気持ちは高ぶり…

2015-09-29 00:15:24 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (27)】


ホテルへ帰って6時間の空き。

次の集合は20時。
打ち上げは深夜。
英気を養う為、部屋に入って
ベッドへダイブ。



このままグッスリ眠れたらよかったのですが、
やっぱり3時間くらいで目が覚める。
出発まで、全然ある…ハァ

俺、緊張してるw

カーテンから日光が漏れる中、
持ってきたipodで音楽でも聞いて、
気持ちを休める事に。

なんだかバンドの初ライブ前みたい。
我が人生を変えた「TMGE - DROP」
絶賛どハマり「BABYMETAL - Road of RESISTANCE」
などなどを視聴。
そしてなんと言っても
「日本人初、宇宙へ」の番組テーマソング、
ユーミンの「SAVE OUR SHIP」。

静かにふつふつと
興奮してきます。。。
いや、アカンがなw


目がショボショボしてきて、
横になるも、、、、うぬぬぬ、
やっぱり寝れない。
また曲を聴き、気持ちを落ち着ける。
否、興奮するw

そんな繰り返しをかれこれ3時間w
集合の時間となりました。


一生に一度。
もう二度と訪れることはない
初めての経験。
あっという間に終わってしまうだろう。
ともすれば忘れてしまうくらい一瞬。
でもそれが明日の糧となる。
そのことだけはわかっている。
どんな結果になろうとも…
…などど、
観光旅行のはずが
いつしか夢を達成するんだと
感傷に浸って、意気込み過ぎ。
そりゃあ体調も悪くなりますわw
いいから寝なさいってw


用意を整え、いざロビーへ。

20時といってもなめちゃいけません。
昼ですw
煌煌と明るい外の景色。
もう何が何だか…
体内時計の悲鳴が聞こえる。

宇宙飛行士のお見送りをしに
昨日も向かったホテル・バイコヌールへ。




昨日と違って、入り口ではカバンの中もチェックする厳重さ。
そりゃそうか、今日は本番だもの。
三脚やら持ってきたが大丈夫かしら?
と焦っていると、やおら一気に列が進む。
さすがロシア流。
時間までに間に合わないのか、
はたまた観光客多すぎで、うんざりしたのか
ノーチェックでゲートをスルーw

並木道の手前に大型のバスが止まり、
報道関係者がカメラをかまえております。


川上村からの同行さんは
この日の為に特注であつらえた油井飛行士応援の法被姿。
プレスがこれ幸いとパシャパシャ。
旗も広げると、いろんな人が記念撮影しにきます。
そういや石油王も副村長と記念写真撮ってたなw




そうこうするうち、ざわつく会場。
いきなりかかるロシアのポップス…というか歌謡曲
飛行士が飛び立つ時にかける伝統の曲だそうです。
宇宙感全然ないッスけど、
歌詞に書かれてるみたい。



クルーが手を振りながら、やってきます。
照れ臭そうに、しかし晴れやかな笑顔の油井さん。
川上村の応援幕も、
きっちり油井さんの視界に入ったようで何より。
飛行士を乗せたバスは
無事、出発致しました。




一行は急いでホテルに戻り夕食。
サラダは残し
fish flyらしきものを少量食しました。
緊張で喰えないw


やっとこさ日も暮れ、
いよいよ打ち上げ基地へ

夜は長いぞー。


次回へつづく。


長い一日

2015-09-28 00:48:21 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (26)】

(記事も長いよ、ゴメンなさい)



いよいよ今日は
ロケット打ち上げ!

少し観光して、昼飯喰らったら
6時間の空き。

夜に再度出発して
宣誓式と博物館見学。
打ち上げは翌早朝3時。
そこからさらに6時間の空き。
朝には、ドッキング中継を見に行って
ホテルをチェックアウトして
空港へ向かってモスクワへ。


2日を1日で過ごす気分。
空き時間をどう過ごすかがカギとなる
と~っても長い一日。


なので連日の睡眠不足。
時差ボケボケ。
腹下しまくりの私には、
正念場。


集合は遅く11時前。
朝食も食わずギリギリまで寝ていたのに、
全く回復してねえ!
しんどいw
そして眠いw
なんでやね~ん!!!



