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寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

鍋をつつき語り合う(後編)

2010年01月25日 | 

女将の「老い」関する持論を拝聴し、私達もいずれは老人になるという現実を強く意識することになった。ビールのほろ苦さが舌を刺した。

女将が座敷を離れる頃には鍋が出来上がっていた。肉の旨みが加わった濃い目のだしでビールが進む。だしを十分に吸った野菜がまたいい味になっている。

私は中国の皇帝が不老不死の薬を探し求めた理由をふと考えた。一旦握った権力は容易に手放せるものではない。強欲な人間は一日でも長く旨い汁を吸い続けたいと思うものである。その傾向は今の国政のトップにも露骨なほど見られる(笑)

鍋の締めは中華麺だった。最初は食べられるかどうか自信がなかったが、結局ペロリと平らげてしまった。春雨を入れても非常に合うと思った。

店を出て芹川を眺めた後、再び小路に戻った。格子戸の家に「ちゃんぽん」の赤提灯が出ているのに気付いた。Hさんの話では最近出店したということだった。古い建物に新たな命を吹き込むセンスは大したものだ。

袋町にオープンしたちゃんぽん店

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鍋をつつき語り合う(前編)

2010年01月25日 | 

奥座敷のHさんは眠たそうな顔をしていた。そしていつもの口調で「おう、来たか」と言った。私は遅れたことを詫びて新年の挨拶をした。卓上には鍋の材料がたくさん並んでいた。

「肉ですかー」と驚く私を見てHさんはほくそ笑む。生ビールで乾杯した後は意外な話になった。

人間が避けて通れない「老い」について我々は意見を交換した。煮汁が沸いたので女将を呼んで具材を仕込んでもらうことにした。

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