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ケイマン(987前期) with サラリーマン

注)この記事を参考に作業を行った場合の責任は当方は一切負いません。あくまで自己責任でお願いします。

ポルシェ 純正リチウムイオンバッテリーについて

2013年07月31日 | ポルシェ
今日は軽量化ですが、自分のクルマを分解するんではない話を。

バッテリーです。

バッテリーの軽量化については、
バッテリーの小型化やドライバッテリーなど、過去から色々な取り組みがされています。

しかし、事バッテリーについてはポルシェが究極のアイテムをすでに世に出しております。
リチウムイオンバッテリーです。

このバッテリーは元々はGT2RS用に作られたものです。

GT2RSは997世代に設定された軽量版GT2です。
ポルシェは決して認めないでしょうが、この911は日産のGT-Rを倒すために作られました。

ニュルのラップタイムで日産GT-Rにまけたままではいられないポルシェは、これを叩きのめすために、
ターボからすでに140kg軽量化されているGT2をさらに70kg軽量化するために作られた部品の一つです。
(GT-Rと911の因縁はまたいずれ別の機会に)

その軽量化量はバッテリーの変更で10kg。素晴らしい効果です。
10kgといえばバンパーフェースとフードとフェンダーを全部カーボンにするのと同じぐらいの効果です。

「よーし、これを俺の車にもつけてやろう!!」
軽量化に一心不乱に取り組んでいる私であれば、もちろんそうなってしかるべき!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ならないんですよ、これが。
実はこの10kg軽量化にはいろいろ裏があって、おいそれと手を出すわけにはいかないんです。

実はこのバッテリー確かに軽いんですが、
その電力容量は18Ahしかないんです。小さ!!!

え??なんだかわからない???

このほにゃららAhっていうのは何ペアの電流を何時間流せるかという、
バッテリーの能力を表す値です。
ドイツでは一般に20時間電力量が使われていて、
18Ahということは、0.9アンペアの電流を20時間供給できるバッテリーということです。

では標準のバッテリーはいくつか。
私のケイマンで60Ah、ケイマンSなら70Ah程度、911なら80Ahが普通です。
GT3RSやGT2に通常積んでいるのは少し小さめの60Ah。
60Ahって言えば3アンペアの電流を20時間流せるということです。
なんとリチウムイオンバッテリーは通常のバッテリーの1/3以下の容量しかないんですよ。小さいでしょ!!

18Ahといえば、普通の鉛蓄電池でも、6、7kgしかないんです。
しかも18Ahといえば普通は2輪車用。
リチウムイオンだと電力の発生の特性が通常の鉛蓄電池と異なるのでしょうが、
それにしても小さすぎます!!
逆にこの小さい容量でスタータを回せる時点で驚異的なんでしょうが、
日常的にはとても使えません。



ではここで、バッテリーの容量について、
容量を決めているものはなんなのでしょう。
よく走行中の電力消費が多い場合は大きなバッテリーが必要だと言いますが、
走っているうちに電気をどんどん消耗していってしまうようなら、バッテリーを大きくしても無駄です。

これは少し考えてみればわかります。
バッテリーに電気が貯まるのはどんな状況でしょう。
それは走っている時です。
走っている時にどんどん電気が減っていってしまうなら、
走り初めより電気が増えることは絶対にありません。
止まっている時に別の電源で充電するようにするか、
オルタネーターの能力を増強しないとダメなんです。
つまり走行中の電力消費は、オルタネータの能力には関係しますが、
バッテリーの容量には関係しないのです!!!!
(オーディオのアンプを大きくしたら、必要なのはオルタネータの大型化です)


ではバッテリーの容量は何で決まっているのか。
それは充電されていない状態、つまり、駐車している状態での電力消費量と、
スターターを回せる電力量の合計値です。
この合計があらゆる温度環境で(バッテリーは寒いと効率が一気に低下。このため寒冷地仕様はバッテリーが大きい。)
安全率を持って対応できる容量に設定されています。


つまり駐車している期間がメーカーの想定を上回れば、
どんなに大きなバッテリーを積んでいてもバッテリー上がりを起こすのです。


ではどのような条件ならバッテリーを小型化できるのでしょう。
まず駐車状態での電力消費を減らすこと。
余計な機器をなるべく外すことも重要ですが、
最も効果的なのは駐車中はバッテリー端子を外しておくこと。
(この場合外すのはマイナス端子です)
ただ、セキュリティーも効かなくなるので、セキュリティのしっかりした車庫保管が不可欠ですが・・・・・。

