サラブレッド・ギタリスト、村治奏一君の取材二日目。
今日は村治君の通うマンハッタン・スクール・オブ・ミュージックで待ち合わせ、少し授業を撮らせてもらったあとで、学校の寮でフルートのマット君とセッション。服やらなんやらとっちらかった汗臭い部屋に響くフルートとギターの現代音楽が楽しい。
アッパーウェストにある村治君の一間のアパートはナベにもホコリが、さながらギターを弾いて寝る為の部屋といった風、触発されると言うカンディンスキーのポスターとボブディランのポスターが張ってある。ソファに寄りかかった本を覗き込むと、カラマーゾフの兄弟があった。
「いいね、カラマーゾフ、ときどきちょっとしんどかったけどね。」
と言うと、目を輝かせて。
「あ、読みました?いいですよね。え、どこが一番しんどかったですか?」
「うーん、あの二番目の兄貴だっけ、彼と別れる前に居酒屋で哲学談義するところがあるじゃない、あそこかなー。」
育ちがいいとはこういう事か、真っすぐな目で水を飲むようにすーっと語りかけてくれる彼はきっと何の屈託もなくカラマーゾフを音楽に昇華するんだろう。僕ももうちょっと若い頃に読んどけばよかったなぁ。
ひょうたんからコマ…
出してみたいな~。