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阿久根市の現状を伝える記事2つ

2011-01-09 | ニュース

阿久根市が過疎化しているのがよく判る二つの記事。


市中心部の商店街。ある通りには15年前に27店があったが、今も営業しているのは5店だけだ


「(公務員の給料は)私の数年分の年収。下げて当然でしょ」(女性会社員(61))


「以前は、漁師の方が市職員よりも収入が多かったはず。文句一つ聞かなかった。街の衰退が心まで貧しくしてしまったから、対立も生まれたのだろうか」(元漁師(59))


女性会社員の気持ちは判るが、60の女性と平均年齢43.7歳の市職員の給料を比べてどうするんだろう。60の女性並みの給料にすれば満足なのだろうか。それで生活して子供を育てる事は可能なのだろうか。
仮に市職員の給料を700万としよう。数年分というのは何年分か判らないが、
2年分として市職員の給料を350万。
3年分として234万。
4年分として175万。
5年分として140万。
ここ
まで下げれば女性は満足するのだろう。しかし、それで生活をして子供を育てるのは可能だとはおもえないのだが?


厚労省の統計局によると2010年の4月~6月の労働実績は以下の通り。
正規雇用 :3339万人(平均年収480万円:役員を除く)
非正規雇用:1743万人(平均年収260万円)


市職員の給料を非正規雇用の水準以下まで下げないと市民に納得はしていただけないらしい。
これでは「阿久根は仕事もなく、帰るつもりはない」と言う新成人の声も納得できる。


働く所がなく、町の雰囲気はギスギス。
「しっかり勉強して、外で仕事を見つけなさい」
過疎の町ではそう子供に言い聞かせることが多い。
二つの記事を読むと、そんな声が行間から聞こえるような気がする。




阿久根市職員給料(平成22年度版)
http://www.city.akune.kagoshima.jp/sisei/kyuyo_h21.pdf
(市職員の平均給料には、市長給料(年収1536万)。副市長給料(912万9600円)も含まれている)


「どっち派?」疑心暗鬼、商店街の絵で色分けも : 最新ニュース特集 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 

前市長の失職に伴う出直し市長選(9日告示、16日投開票)を目前に控えた鹿児島県阿久根市。長引く混乱と対立が繰り返される中、新たな年を迎えたまちを歩いた。

 市中心部に近い五色ヶ浜海岸。元日の朝、浜辺には地元の小学生や高齢者ら約50人の姿があった。46回続く恒例の初泳ぎ。年末年始を襲った寒波で海に入る時間こそ短かったが、近くの施設で開かれた懇親会では、持ち寄った正月料理や雑煮が振る舞われ、にぎやかさを取り戻した。


 出直し市長選の話は出なかった。が、出席者の男性(59)がぽつりと漏らした。「みんな黙っているからこそ不気味」。知らず知らずに「どっち派」かを見定めようとしている自分がいた。


 男性は10年ほど前に漁師をやめた。「以前は、漁師の方が市職員よりも収入が多かったはず。文句一つ聞かなかった。街の衰退が心まで貧しくしてしまったから、対立も生まれたのだろうか」。いつもの新春の光景も違って見えた。


 「私の数年分の年収。下げて当然でしょ」


 6日午後、阿久根市役所を訪れた会社員の女性(61)は、昨年末に張り替えられた紙を見て、うなずいた。


 〈1億6270万円(正規職員数22名)〉。部署ごとに2007~09年度の人件費と職員数が並び、最後に〈皆様のお役に立つ職場作りに努めます〉とある。


 「市職員の半数以上が年収700万円」「立派な車や家を持っているのは公務員だけ」


 住民の多くは「官民格差」に敏感だ。


 市役所から5キロほど離れた山あいで十数頭の肉牛を飼育している寺地政文さん(74)が格差を感じ始めたのは、竹原信一前市長(51)が09年2月、市のホームページに全職員の給与を公表してからだ。「肉は売れず、数億円の借金を抱える仲間もいるのに……」。県外にいる子どもたちまでも「不景気で帰省できない」と言い、今年の正月は孫にも会えなかった。「とにかく格差のない阿久根にしてほしい」。その思いをますます強くした。


 市中心部の商店街。ある通りには15年前に27店があったが、今も営業しているのは5店だけだ。


 商店街のシャッターに風景や人物などを描く事業が始まったのは09年度。竹原氏が街のにぎわいを演出するために取り組んだ事業だが、今となっては「色分け」にも使われる。ある商店主の男性は言う。「絶対、絵は描かん。前市長派と思われたら腹立たしい」


 シャッターに絵を描いてもらった別の店主は、竹原氏派が進める議会解散の署名に応じた。「商売をやっていれば、いろんな事情がある」と言う。しかし、竹原氏の対抗馬として立候補を表明している養鶏業の西平良将氏(37)の陣営が開いた集会にも昨年末、初めて顔を出した。


 「20年、30年前の潤っていた頃に、というわけではない。せめて2、3年前、普通に暮らしていた阿久根に戻ってほしい」と言う。「店主同士が疑心暗鬼になって商売を続けている」。こんな現状から抜け出したいと願っている。


2011年1月7日  読売新聞)

 

 

竹原前市長 新成人評価分かれる、阿久根で成人式 : 阿久根対立 : ニュース特集 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
前市長に対するリコール成立を受け、出直し市長選(9日告示、16日投開票)が行われる鹿児島県阿久根市で5日、市長不在の中、成人式が開かれた。新成人たちは、混乱が続く古里をどんな思いで見つめているのか。出席者に聞いた。

 市民会館で開かれた式には、対象者287人のうち市内外から242人が出席。昨年12月に失職した竹原信一前市長(51)に代わって式辞を述べた市長職務代理者の仙波敏郎氏(61)は、「皆さんの義務は投票に行くこと」と呼びかけ、「前市長は、市民と市職員との給与格差を直そうとした」などと竹原氏の実績を強調した。


 ただ、竹原氏への新成人の評価は分かれた。


 「職員や議員の高額な給与などは削減すべき」とうなずくのは、阿久根市から鹿児島市の専門学校に通う中村将平さん。父親は自営業、母親は会社員。「自分を専門学校に通わせるために一生懸命働いてくれている。頑張った人がその分の給料をもらえる社会にしてほしい」と話した。


 一方、阿久根市の団体職員松林香さんは議会を開かず専決処分を繰り返した政治手法を「傲慢すぎる」と批判する。「このままいても将来が見えない」。嫌気がさし、早く阿久根を出たいと思っている。


 市内で車いす生活を送る無職浜崎玲璽(れいじ)さんは、竹原氏が障害者の出生を否定するような文章をブログに掲載したことに対し、「ばかにされた思い」と声を震わせた。就職のために資格を取得中だが、「今の阿久根は障害がなくても就職は難しいし、バリアフリーも不十分。みんなが住みよい街にしてほしい」と、出直し市長選に立候補を表明している養鶏業の西平良将氏(37)に期待する。


 市外在住者からは、イメージ悪化への心配と街の活性化を求める声も聞かれた。


 「混乱のニュースを見るたびに心配になる」と話すのは高知市の大学に通う青龍昇也さん。「友人から『あの阿久根の出身なの』と言われる」と困り顔。


 愛知県東海市の会社員山下真悟さんは「阿久根は仕事もなく、帰るつもりはない。早く落ち着いて、企業誘致などで活気を取り戻してほしい」と話した。


2011年1月6日  読売新聞)
「せめて2、3年前、普通に暮らしていた阿久根に戻ってほしい」
この言葉が、あまりにも切実に聞こえる。


 



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