さらに端子が繋がっていなくてもバッテリーは徐々に放電していきます。
いくら端子をつないでいなくてもいづれはバッテリー上がりを起こします。

この意味でドライバッテリーやリチウムイオンバッテリーを用いるのは効果的かもしれません。
これらのバッテリーは使っていない時の放電が鉛電池より少ないと言われていますので。


というわけで、残念ながら現在バッテリーによる軽量化の見通しはたっていません。
いずれ車庫保管になる日が来たら、28Ahぐらいのドライバッテリ-とキルスイッチをつけてみたいですが、
んー、そんな日は当分来そうもないですね。


最後にバッテリーについてもう一つ。
どんな種類のものでもバッテリーは消耗品です。
化学変化で電気を発生させている以上、性能が徐々に低下するのは不可避です。
みなさんも携帯のバッテリー(これはリチウムイオン)がだんだんダメになっていくのをよくご存知かと思います。
リチウムイオンバッテリーに50万,60万円かけて、しかも消耗品・・・・。
だったら半永久的に軽い状態と性能を維持できるターボ用アルミドアなどにお金をかけたほうがよさそうですね。

ケイマン 987 リアゲートの軽量化 その2

2013年07月26日 | ポルシェ
さて、本日はリアゲートの軽量化の続きです。
(リアゲートの前の記事はこちら

リアゲートのガラスを外してみます。
(注:このブログを参考に作業をした場合には当方は責任を一切負いません!!自己責任でお願いします!!)

使うのはピアノ線。要は丈夫な針金です。ガラスはリアゲートにゴムみたいな接着剤でついています。コレを針金で切っていくんです。ただ、どうしてもボディにこすれ傷ができるので、基本的には再塗装が前提になります。

まずピアノ線をガラスと板金の隙間につっこみます。これがなかなかはいらない。先端を微妙に曲げたりしてながら何度か挑戦し、やっとこ入りました。

後は二人がかりで両端を持ってひたすらギーコギーコ交互に引っ張って徐々に接着剤を切っていきます。

これがアラフォーには結構こたえる。ピアノ線をつかんでるプライヤーを持ってる握力が段々なくなって行きます。

そして格闘すること約2時間、やっと外れました!リアゲートだから何とかできましたがフロントは絶対無理ですね。プロに任せましょう。

で、外れた状態はこちら。

それぞれの重量は
リアゲートは15kg。
リアガラスが4.8kg。

リアガラスはアクリルに置き換えるとだいたい1/3の重さになるので、ここで3.2kgは稼げそうです。

後はこのリアゲートの板金も軽くしたいですね。軽め穴でもあけますか。
軽め穴は結構効かないんですよね。
でもやらないよりはもちろんましなはずなのでいずれやってみましょう。
(リアゲートの軽量化はまだ続きます)

本日の軽量化量は3.2kg。
ここまでの軽量化量は68.2kg。
まだまだいきますよ~。


ポルシェとビートルズ -「最新こそ最良」のワナ-

2013年07月24日 | ポルシェ
私はポルシェが好きになる前からのビートルズのファンです。
なので、クルマの中で聞くのは主にビートルズになります。

今日はちょっとわき道にそれますが、ビートルズの活動とポルシェの年式の比較をしてみましょう。


まずビートルズのメジャーデビューは1962年です。
1962年といえばポルシェはまだ356を販売していたころです。
VWの主力車種はポルシェが設計したVWタイプIで、
このころポルシェはVWから多額の設計料をもらっていたころです。
(ちなみにビートルは”BEETLE”、ビートルズは”BEATLES”でつづりが違う)
続いてビートルズがはじめてイギリスでNo.1ヒットを取った1963年は
もちろん911が901として発表された年ですね。

ビートルズがアメリカのビルボードヒットチャート(日本のオリコンチャートのようなもの)で
1位から5位を独占するという空前にして絶後の事件をおこし、
ビートルズ人気が世界的になったのは1964年です。
1964年といえば911の生産がやっと始まったころです。

ビートルズが日本にやってきたのは1966年。

羽田空港に降り立った4人

武道館でコンサートをやっているんですが、このときはじめて武道館をコンサート会場として使ったんです。
武道館ってその名のとおり本来の使われ方は格闘技場です。このため結構な抗議運動まで起こってます。
このころのポルシェといえば、まだまだ先端に「バンパー補強剤」という名の重りをつけていた状態です。

