水徒然

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水中に溶解している元素の深さ方向の濃度分布に係る記載

2012-03-03 | 日記

''11-04-06(12-03-03更新)
 既報にて記載した「海水中の元素の深さ方向の分布」は海水中に流出した「放射性物質」の海水中での挙動を推察する上で参考になると思われます。元素によって、さまざまな分布を示していることがわかります。
 最近の情報では原発事故由来放射能セシウム濃度が東京湾で上昇など海、湖沼の汚染
が伝えられています。
 東京新聞(2012年3月2日 07時04分)詳しく見>>


<海水中の深さ方向の分布:クリック→拡大
深さ方向( ↓ )の元素濃度 ( → )
周期律表に準拠



 出典:「大気・水圏の地球化学」P186より引用

<周期律表:クリック→拡大

                 (google画像検索から引用)
<概要> 
1.主な元素の分布 
1)Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)K(カリウム)、Ca(カルシウム)などの主成分は深さ方向で一定の濃度分布。
⇒周期律表から、核反応放射性物質であるCs、Sr(アルカリ、アルカリ土類)も同傾向を示しています。
2)Al(アルミニウム)、Ti(チタニウム)、Th(トリウム)は深くなると濃度が高くなる。
3)Zn(亜鉛)Ge(ゲルマニウム)、Cd(カドミウム)などは濃度は表層で低く、中間層、底部で高い。核分裂反応物質に係る質量数(約60~170)に属するうちの希土類元素(例えば、Y:原子価3)はこの中間型に属しています。

2.海水中の元素の分布に与える要因 <<詳しく見る>>
1)海流の流れ・動き
2)海への元素の供給経路
3)海でのプランクトンの活動
分析、放射線強度測定用の試料採取位置には注意

分析、放射線強度測定用の試料採取位置には注意が必要であることを示唆しています。
 また上記データから、その存在形態は海のpH、温度、溶存酸素(O2)、溶存CO2、Cl、SOx、NOx、POxイオンなどの存在状態によって、化合物の形態が変化すると想われます。
 アルカリ、アルカリ土類でイオン化傾向の高いCs、Srなどは溶解していると思われます。
 また、放射性物質は所定の半減期によって放射線を出して他の元素に変るので半減期の短い元素のICP-質量分析などによるppbオーダーの濃度*の正確な把握は難しいと思われます。
*濃度単位 1ppb=1μg/kg≒1μg/L(=0.001mg/L)
                       (海水の比重が1.023(25℃))       
1%=10000ppm 1ppm=1000ppb 1ppb=1000ppt
1ppm=1mg/kg  1ppm1mg/L 

<高感度分析の一例 >
ICP-MS分析、中性子線照射ガンマ線スペクトル分析



多摩川水系の溶存態元素濃度(単位 μg/l)原論文1より引用)

<CO2の挙動例>
藻類などによる光合成、水温の変化によるCO2の溶存変化

(google画像検索から引用)


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