ギリギリ探偵白書・366


 ギリギリ探偵白書
 「危険な奴ら・第3話」


 
 ホテルに呼び出された私は社内不正の記録を社長から渡された。
 これを会長に届けるのが役目らしい。
 せっかくなので、監視の目を社長から私に移させ、会長の下へ向う事にした。
 



ワイパーを動かす音と雨音、AMラジオから流れる音楽が聞こえる。
私は少しだけ窓を開け、タバコに火をつけた。


運転手   「お客さん、仕事ですか?」

阿部    「ん?まあね」

運転手   「大変ですね」

阿部    「ああ、因果なものでね。その交差点を曲がってもらっていい?」

運転手   「え?○×駅ですよね」

阿部    「ああ、ちょっと後ろの車が気になってね」

運転手   「後ろの車?」

阿部    「そういう商売だからね」


タクシーは交差点を左折した。
そしてすぐの路地を左折し、再び左折した。

こうすると、元の道に戻る。

尾行判明方法としては常套手段だ。


阿部    「白のワンボックス・・・」

運転手   「ええ、白のワンボックス」


私は携帯電話を取り出した。
そして、T.I.U.総合探偵社の事務所にダイヤルした。

(トゥルトゥルトゥルトゥルトゥル)


サザビー  「はい、T.I.U.」

※サザビー・・・T.I.U.総合探偵社代表代理

阿部    「今、何人いる?」

サザビー  「ん?俺と田中だけだけど・・・。何?」

阿部    「つけられてる。すぐに応援が欲しい」

サザビー  「・・・だから、ヤバイッて言ったんだよ!!」

(いつだよ!!)

阿部    「ああ、高速、○々木PAでどうだ?」

サザビー  「仕方ねぇーな」


タクシーは高速に入り、サザビーに指定したパーキングエリアに向かった。
なぜかタクシーの運転手はノリノリでスピードを上げて走る。

パーキングエリアには、サザビーがバイク、田中が自分の車で来ていた。

私は携帯でサザビーに連絡を取り、バイクに乗り代わる事を伝えた。

我々は3人同時にトイレに入り、混雑に紛れてそれぞれの配置についた。

私はサザビーの乗ってきたバイクにまたがった。

250ccのロードバイクはそれほどスピードが出ない。

(これかぁ・・・、気付かれたら厳しいな・・・)

私がバイクをスタートさせると、白のワンボックスカーが動き出した。

(やっぱり・・・)

白のワンボックスカーの運転席に目をやると、無線機で連絡している姿が見える。

私はゆっくりとバイクを動かしながら、辺りを見回した。
すると、片耳だけにイヤホンを差し込んだ男が見えた。

おおよそ、白のワンボックスカーに連絡を取ったのはこの男だろう。

私は一気にアクセルを回し、高速道路に合流した。
そして、すぐに高速を降りた。

そして、会長宅に向かった。

どうやら、白のワンボックスカーはタクシーと田中の運転する車に阻まれ
尾行を断念したようだった。

数十分後、私は会長宅にたどり着いた。
しかし、その家の路地の前に黒のセダンが停まっていて
いかにも強そうな男が2人、周辺を見回しながらウロウロしている。

(・・・2人とは、なめられたものだな・・・)

私はわざと会長宅の目の前にバイクを停めた。
そして、ヘルメットを取り、呼び鈴を鳴らそうとした。



        続く



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