その後ビートルズはいくつかのアルバムをリリースしますが1969年の夏には事実上の解散状態となり、
1970年にベースのポール・マッカートニーのビートルズ脱退宣言をもって公式に解散となります。
1969年といえば911が2.2Lになった年です。

ビートルズ解散の約一年前に行われた最後のライブ演奏の様子

こう振り返ると、ビートルズがいかに古いものかがわかります。
911の2.2Lなんて、ちょっとかじっただけの人がおいそれと買えるもんではないですからね。

ですが、ビートルズの音楽を聴くと私は”古さ”というものは全く感じません。
ラジオなどで意図せず聞くたびにいつでも「なんていい曲なんだ」と思います。
新しいアルバムほどいい、などということももちろんありません。
ファーストアルバムには、ライブバンドとしての力強さが、
中期のアルバム(特にライブをやめてから)にはバンドスタイルにとらわれない自由さと複雑さが、
後期のアルバムには、高まる音楽性とすっきりとした曲調、それでいて複雑な構成という円熟感が、
それぞれの時代ごとによさあります。


「最新こそ最良」。
言い古されている感さえある、ポルシェ車についていつも言われるフレーズです。
ですが本当にそうなのでしょうか。

確かにある意味、工業製品としては新しいものほどいいし、
そうでなければエンジニアたちの努力は全くの徒労です。
ただそれは同時につらい考え方です。
「ポルシェが好きだし、ポルシェは最高だけど、俺のは最高じゃない」という考えだからです。

本当の富裕層であれば、毎年毎年ポルシェを買い替え、そのときの興味で車種やグレードを選び、
いつも「最良」を味わうことができるでしょう。
しかも実際にこれをやっている人が世界中に結構な数でいて、
これらの人々がポルシェの経営を支えているんです。
(中古でポルシェを買っている私がポルシェの生産台数に貢献することは決してない)


しかし、私にとっては2006年から2008年のケイマン2.7L・5MTというのはある意味最高の選択なのです。

なぜ最高なのか。
それはある基準でクルマを選んだときに、これに勝るクルマはないからです。

私がこのときに基準として考えたのは
 1.縦置きミッドシップ        →低重心、低ヨー慣性モーメント、高トラクション
 2.ハガネのクローズドボディ    →バネ感のある、一貫した挙動
 3.全幅1800mm以下         →公道でもたのしめる大きさ
です。

これらを満たした上で、普通に分解整備ができる、できるだけ軽い車を探しました。
そうすると2006年から2008年のケイマンの2.7L 5MTが最高なのです。
(他にはロータスヨーロッパ(旧)とルノー5ターボぐらいしかないし、ちょっと私には古すぎ。)


人の価値基準はどんどん変わっていきますし、
私にとっても今のクルマが最高でなくなるときもあるでしょう。
でも少なくとも夢中になって乗っていじってるときはこれが最高だと思ってかかわっていたいです。
皆さんも「自分のクルマが最高だ!!」と思える基準を考えてみてはいかがでしょう。

ケイマン(987) ドアの軽量化

2013年07月21日 | ポルシェ
昨日はアメリカからコメントいただきました‼意外とワールドワイド⁈なこのブログ^_^。

さて、引き続き軽量化です。
今日はドアいってみます。
(注:このブログを参考に作業をした場合には当方は責任を一切負いません!!自己責任でお願いします!!)


ドアはポルシェの空冷時代の軽量化モデルではかならず軽量化されているポイントなので期待大です。

まず、ドアの内張を外します。ドアの後ろ側のトリムとハンドル、後はドアミラーの基部のトリムを外すと、ネジが見えます。
で、ネジを片っ端からはずします。

はずしたら、ドアパネルと内張の間に使わないクレジットカードなどを二枚つっこみ、
その間にクリップ外しを突っ込むと内張が外れます。


するとドアは内側の板金と外側の板金の大きく2部品から出来ているので、
片っ端から外していきます。

そして外された状態がこちら


ほんとに空っぽ!!
この状態にすると、感動するぐらい軽いです!!
とても鉄で出来ているとは思えない!!
でも磁石をつけてみると、付きます・・・。
ちゃんと鉄です。

ここはターボ、GT3、ケイマンRなど、軽量化をしているモデルは
アルミになっています。

なんで、987/997のレギュラーモデルは鉄かというと、
値段の問題もありますが、側面衝突の対応が難しからです。
側面衝突で怖いのが、板金やトリムの裂けです。
裂けてしまうとぶつかってきた車が直接乗員に当たることになってしまいます。
これだけは避けたい。このため外板は側面衝突で外から突っ込んできたクルマを裂けずに受け止めなければいけません。
この時に金属としての特性として鉄の方が裂けにくいんですね。