まずはバイコヌールの市場へ。
蚤の市ですな。
市民生活を垣間見つつ
土産物探索。
生鮮食品や日用品が数多く、
観光客向けのものは、あんまりない。
そりゃそうだw
すんげえ広くて、
与えられた時間30分は
あまりにも少なすぎ。

なんとかバイコヌールの木彫りの熊、、、
ならぬ、ラクダにロケットが合体した粘土細工。
宇宙飛行の記念コイン。
クリスマスツリーにかざるような
手製のかざり、宇宙柄。
などなどをゲット。
観光客感まる出しw
買い食いとか、したかったんですが
腹の調子が悪いのでスルー。

バイコヌールというか、カザフなのでしょうか?
ラクダが象徴的なモチーフとなってました。
滞在中は、一度だけですが、
バスの窓ごしに遭遇。
地元奈良の「鹿」みたいな扱いかしら?



バスに乗って次なる場所へ移動。
何やら「団地の一室」に連れていかれました。
何々?
どうしてこんなとこに連れてこられた?
わけも分からず部屋に入ると
御一行の表情は一変!

ロスコスモス(ロシア連邦宇宙庁)グッズが
これでもか!と並べられておりました。

ロゴが入った衣類が豊富。帽子やバッグにタオル。
作りもしっかりした公式グッズ、、、
なのか確認はしておりませんが、
一行の戦闘態勢はボス戦並みに(でんでんでんでん♪せふぃろ~す♪)

菊地コマンダーも思わず、
「最初にこういうトコ連れて来てくれればいいのに」

ツアー側のツボ外しまくり感に呆れ気味。
確かにおっしゃる通りw


衣類のタグ見ると「52」とか「54」とかのサイズ表記。
S寸、M寸とかじゃないのね。
46がSサイズ、48がMサイズなんですが、
あんまり見当たらず。
ロシアの方々、やっぱ大きいのね。

上下セットになった衣類には
「54&180cm」なんて表記も。
んん?
ああ、XLサイズで
身長180cmの人用ってことか!
試着せんでも良いショッピング・スタイルなのねw

狭い部屋に、大人数が押し込まれ
これでもかと大量に飾られた土産と
大乱闘スマッシュブラザーズする御一行w

時間もないとくりゃあ、皆汗だく、必死の形相。
こわいよ顔が!
会計のおばさまも息あがってるw
観光客の恐ろしさを
ここでもキッチリ、お見舞いしておきました。




全員が出てくるのを階下の入り口で待ってると、
見知った顔の女性。
美しいワンピース姿のカザフ美女。
なんとホテルの受付嬢のお姉さんでした。
「はーい」と笑顔で声をかけられ、
俺、思わずにんまり…。
したり顔。(←キモチワルイ)
やばいやばい。
ん?
電話番号聞いときゃよかったー。
激しく後悔。
日差しが強いわあと
喫煙スペースで一服したあと
昼食会場へ。


サラダはあまり手をつけず、
鶏肉とマッシュポテトのメインを
がっつり頂きました。
うます。

昨日に引き続き、2度目のクワスに挑戦。
なんと味が全然違う。
さっぱりしていて美味!
自分に合うクワスにこんなに早く出会うとは
思ってもみませんでした。

昼食後は夜に始まる本番までの空き時間。

徒歩で町歩きに向かった方々が羨ましかったですが、
さすがに持たないと、
断腸の思いでコマンダーらと
タクシーに分乗してホテルへ。

バスは夜に向けてお休みする為、
バイコヌールのタクシーに初乗車。
ってかあったのねタクシー。
あっという間にホテル到着。
ほんの2、3分で着いちゃいました。
これなら歩いてもよかったなw

しかしまあ、
タクシーの運転の、荒い事荒い事。
ホテルまで飛ばす飛ばす。
ってか、降りた後もドア半開きで猛スピードで発進。
あやうく同行さんが轢かれそうになってました。
生き急ぎ過ぎ、タクシーのあんちゃんw
150ルーブル、300円ちょっとをお支払い。



ホテルのドアを開けると別のグループ。
おお!若田宇宙飛行士ではないですか。

今回飛ぶ油井さん家族のサポート係として
NASAから来られたそうです。
菊地さん曰く
相当気を張って、細やかなケアされてるとの事。
さぞかしお疲れでしょうからと、
ドアを開け、ホールド状態で、
通られるのを待機。

気づいた若田さん、 シュタタタとやって来て
逆にどうぞどうぞと、ドアをホールド&促し。

いやいや日本の宝に仕事さすわけにはイカンです、どうぞどうぞ。
いやいやそんな大丈夫です、どうぞどうぞ。
いやいや
い~やいやいや
いや、え?あ、そうですか、それでは失礼して。
ん…?
ま、、、負けたあああああああ!

