百醜千拙草

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創造性のコツ

2018-09-07 | Weblog
貧乏ヒマなしですが、私は追い込まれるとヤル気が出て仕事がはかどります。追い詰められてなんとかやりきった時の達成感みたいなものを感じるからでしょう。
しかし、そんなやり方の悪影響は無視できません。忙しい中で追い込まれて仕事をすることが常になると、仕事はしたような気にはなりますが、結局、重要だが緊急性のない事案は先送りされていって、結局、いつまでたっても、重要案件ほどカタがつかないということになります。

そして、重要な問題が先送りにされた結果、また窮地に陥ることになり、貧乏ヒマなしの悪循環。

そういったカテゴリー2の事案、つまり、重要だが緊急性がないものほど、よい答えにたどり着くのが難しいと思います。緊急で重要な問題は、もう「やるしかない」わけで、時間に制限がありますから、その時間内でできる最善策が答えです。悩んでいるヒマもアイデアが降りてくるのを待っているヒマもありませんから、単純です。しかし、さしあったっての緊急性のないが重要なもの、(たとえば、二年後のグラントのネタとか)そうしたものは普段からアイデアを暖めておいて、チャンスがきたらすぐ始動できる体制にしておくことが重要だと思います。

なにか面白いことを思いついても、技術の問題、金の問題、人の問題、様々な理由で、その思いつきを実行に移すことは多くの場合で不可能です。しかし、思いがけなく人や金がやってきたり、ボトルネックになっている技術にブレークスルーが起こったり、そんなことが稀に起こります。そんな時にアイデアも構想もなければ、その折角のチャンスをみすみす無駄にすることになるでしょう。

私の場合、問題は突き詰めて考え続けていいアイデアがでた試しがありません。そうして出たアイデアをメモにしてあるのですけど、ほとんどのものは忘れ去ってしまいます。私の場合、アイデアは、どうも、ゆるんでいる時、例えば、寝る前に歯を磨いている時とか、個室で用を足しているときとかにふと軽く訪れるようです。力んでいるとダメですね。

先日、トレッドミルの上で聞いたTED talkでは、なんらかのインセンティブを与えて問題を解かせた場合と、与えない場合でどちらがパフォーマンスが良くなるかという実験の話をしていました。(トークの話題になるぐらいですから予想できるとおもいますが)、答えは、インセンティブを与えたほうがパフォーマンスは悪くなる、です。これはおそらく、問題が解けない場合に罰を与えた場合でも同じ結果になると予想されます。つまり、そうしたある種のプレッシャーが、人間の知的活動能力を妨げるのだろう、と考えられます。

私もその説に納得します。追い詰められてやった仕事はクオリティーはよくないです。ただTaskをこなしたという一時の充足感だけです。

人は、内的な純粋なモチベーションにドライブされるときに最も創造的になると思います。外からのプレッシャーや方向付けや指示は自由に創造性を働かせるのに邪魔なのでしょう。おそらく、外からだけではなく、知的活動に圧力がかかるのが悪いのだろうと思います。中でもエゴがかける圧力はかなり毒性が高いと思います。

ずいぶん前、故河合隼雄氏の講演を聞いた時、半眼で物事を考える、という話をしていました。圧力がかからずに力が抜けた状態という意味でしょうか。数々の外的、内的プレッシャーの多い現代人ですが、左右上下からやってくるプレッシャーを半眼で受け流し、ニュートラルで力の抜けた状態でを保つことが創造性のコツではないでしょうか。

コメント
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