ここのアルミ化は非常に難しく、
こんなところの板金において、金に糸目は付けていないフェラーリでも、
ボディのほかの部分はアルミにしても、ドアは随分と長い間鉄でした。

ポルシェも987/997世代でこの課題を克服し、
981/991ではレギュラーモデルを含めて全面採用しました。

だから軽量化の手法としてよく用いられる各部のFRPかですが、
場所をよく考えてからやらないともしもの時に命取りになります。
私はボンネットはFRP製に変える気はしません。
ぶつかった時にこっちに向かって突っ込んでこられるのはゴメンですから。
もし突っ込んできたら、30km/hでも致命傷を負います。
(・・・・仕事も話みたいになってきました。)


さてドアから外した部品を並べてみるとこんな感じです。

上の大きい部品が樹脂のドアトリム、
したの大きい部品が内側の板金。ここはアルミ製でした。直接車と当たらないですからね。
左の部品は上からドアスピーカー
ヘッドエアバッグ(真ん中の大きい方)とパワーウインドウのレギュレーターモータ
その下が内側のドアハンドルです。



ちなみに各部の重量は、

ドアトリムが4.6kg
内側の板金が1.4kg(さすがアルミ!!)
エアバッグ0.8kg
レギュレータモータ0.7kg
スピーカー0.8kg

このうちドアトリム、スピーカー、ヘッドエアバッグは外してしまうことにします。
本当はレギュレータも手動にしてモーターを廃止したいところですが、
付けられるハンドルのあてがないので、また今度ですね。

これで、ドア部分の軽量化は片側で6.2kg。
両側で12.4kgです。おー。でかい!!

これでここまでの合計は65kg。
これでやっと目標の1/3です・・・・。
先は長いなー。

フロントトランク、リアトランク、シート、ドア。
これで大物はほぼ終わりですね。
あとはまとまった重量が減らせるのはエアコンぐらい。
気温39度を超える群馬県在住の私としてはエアコン外しはありえません・・・・。
ドイツぐらい涼しければ考えるんですけどね~。
(最近はそうでもないらしいですが)

さて、今後は細かいところをコツコツと外し続けるしかないですね。

次は、協力者の予定が確保できたので、
リアゲートのガラス行ってみます。

ポルシェ カレラについて -言葉はややもすると陳腐化する-

2013年07月16日 | ポルシェ
今日はカレラについてです。


いや、911のNAグレードの話をするわけではありません。
”カレラ”という名前の意味についてです。


”カレラ”は昔からポルシェ車に付けられてきた名前ですが、
ほとんどの場合は車名ではありません。
グレード名のようなものです。

カレラって何のことか皆さんご存知ですか??
スペイン語で「競争」、つまりレースのことです。

ことの始まりは1950年から54年まで行われていた、
カレラ・パナメリカーナ・メヒコという、メキシコで行われていた公道レースです。

アメリカのマッスルカーとガチンコ勝負ができるレースイベントで、
当時アメリカでの拡販を狙っていた、フェラーリ、メルセデス、そしてポルシェなどが
ワークス体制で臨んでいたレースイベントです。
このレース向けに造られたポルシェ550の仕様が最初の”カレラ”です。

この550は1954年のこのレースで見事クラス優勝を飾り、
これを記念して、基本的にはこのレースカーと同じエンジンを積んだ
356を「ポルシェ 356 カレラ」として発売したのが”カレラ”の市販車の始まりです。

この後、356にDOHCヘッドをつけた高性能エンジンをつんだ仕様の事を「カレラ」と呼ぶことにし、
何度か市販されています。


そして、時代は移り、1964年からはポルシェの主力は356から911に移り変わりますが、
356時代には何度か登場していた「カレラ」は911ではしばらく市販モデルに登場しなくなります。

その沈黙を破ったのがいわずと知れた1973MYの911 カレラRS、通称「73カレラ」です。

このクルマで「カレラ」とは標準モデルより大幅に高性能なエンジンを積んでいることを表しており、
その後に続く「RS」はレース用のホモロゲーション取得を目的としていることをあらわしています。
このときの「カレラ」の意味は4カム(そう、水平対向だとDOHC化にはカムが4本いるんです)
でないこと以外は356時代とほぼおんなじです。