疲れた顔なんぞ微塵も見せない精悍なお姿…
いやオーラに
「どうぞどうぞ負け」してしまいました。
低姿勢にも程がありますw


宇宙飛行士の適正ってこれなのね。
どうぞに決して甘えない。
疲れない。
諸君、それが宇宙への道につながるのだ!

私にゃ無理っすw


次回へつづく。



バイコヌールの風

2015-09-27 00:25:23 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (25)】


夜も9時を過ぎてやっと夕焼け模様。
会見場からすぐのトコにある「ホテル・バイコヌール」。
その入り口横に設置された
テント型レストランに向かいました。



ホテル・バイコヌールの外観は
近代的で豪華絢爛。
レストランも洒落おつ。
砂漠に似つかわしくないくらい都会的な建物でした。




恒例の石油王の乾杯で
賑やかに始まる夜の宴。
サラダうまっ!
パンうまっ!
ビールうまっ!
メインも、もちろんうまっ!
で、
例のごとく、メニューを激しく失念。


まだ打ち上がってないのに、打ち上げ気分で、
おおいに酔いが回るw
調子にのって饒舌あ~んど少し深い話に。
お恥ずかしながら、母の介護の事や
この旅に来た理由を、皆さんに話しました。




油井飛行士は、会見で
「父の事を誇りに思う」と仰られてました。
お父さまも、同じように
「油井さんを誇りに思う」と
報道関係者に語っていたそうです。

母の介護をめぐって、
おそらく人生で初めて父と向き合う自分に
あの言葉は出てくるだろうか…
家族としての役割をきちんと果たせているだろうか…

そんな私に、
油井飛行士のご出身=川上村の副村長は、

「家族だからいろいろある。
 遠慮がねえから。
 だから家族なんだよ」

と教えてく下さいました。

油井さん達も
ああしてお互いを称え合うまでには
様々なドラマがあったんだよと、
人生の先輩の優しい教えに、心救われました。

本当に、ありがとうございました。





歩いて宿へ帰る途中、
ほんのひととき
菊地さんとお話しする機会もありました。

バックアップクルーとして、病を押して
放送の最後まで自分の務めを果たされた菊地さん。
自ら選択した結果から逃げず、
任された役割を全うすること、
プロフェッショルとして務め上げることの大切さを
画面を通して、教えて頂いた気がする、、、
そんな事をお話しさせて頂きました。

酔いが回った私の言葉を
にこやかに
受け止めて下さった菊地コマンダー、
本当にありがとうございました。

「あの頃の気持ちを思い返す為に、
 著作を
 カバンに忍ばせてきたんです」

静かに笑うその表情が、
とても印象的でした。




人生は死ぬまで続いていく。
とても怖いけれど、
最後は自分ではどうにもならない。
ままならない日常をどう過ごしていくのか。

明日で終わりを迎える旅。
そこから始まる新しい旅路に想いを馳せながら
すっかり暮れてしまったバイコヌールに吹く風に
心が洗い流されておりました。

そうだ。
早く帰らなきゃ。
母と父のもとへ。



次回へつづく。

報道の現場

2015-09-26 00:30:22 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (24)】




重たい機材を抱えてカメラマンが猛ダッシュ!
続いて、機材を持たぬ記者が悠然と中へウォーキング。
ラストは我々観光客。

バイコヌール DAY2 のメインイベント
「宇宙飛行士の記者会見」
その会場へ向かいました。


中は人数に比してめちゃ狭。
当然ですが、
人がごった返し。
観光客は総じて
プレスの皆さんの後ろで立ち見。

って、
おやおや~?

