ギリギリ探偵白書・361


 ギリギリ探偵白書
 「持ってるカネ・第1話」



 事務所を出て、国道246号線を渋谷方面に向かう。
 山手通りでは、夜通し工事が続いている。
 
 徒歩20分の道程を時間通りに歩く。
 朝の4時である。
 道玄坂を歩く人も少ない。

 (始発は何時だろう?)

 私は吉野家に入り、少し早い朝食若しくは少し遅い夜食をとることにした。
 時計が5時を回ったのを確認してJR渋谷駅に向かう。
 渋谷駅に着くと、滑り込むようにホームに入ってきた電車に乗り込む。

 その日の調査は、深夜まで及んだ。
 当然、終電はなくなり、私は帰宅する足を失った。
 そこで、事務所で時間を潰し、始発で帰宅するつもりだった。

 そして計画通り、電車に乗り込むことには成功した。

 しかし、私は、そこで力尽きた。

 携帯電話の音で、目を覚ました時、電車は高田馬場駅を出たところだった。

 (・・・・・)

 私は電車内の冷たい視線を避けるようにドア付近に移動し、通話ボタンを押した。


田中   「サザビーさん、遅いっすよ」

サザビー 「今、電車なんだ・・・」

田中   「へ、今、向かってるところですか?」

サザビー 「いや、むしろ、離れていってるような・・・」

田中   「はい?何やってんすか?」

サザビー 「ところで、今、何時よ」

田中   「11時半っすよ、まもなく、お昼です」

 (ゲッ!)


 山手線は、グルグル回る。
 私は、実に6時間も爆睡していたようだ。
 およそ6週。

 私は帰宅を諦める事にした。

 (その代わり、早く帰ろう♪)


 電車を乗り換え、事務所に戻ると田中が寝ていた。

 (おいおい、人を叩き起しておいて・・・)

 とりあえず、寝ている田中の口に、うまい棒を突っ込んでみた。
 

田中   「ふぐっ!・・・」


 バリバリ。

 田中は、目を覚まさずに、うまい棒をたいらげた。

 (・・・ビックリ人間かっ!)


サザビー 「おいっ、起きろ、寝てんなって」

田中   「ふぐ、・・・ふん、ほえ」

サザビー 「仕事しろ、仕事を」

田中   「あれ、来てたんすか?おはよっす。
      ・・・あーー!!僕のうまい棒が無い!!!だ、誰がっ!?」

 (お前です)

サザビー 「あべちゃんは?」

田中   「まだじゃないですか?」

サザビー 「電話してないの?」

田中   「ええ、昨日、遅くまで調査だったみたいですから」

 (俺もです)

田中   「サザビーさんも昨日の調査出たんすよね。
      早いっすねぇ。関心関心」

サザビー 「・・・・・」

田中   「で、ですね。桃鉄が無いんすよ」

サザビー 「は?」

田中   「桃鉄ですよ、モ・モ・テ・ツ!!」

サザビー 「聞こえちょるわい!ってか、そこにあるじゃん」

田中   「ほわっ!ホントだ。ありましたよ」

サザビー 「・・・・・」

田中   「よぉし、んじゃ、やりますか」

サザビー 「・・・仕事は?」

田中   「まあ、ボチボチやれば良いっすよ」

サザビー 「へぇ、ボチボチだってよ、あべちゃん」

田中   「ぐげっ!桃鉄なんかやってないっす、仕事命っす」




        続く



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


 ギリギリ探偵白書の登録はコチラ 
 http://www.mag2.com/m/0000121372.html 

探偵・興信所のT.I.U.総合探偵社/東京

 ランキングです。
 応援お願いします。  → 人気blogランキング
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« あの話、無か... 防犯知識(泥... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。