ちなみにカレラRSを日本語にすると競争・競争・運動。
カレラRSレーシング(本当のホモロゲ仕様)になると競争・競争・運動・競争。
どんだけ競争なんだか・・・・・・。


このあと74MY、75MYと「カレラRS」は同じホモロゲ取得を目的で設定され続けますが、
レース用ホモロゲモデルとしてはいったん途絶えます。
カレラRSに代わって911にターボがホモロゲモデルの役割を請け負うことになったからです。


そして次にポルシェに「カレラ」の名が復活するのは、1984年です。
それまで911のNAモデルのグレード名だったSCの代わりに、
排気量を3.2Lしたことで73カレラRSのエンジン出力を越えたことを記念してグレード名を「カレラ」にしました。

それまではカレラという名前には、
レース用のホモロゲーション取得がなんらか関連していたのですが、
このときに初めてレースと全く関係なしに「カレラ」の名前が使われ、
同時にNAの911はすべて「カレラ」と呼ばれるようになってしまいました。

その後「カレラ=911のNA」、
NAなら速くてもそうでなくてもカレラとなりそのまましばらく時間が流れます。


次の変化が起きたのは996のときです。
996は1997年に満を持してポルシェが投入した、エンジンを全水冷化した初めての911でした。
このときのNAのグレード名が「カレラ」。ここまでは普通です。

事件は1999年に起こります。
「911GT3」の登場です。

それまで普通のNAの911だけでなく「NAでもっとも高性能な911」にも必ずカレラの名がついていました。
964ではNA最強はカレラRS。993でもNA最強はカレラRS。これは356から不変です。
しかしこのとき「GT3」がカレラと全く異なる、20%も馬力が多い特別製NAエンジンを積みながら、
「カレラ」を名乗らなかった時点で、カレラはただの911のNAのことになりました。
(他と比べて特別な高性能NAエンジンを積む911という意味が完全に消滅した)

この後997にいたっては「カレラS」が登場し、
「カレラ」というだけの意味はますます下がってしまいました。


このように「カレラ」という名前は時代とともに陳腐化し、
その意味を弱めていってしまったのです。
特に以下の2つのことがターニングポイントと言えます。
 1)911NAモデルの中の高性能車から、911のNAモデル全体のことになった「930カレラ3.2」、
 2)911のNAの中で最高出力のグレードにカレラがつかなくなった「996GT3」の登場



「広告の表現は年々過激になっていく。同じ表現では、与える印象は徐々に弱まってしまう。」
これは広告関連の仕事をしている知人が言っていた言葉ですが、そのとおりだと思います。
言葉というのは気にせずに使っていると、慣れてしまい、陳腐化してしまうのです。
もしその言葉の意味を大切にしたいなら、その使用には細心の注意を払い、
大切な言葉はめったに使うものではないんです。


私が思うに「カレラ」という名前は本来的な意味では、
「レーシングエンジンを搭載した市販ポルシェ車」
につけられるべき名前だと思っています。

だから現在の911のNAラインアップは以下のように呼ばれるべきだと思っています。

911カレラ  → 911
911カレラS → 911 S
911カレラ4 → 911 4
911カレラ4S → 911 4S
911GT3 → 911 カレラ
911GT3RS → 911 カレラRS

しかもここでいうカレラについてはホモロゲ上いらない年は設定するべきでないと思います。
栄光に根ざした、思い入れ深いものこそ、めったに使ってはいけないのです。





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え?何でこんなこと調べたのかって??
それは、軽量化が完了した後の私のケイマンに
思い切って「カレラ」のサイドステッカーをはっちゃおうかと思ったからです。

結論から言えば、軽量化した987を「987カレラ」と呼ぶことは誤りだということがよくわかりました。
「987カレラ」を名乗るなら、911GT3RS4.0用のエンジンを積むぐらいの変更が必要でしょう。
(逆に「カレラ」だけなら軽量化は必ずしも必要ではない)

軽量化した私のクルマをポルシェの文法に則って呼ぶなら、
「987Club Sport」がもっともふさわしいですね。
(RSはホモロゲーションとのつながりがない場合に名乗るべきではない。997GT2RSは誤った用法。)


仮に軽量化が175kg満額達成できたら、
964カレラ4で300kgレベルの軽量化を達成した
「964カレラ4 ライトウエイト」に倣って、
「987 ライトウエイト」と名乗ってもいいかなと思っています。


あーでも俺のクルマも「カレラ」だったらよかったのになー。
 ↑これが”名前を陳腐化させる”考えそのもの!!(笑)