いつのまにやら、
そこは、プレスが座る席じゃないの?という
前のイス席に鎮座する石油王。
隣の記者と話してます。
おいおい、どんな魔法使ったのよw


個人的には、
油井さんの会見を見るより、
熱気あふるる報道関係者の動向に興味が…。
テレビの裏側を覗き込んでる感じで興奮しておりました。


新聞記者と思しき方々は、
会見一切見ないで、耳を研ぎ澄ませ、
ひたすら内容をメモって速記していたり、、、



カメラの外付けマイクが後ろ向いてるけど、
場内のガヤでも録っとるのかしら?
飛行士はマイク通すから、スピーカー狙いかしら、、、とか。



見るもの全て目から鱗。

一番面白かったのが、
カメラマン達の勝敗の行方。

ベスポジを確保する為の
熾烈な場所取り争いは、
観光客が中に入った時点で
すでに終わりを迎えておりました。

敗戦したカメラマンは
重い機材を手に右往左往。

その際、勝者の三脚を引っ掛けて行くもんですから、
倒された方はイライラして睨みつけまくり。
いやむしろこれは故意?
嫌がらせかよw

カメラマン達の鬼気迫る表情は
とても印象的。
これが現場ってやつねwktk




忘れちゃいけないのが、
我らが菊地コマンダー = 元TBS!
なので
いろいろ質問。

カメラマンの場所取り戦争に負けない為の
極意、
菊地流秘伝の奥義
「照明熱射隙間攻め」
を伝授して頂きました。
一体全体、どこで使うのやらw


25年前にTVで見た印象と変わっていたので、
違う場所ですか?と質問。
したら、同じとの答え。
ロシアもNASAにならって
照明を変え、見栄えよくしたそうです。
どうりでだいぶ印象が変わっていたわけだ。

あのガラスの向こう側に菊地さんもいたんですね。
すげえや。


気になっていたのが、
会見前に入ってきた情報。

ロケットのコンピューターに不具合が発見されたとの報道。
ロシア宇宙庁側は「すべて順調」と否定したそうですが、
会見のスタートが押しに押した為、
やっぱ影響あるの?ここまで来てダメなの?
なんて若干ヤキモキ。

打ち上がるまで
何が起こるかわからないのが宇宙開発だそうで
腹くくって会見に集中いたしました。



油井さんは英語、ロシア語、日本語で
同じ内容を丁寧に説明されており
とてつもなく真摯。
すげー骨が折れるなあ、宇宙飛行士って。



先輩の若田飛行士への尊敬の念。
お父様と、亡きお母様、
奥様とお子さんや、スタッフ、そしてクルー達に
感謝の気持ちを述べられてました。
どんだけジェントルなんですか、油井さん!



会見は無事終了。
若干人の多さに酔いましたが、
報道現場の裏側を垣間見、
こうして記事が作られていくのね、、、
家政婦は見たぁ!状態で、
一人ほくそ笑んでおりましたとさ。


次回へつづく。


エリクサー

2015-09-25 10:30:50 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (23)】



ホテルに帰ってお土産をパッキングしてると
再び集合時間。
飛行士の記者会見を見に、
お隣のホテルへ向かいました。

まずは敷地内にある
「宇宙飛行士の並木道」へ。


許可証もらって
門をくぐり、先へ進みます。
警備兵もいましたが、
セキュリティチェックもなくスルー。
い、いいのかしら?




飛行士達が、全ての訓練を終えた後、
打ち上げまで
2週間を思い思いに過ごす場所。

隔離施設のはずが、
緑が多く、開放感にあふれてて、ビックリ。

お金と手間暇を
ものすごくかけてる事が伝わってきます。
市内も十分美しかったのですが、
ここは遥かにそれを凌ぐ。
宇宙飛行士って、
やっぱすごい特権階級だったのねw



奥へ進むと
ちょっとした公園のようなスペース。
大量の木々が青々と生い茂ります。
木漏れ日が、ほんとに心地いい。




初飛行のガガーリンから紡がれてきた伝統。
打ち上げ前に、飛行士たちが、
必ず自分の木を植樹します。
名前と飛んだ年が書かれたプレートが眩しい。

バイコヌールの水は塩分濃度が高く、
植樹した木は、枯れちゃう事も多いそう。
そのままだと縁起が悪いので、
飛行士たちには喋っちゃやーよと、
内緒で植え替えられるとのこと。
ムムムム、、、
「無かった事にしましょう」が有りなのか…w

昔、植えた木のはずが、
背がめっちゃ小さかったりするのは
それが理由だそうな。

油井さんのは少し枯れ気味でした。
がんばれ~!




秋山宇宙飛行士の木の前で
菊地コマンダーと記念撮影。
大きく育ってます。
まさに25年の刻の流れ。
打ち上げを明日に控え、
ここまで来たな…という実感が
ふつふつと湧いてきます。






並木道の先は砂漠の大地。
アラル海から流れる川と、
どこまでも真っ直ぐ続く地平線。
絶景。




皆で思い出に残る記念写真を撮り
記者会見の会場へ向かいましたとさ。


次回へつづく。


街の人々

2015-09-24 00:15:46 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (22)】



午後のお土産探索の合間、
バイコヌール中心地にある
鉄道の駅に立ち寄りました。


ゴロドスカヤ駅というそうで、
看板には行き先が書いてあります。
北の駅行き、南の駅行き、、とか。
とてもシンプルな行き先表示w
しかも本数もシンプル。

1日1本。



朝に出発した列車が、
夜に帰ってくる。
当たり前っちゃあ当たり前のように思いますが、
乗り遅れたらどうすんだべ?
二度寝したら、その日は欠勤って事になりそうw


一度は、ロシアの鉄道にお乗りなさい、、、
と、
ロシア通さんが力説。
乗り心地が、
日本のそれとは全然違うらしい。
「レールの幅が広い」=大陸仕様なのが理由とか。



