この庭に過ごせる日々のおもひでをコスミレの花に乗せてゆくかな　丹人このにわに　すごせる...

別れ霜降る朝なれば白き身を震はせて立つ白き木蓮　丹人わかれじも　ふるあさなれば　しろき...

黄金なる菜花に春の光満ちて蜜の香りに寄り来たる虻　丹人こがねなる　なばなにはるの　かげ...

この庭の染井吉野の並木行けばおちょぼ蕾のほの紅に　丹人このにわの　そめいよしのの　なみ...

天地に春魁けて咲く花の好文亭を白く染めゆく　丹人 あめつちに　はるさきがけて　さくはな...

外の鬼を真白き萼に眠らせて春来告げつつ節分草咲く　丹人 とのおにを　ましろきがくに　ね...

葉がもとに産声上げし春蘭の拳にこぼる光なりけり　丹人 はがもとに　うぶごへあげし　しゅ...

熱あらば早に戻りし庵庭に吾を待ちてをり紅梅一輪　丹人 ねつあらば　さやにもどりし　いを...

出逢へるも別るも黙しうつむける真綿の色のシクラメンかな　丹人 であへるも　わかるももく...

この庭の南の果ての梅の花春を生みつつ開きゆくかな　丹人 このにわの　みなみのはての　む...