初めてアメリカへやって来た頃、よく一緒に仕事をしていたディレクターのエイジさん(当時、彼は日本から出張していた)が僕の友人のヒデ君にルームメイトを紹介してもらってアトランタに住み着いてからもう十年以上経つ。その間にエイジさんも何回か引っ越ししたらしくて、いつの間にか連絡先が分からなくなっていた。
ちょっと捜してみようとホワイトページやウェブ検索を試してみたけど見つからない。もう日本へ帰ってしまったかなと半ばあきらめながら、ウェブで見つけた地元の旅行会社に「もしエイジさんを御存知でしたら云々」とメールを打ってみた。すると三十分もしないうちに本人から連絡が来た。「いい人にメールしましたね。あの人はとても親切なんですよ。」と、懐かしい声。今日は問題の試合撮影が控えていて、気がもめるので、明日会いましょうということになった。
試合の撮影は惨敗。やっぱり一夜漬けじゃあどうにもならない。
大体フィールドに三十人位もいる選手に紛れた小柄な日本人選手を見失わないだけでも難しいのに、試合がどうなってるかなんて見ているヒマもない。
大汗かいて必死で走り回って、からからと大から回り。
雇った方もそれを予想していたのか、ちゃんとNFL Filmという会社に依頼して、アメフト専門カメラマンをもう一人雇っていた。これが僕が入れないエリアにも入れるパスを持っているので選手の間近でいい絵を撮るし、もちろん試合も手慣れたものでアメフトの見本みたいなテープを上げて来た。
「しょうがないよね。」と慰めだか何だか分からない言葉をかけられて・・・。