駅のそばには実際に使われていた蒸気機関車。
表示を見てビックリ。
つい最近まで、50年間も使われてたんですね。



使えるものを大事にする
ロシア文化に頭がさがります。
子供たち、勝手にのぼって遊んでますw




近くでは若い、、、というか
まだ幼い感じのカップルに遭遇。
みんな大好き「ぬこ」様もいらっしゃいますw
カザフ美男美女と猫。



御一行がバシャバシャやるもんですから、
とても恥ずかしそう。
ぬこ様も警戒心半端ない。
邪魔してスンマセンでした。
お幸せに!

カップルに聞いたところ、
写真におさまってる線路上の列車は
廃棄された車体。
捨てる場所ないから放置。
豪快すぎわ、バイコヌールw









人々が急ぐ様子もなく、
のどかな街 = バイコヌール。
子供たちは元気で人なつっこく、犯罪も少ない。
ほんとに特別な場所だったんだなと
旅を終えた今、改めて思います。


最終日にモスクワに戻った際、
「荷物を放置してても盗まれない
 =バイコヌールのような事はないので、ご注意を。
 異国なので…」
と念押しされ、我に返った事も印象的でした。


この先、ロシアは
バイコヌールの使用を減らしていき
自国の新基地にロケット産業を移行していく予定。

大きく変わっていくんだろうな。
できれば、変わらないで欲しいなと
少し感傷的な気分になりましたとさ。


次回へつづく。

花より団子より、おみやげを!(後編)

2015-09-23 03:35:43 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (21)】


まだまだ行くよ~♪お土産探訪♪
どうも、渡辺篤史です、、、ちゃうちゃうw


次なるは
バイコヌールのショッピングモールへ。


もともと石油王が
コンセントの変換アダプターを買う為に
立ち寄ったのですが、
御一行はいつの間にやら、めぼしい品をゲット。
天下の石油王も
これにはうんざり模様。



ロシアのタバコ買わないんですか?
と同行さんに言われ、
記念に買っとくか、、、ないなあ、、、
なんてやってると、
やおら店員さんが厳重に管理されたシャッターをオープン!

出ましたシガレット!

意外性もなく、
銘柄一緒、、、、、ん?なんか、ちょっと、ちが、、、

げえええええ!?
ジャーン、ジャーン、ジャーン by 横山光輝版「三国志」

銘柄一緒だけど、
パッケージがヤバイ。

「喫煙は体に害を及ぼします」っていう
タバコにしなきゃいけない例の表示。
こちらでは凄まじいっス。

文字表記だけじゃなく、
医学書なんかに載ってる
患部の症例写真が掲載されてます。
吸ってると、こうなりますよ!という
有無を言わさない禍々しさ。

これは、、、、躊躇します、本気で。
というか凹みます。
ううむ…


一応
ソ連時代からあるらしい
ロシアの安タバコをゲット。

外に出て吸ってみようと
開けると、またぞろビックリ。

葉の部分が申し訳程度しか無え!
フィルターではなく、
厚紙まるめた長い筒。
それをつぶして吸うみたい。

なんじゃコリャ!

紙が非常に粗悪で、燃えると焦げてきよります。
ダイオキシン直接吸い込んでるな、マジで。
ちなみに、味はピースっぽい。
日本に持ち帰った今も
置いてあるだけになってますw




お土産探訪のシメは郵便局。
ボールペンやらマグネットやら
記念封筒と切手などをゲット。
通訳する菊地コマンダーも疲労困憊。



ロケット関連グッズに目の色を変える方、
ご近所に配る為、仕入れの如き大量の買い付けをされる方、
同行さん達の
目の色チェンジ・ポイントに特徴があって
おもしろかったですね。

ちなみに、
バイコヌールでは一切目の色を変えなかった
同行さんが一人、、、
お土産買いまくる自分の浅ましさを反省、
アンド、見習わなきゃと思っていたところ、
その方、
空港の免税店で、
爆買いされておりましたw


みんな、土産物、攻めすぎw


次回へつづく。