goo blog サービス終了のお知らせ 

真夜中のつぶやき <murmur to oneself at midnight>

日々のちょっとした楽しみに・てんてんの書籍買物&萌review♪
ブログ内キーワードは【ブックマーク】からGO!

誰を信じられて誰が信じられないのか『交渉人は振り返る』

2009-06-07 | 読了本review
本日はシャイの新刊で

榎田尤利さん『交渉人は振り返る』
 元検事、元弁護士で現職は交渉人の受様。今回は昨今流行りの
 振り込め詐欺事件に絡んで受様が過去に弁護した青年が登場。
 今の彼の姿に自分の弁護士時代を振り返る事になるのですが・・・

関東屈指の指定暴力団の二次団体の若頭と
元検事で元弁護士で現ネゴシエーターのおりなす
交渉人シリーズ第三弾

本シリーズは
受様の楽観的な性格とテンポの良い会話に加え、
あやふやなままながらも
攻様との関係に深みにハマっていく様子や
受様をめぐる友人と攻様の小競り合い等、
細々したシーンに笑いのコネタを挟んで
サクサク、サラサラと読ませますが、
結構シビアでシリアスな展開のシリーズです。

前回は攻様の過去が明かされましたが、
今回は受様の弁護士時代の事件が絡んだお話

前回の依頼で潜入したホストクラブの同僚が
同郷の友人がヤバい仕事に手を出しているのではと
相談に来た事から大掛かりな詐欺グループに
関わる事になる受様。

件の友人は攻様という極道の実態を見た事で
すっかり足を洗う決心をしますが、
彼が関わった詐欺グループのメンバーの一人が
かつて自分が弁護を担当して無罪となった青年と知り、
直情型の受様は過去の柵へと一直線

受様は「信じられない」からこそ
「信じる」事を自分に言い聞かせるのだと言います。

無罪となってもマスコミや世間の中傷に傷つき、
犯罪に手を染めていた青年は人を信じていません。

しかし昔の素直な青年を知る受様は
攻様に呆れられながら
青年に自首して欲しいと奔走します。

そして最後の説得にと
青年に呼び出された場所に向かった受様は
麻薬を打たれて監禁されてしまいます。

攻様や友人達の必死の探索に見つけ出されるまで
溺れた意識が見せた夢は受様を翻弄して

今回青年を救う事が出来ずに終わりますので
かなり後味は悪い展開ですが、
重いテーマを扱うならこういう結果も必要かな

受様は「信じられない」からこそ
「信じる」事を自分に言い聞かせるのだと言います。
人は信じられても自分を信じられない受様の葛藤は
監禁されているシーンで描かれているようにかなり根深い。

今後の展開もかなり痛くなりそうですが、
それにどう立ち向かうのかがまた楽しみです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする