
焼肉屋でチレ刺しを置いてある場合はまず注文する。甘みの強いタレで揉みこんだチレはグニュグニュした食感でねちっこい旨みがある。これをつまみにマッコリを飲んでから、肉を焼き始めるのが私流だ。
ある店の女将は「チレを食べるとお通じがよくなるんですよ。ただし出るものが真っ黒になるので驚かないようにね」と教えてくれたが、便秘しない私にとって効果があったのかはわからない。また色を確かめるのも忘れてしまった(笑)。しかし、美容と健康には欠かせない食材の一つであることは確かだろう。
焼肉ファンにとっての必読書『焼肉の文化史 / 佐々木道雄(明石書店)』の中に内臓の呼び方について考察している一節があるので抜粋して紹介しておこう。
チレ
脾臓は朝鮮語の南部方言のチレからきたという。事実、慶尚道などでは脾臓をチレと言う。…
日本では脾臓を食べる習慣がなく、朝鮮人から教わったという話を前に紹介したことがあるが、このことを考慮すると、朝鮮語起源である可能性が濃くなる。ただし、脾臓にも日本語の名称があるので、食べなかった訳ではなく食べない地方もあったということである。大阪市を除く地域では慶尚道出身者が多いので、慶尚道の方言が兵庫に入ったのもうなづける。
………(省略)………
以上の検討の結果、ミノ、ガツ、はちの巣、センマイ、コブクロ、ファが日本語由来であり、朝鮮語由来と思われるのはテッチャンとチレだけである。
